賢者タイムに詠んだ賢い俳句

五年前、まだ短歌と出会っていない頃。私は川柳にもなっていない散文を賢者俳句と称し、自慰ののちに書き溜めていました。その頃のメモ帳を発掘したのでnoteに投稿します。

以下の一行一行、全ての前に自慰行為があったことがおぞましく、また、生活の何もかもを制作に繋げ、その制作物で自分を照らさなければ自分のかたちを確かめられない自分自身が哀れに感じました。

以下賢者俳句です。



卓上に箸を落として皿が鳴る

獅子舞の中身をゼリーで作った日

薬学が破れた障子から見えた

青栗の渋皮剥いて茶を煮出す

地蔵傘雪道足跡とうに消え

暴力でママは天国感謝泣き

にび臭い手の温度と裏腹に

コマの中私が私を叱ってる

ティッシュで拭くってもうそれ俳句じゃん

人工のため池に投げる餌一振り

黒煙吸って白濁液を出す

祝日を自分で決める月曜日

笹舟が畳の上で流れてく

猪狩りに山へ分け入り素野っ原

「世話になる」返せない恩また重ねてく

さてもとや言うべきことも特に有らず

木炭紙を水でふやかした時みたい

シロイルカの背中に乗って自殺する 

今はもう中々会えない朝ごはん 

窓を閉めたままじゃ天気は判らない 

死して尚温かみ残す秋の死骸 

髪を梳かしながら耽るなら無明 

脳髄の中だけにある一人部屋 

物足りない体験版のみプレイする

眠たさにまぶた奪われ今日を捨てる

「はは」と乾いた声を出すばかりだな

昼に起き昼の間に抜き昼を出る

コンビニに明日の飯でも買い行くか

有りもしない記憶を追随して睨む

夜と朝の区切りを今俺が作る

上手くもない太鼓の達人プレイする

夢で見た創作料理を再現す

出涸らした紅茶に風味を見つけたり

自作したいない動物の解体図

島の朝、砂混じりの空を見上げて

借宿の四方の壁に釘を打つ

呪いとは残した言葉と立ち振る舞い

剣呑と光るテレビの黒画面

仕送りで買った親へのプレゼント

生ぬるい夜風の隙間に水色

金文字の中華タバコに火を点ける

月蝕の日だけ不貞を働く死

ハイタッチで終わる喧嘩っぽい抜きです

灰皿を代わりに撞くなり大晦日

ドラえもん のび太の南海大冒険

残り5秒、「このままイケるか?」残り2秒。

雷雨に呼ばれ外見ると眼鏡曇る

良かったですって嘘右脳で信じる

ネット上に私の肉片転がる

光源が複数ある家手に一個

官営の宿泊地に恐る恐る

こんなものあるんだリキッドラテックス

Amazonで再び見たい夢をポチる

コストコに初めて行った時のよう

壁に手を付いて横向きの重力感じる

台所すりガラス越しの水族館

虹色の霞のようなものが出た

観ないテレビを点けて読まないスマホ開く

寝れないが笑 笑ったのちに即真顔

紙パックのお茶を畳んで待つ台風

台風にコロッケ買いにサンダルで

その時は気付けない風が髪を撫でる

掻き鳴らす季節外れのジングルベル

正午の間横たわりつつ茶を一服

最遊記僕らのパコパコバスツアー

夜!夜!夜!言われなくてもお友達

かき氷白いまま少しつまみ食い

花散らしその瞬間から論者へと

プチ振られ血豆潰して七竈

平然と舐めるちんぽに宿る母性

寂しさと性欲直結してねーわ

私用い自傷に及ぶ女の子

「クソ野郎」そう言った割に頬緩んで 

マックスより力の調整のがムズい

演技とは憑依と任意のブレンド感 

平成のメガロポリスだZOZOTOWN

妄想の中でさえ自由掴めず

正拳突き10000回より抜く一発

「死ぬものか」静かに叫び横たわる

道端の隅に溜まった泥と同じ

起きた時を朝だと言うならば朝

骨を食み夜明けを待つだけ愚か者

言語化し事を分割する仕事

猿叫す夜の風の二枚向こう

「いい夜だ」エアコン付けて呟いた

風立ちぬいざ行きめやも雄1匹

石拾い百葉箱に募金する

古株のセフレの膣で独り相撲

29.0℃の部屋の中舞台装置

P波より早く届くは胸の内

