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0795:霊感商法対策は自治体へ事務委任されるのか?

気がつけば霊感商法対策関連法案である「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案」は消費者契約法改正法案とともに消費者庁所管なんだな。消費者契約法を寄付にも準用するような法案だからなのだろう。

気になるのは、具体的な事務を誰がやるのか、だ。消費者契約法は民事ルールだから行政事務は規定されていないが、新法法案には内閣総理大臣の勧告命令権と報告徴収権がある。もちろん内閣府が直接事務をやる筈もなく、雑則に事務委任規定が置かれるのが通常だ。法案では消費者庁長官に委任されているけれど、消費者庁には地方機関がない。特商法・景表法は経済産業省の地方機関である地方経済産業局のほか、都道府県知事にも並行権限が設定されている。

■不当景品類及び不当表示防止法
第五章 雑則
(権限の委任等)

第三十三条 内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。
2~10 略
11 第一項の規定により消費者庁長官に委任された権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。

この景表法33条11項に当たる規定が、新法法案の雑則には見あたらない。ということは、自治体に事務委任することは想定されていないのだろうか。

怪しい、と私は睨んでいる。うろ覚えだが、法律自体に自治体への事務委任が記されていなくても政令でいきなり委任されている事例が、確かあった筈だ(15年くらい前の記憶)。宗教法人を含め各種法人は国所管と自治体所管の両方がある。法人管理の基礎リソースが分散しているのであれば、今回の法案に基づいて創設される事務も、自治体にも割り当てられると考えるのが自然だ。

国が新しい事務を創設する時に起きるのが、事務担当のパス合戦だ。人が増えない業務スクラップがあるわけでもない状況で、新たな事務の引き受けを望む部署はない。あれこれ理由を付けて「うちじゃない」「お前のところだ」の争いが始まる。私も公務員経験の中で幾度かそれを目の当たりにした。

新法の場合、消費者契約法との絡みで最も専門性が高いのは消費者行政部門だ。ただし前述のとおり、消費者契約法には行政事務がなく、消費生活相談業務としての専門家がいるのに過ぎないから、消費者行政部門は嫌がるだろう。新法があらゆる法人の寄付に渡ることを考えると、それぞれの法人管理部門が分担することが素直かも知れない。ただし消費者契約法の素養のない部門で担当するわけで、適正な対応ができるのかどうか。

実はそういう水面下のドラマが面白かったりするんだよ。もし今回の流れを消費者行政が舞台の小説「やくみん! お役所民族誌」に組み込むならば、そういう場面を書きたいね。

--------以下noteの平常日記要素

■本日のやくみん進捗
第1話第25回、614字。

■本日の司法書士試験勉強ラーニングログ
【累積325h15m/合格目安3,000時間まであと2,675時間】
ノー勉強デー。

■本日摂取したオタク成分
『薔薇王の葬列』第11~14話、第二クールは10年経過したところから。『異世界おじさん』第8話、続きは何ヶ月ぶりだろう、やっぱ笑う。しかしコロナ以降かねえ、1クール終わる前に休止を挟んでクオリティを落とさない作品がちらほら出てきたのは。クール縛りを越えても運用できる、という実績がコロナで出てきたからと読んでるけど。『ぼっち・ざ・ろっく!』第9話、休日話。

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