0432:やくみん覚え書き/さおだけ2本でニーキュッパ

 竿竹の訪問販売という古典的悪質商法で逮捕者が出た。「竿竹2本でニーキュッパ」と売り歩いて、2,980円だと思った人が声を掛けたら実は29,800円でキャンセルは効かないと凄み、物干し台込みで40万円で売りつけ立ち去ったという。もうほんと古典的押し売りだ。

 若い人は知らないかも知れないが、昔、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』という本がベストセラーになった。車で竿竹を安値販売してなぜ商売が成り立つのか、という問いだ。

 本書の回答は、ネタバレなので伏せておこう。ただ、なるほどと思える理由があり、ビジネスの仕組みについて分かりやすく解説する好著であった(当時読んだ記憶ね)。

 しかし、だ。その後私は消費者行政部門に異動となり、実は竿竹訪問販売のトラブルが多い事実を知った。上記書籍が取り上げているのは「まっとうな業者」で、「まっとうでない業者」も世の中には少なくない、ということだ。今回のニュースのように安い値段をアナウンスしながら「あれは10cm単価だ、2mなら20倍ね」といい、困った客の目の前で竿をノコギリで切り始め「もう切ったからキャンセルはできない」という。

 どうだろう、この手口を聴いて「民法上の契約は成立してないから、金は払わないと突っぱねればいいじゃないか」と思った人はいないだろうか。そう、突っぱねることが法的には可能だし、そうできるのなら被害には遭わない。逆に言えば、業者側は突っぱねられたら商売にならない。だから、ごねる。大声を出す。場合によっては強迫になりかねないこともいう。それに抵抗できる人はすればいい、それで解決だ。問題は、悪質業者は抵抗できない弱い高齢者(今回の事件の被害者は83歳)などを狙い撃ちにすることだ。だから昭和の時代から令和の現在に至るまで古典的な悪質商法は存続している。

 上記の本はベストセラーになり、当時多くの人が読んだ。安い値段でも商売が成り立つ仕組みがあると、多くの人が思ってしまった。それが結果的に、その後も強引な悪質商法を蔓延らせてしまったのかもしれないなと思うと、複雑な気持ちになるね。

 かつて日本に訪問販売が広がり始めた頃、この手の強引な押し売り被害が多発し、それを規制するために昭和51年に訪問販売法が制定された。現在の特定商取引に関する法律、略して特定商取引法・特商法だ。その後も社会の進展につれて悪質商法も進化し、それに応じて規制も強化されてきた。マルチ商法は昭和51年の当初から規制対象になっていて、これも息が長い。

 小説「やくみん! お役所民族誌」は、全国各地で悪質商法と戦い消費者を護る消費生活センターが舞台だ。当然上記のような話も何らかの形で組み込んでいくことになる。

--------(以下noteの平常日記要素)

■本日の司法書士試験勉強ラーニングログ
【累積161h15m/合格目安3,000時間まであと2,839時間】
実績22分、ようやくドリル終了。ただ全然知識が定着してないので、ちょっとステップアップ編のドリルから民法全体おさらいしようかな。

■本日摂取したオタク成分(オタキングログ)
『ブラタモリ』フォッサマグナ&糸魚川、壮大だのう。個人的には人の営みとの関わりがあった方が面白い。『SELECTION PROJECT』第1話、アイドル物って実はあんまり観たことないんだよな。これはどうだろ、仕事しながら流しっぱでしばらく観てみよう。『ひねくれ女のボッチ飯』第4話、チーズピザを食べながらしらすピザの話を観るというね。

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