いびつだがいとしいかたちの角砂糖

ノーマルな状態の線引きぼやけてて連ねる言葉も侮りがたし

銅を打つ金床の音と朝煙草

灯台が照らす水面に浮かぶ私

ふざけんな貴賎ありけりヤリマン道

日陰でも高い湿度で食べる飯

何気ない言葉で救い救われて

騒々しい無音の夜の森の中

情けない手淫だったな鳥が鳴く

アザミの花ググって過去に寄り添った

ちんぽから涙が出てきた午前四時

再検査不備見つかり安堵する

曇り空梅雨の合間に昇る朝日

口と股ユルさは比例し上がってゆく

感じない何も思わないほぼ死体

根拠のない自分から出る霞に安心

歯車の隙間と隙間にシーチキン

朝は強い俺はまだ弱い夜の中

白髪ねぎ焼いて食べた名無し飯

最悪の中に救いを求める人

朝顔を持って帰った青い靴

銀毫の意味を調べる夜明け前

重い腰だらりと下げた梅雨の前

自慰してる時のがキモチ良かったよ

暗闇を前後不覚で歩いてる

轢死した生き物の血でクッキング

そう言うなって、

奇々怪々風が教えてくれたもの

残酷な天使のテーゼとアラハバキ

後ろにはわたしがうまれた青い海

信者者物の者か者の物

空気も通る食道

あざーーすいやほんとマジあざっした

反芻する会話の中の反響音

出る錆は壊れた蛇口エンジン音

「ポンッ」と鳴る昼の花火を窓から見

隙間から覗いてみたんだ確率論

最低限保つ事は難しく

先の未来思いに耽るメンヘラ道

幻想に向かって敬礼桜花隊

出しちゃダメんなこと無くない?関係ねー

メッセージ長押ししたら消せるから

破れた障子

回る世界広い世界六畳間

白でも黒でもない無しか無かった

真夏でも訪れたくなる雪の宿

ドンピシャリッそれだよ俺が狙ってたんは

次々に浮かんで消える顔顔顔

吐瀉物を踏んで走る気持ち気概

月下の蓮池の黒より闇が濃く

暗室で板が縦横動くだけ

嘘だったん?自分にも返るヤツじゃん

決まらない新規フォルダのファイル名

山を知り海を知る事で見えるもの

あいうえお操るも虚し深夜二時

空想上生まれる混合獣(キメラ)も悲しい目

味気ないたまに打ってる空気砲

虚無の森木を切り掛けるハンモック

紗倉まな

涙そうそう駄菓子気分の射精譚

怪物の背と腹見える竹の槍

思い出す必要もなく忘れてく

ストリート赤紅梅を攫う穀雨

朝が近い優しい闇の帳の中 

ァあざす、と一瞬獣ずっと人

白と赤しか映らないサイネージ

授乳系 いいなぁっつって地震来た!?

サルトルでも登れなかった高みへと

枝垂れたる乾いた桜に似た鏡

weed吸い翡翠色の雨に打たれて

ただギャルと 黒や白など 差別的

充電7%から4%

残り香にふと思い出す後ろ姿

昼注いだアクエリアスが既にぬるい

片栗粉だけでかきあげ作ろうか

酒粕を集めて煮詰め腐らせる

いくつもの山道を外れ続けてきた

オナニーと 汚れたパジャマと 雨の音





……


以上です。何故ここまで続けていたのか、いつ、何故やめたのか全く思い出せない。
蛇足ですが、5年ぶりに見てだいぶ客観的に見れた部分もあったので、何首か抜粋して自分の感想も書いておきます。セルフツッコミぽくてダサいけど。



佐倉まな

佐倉まなが持つ質量なら字が足りずとも俳句が成り立つと思っていて、自分で見返して笑った。成り立たないだろ。


授乳系 いいなぁっつって地震来た!?

この俳句は自慰行為中に地震が来たから覚えてる


灰皿を代わりに撞くなり大晦日

普通に良い。


古株のセフレの膣で独り相撲

古株のセフレとのセックスをオナニー扱いにして賢者俳句送りにすなよ。



意外と今見てもいいなと思えるものや馬鹿らしいものなどあるが、“やけ”になったものやから回ったテンションのものはハッキリ言って酷すぎて人に見せたくない出来だ。メランコリでキモいわ。

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