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2022年のイベントコミュの台詞数調査報告


1.はじめに

 砂塚あきらのテキストを収集し、調査していく中で、年月の経過に伴うコミュ台詞数の増加傾向を見出した。台詞数に注目して他のデレステのコミュを眺め、比較検討することで各アイドルの描き方や見せ方の変化に関して、何かしらの知見が得られるかもしれないと考えた。
 比較的着手が容易と考えられたストーリーコミュ、次いで2023年に公開されたイベントコミュについては既に現段階で可能な調査は完了し、その結果はnoteで公開済みである。続いて先日、2022年に公開されたイベントコミュについての調査が完了したのでその結果の報告と簡単な考察を行う。

2.調査方法

 イベントコミュの台詞の数をカウントした。何を1台詞とするかは図に示した。ただし、
・Pポップアップはカウントしていない
・神崎蘭子の言葉の翻訳や注釈などの、ログでのみ確認できる台詞はカウントしなかった
・手動なのでいくつか数え間違いはある
・予告は含めない

台詞の数え方

加えて、各イベントコミュがどういったシナリオなのかを6つのパターンで分類した。ただ、こちらは自分の第一感での分類であるためあまり有用な情報ではないと思われる。
 分類の記号と意味は以下の図の通り。

分類一覧

 AとCはコミュ中で課題を持ち、解決した子が複数人いたかどうか/課題が通編でテーマとなっていたかどうかの違いを表す。たとえば、「ラビューダ♡トライアングルはアミマネラの3人が明確に課題の解決へ挑んだためAとする」、「ストリート・ランウェイはあきらにとっては課題と解決が描かれたコミュであるが、その他4人についてはそうではないためCとする」といった具合になっている。
 (もともとはA~Cについては「ユニットでの○○」という分類にしていたが、この場合スシローコミュの大半がFに分類されてしまうことに途中で気付いてしまったのでこのような分類へ変更した。そのためなんだかあやふやな分類になってしまった。)

 そして、2022年はコミュ中のPポップアップの選択によってコミュに大きな分岐が生じるものが2つあったため、こちらは分岐を含めた全テキストを集計した。具体的なコミュ名は「New bright stars」「チョコレート?レモネード?どっち??」である。

3.結果と考察

 調査の結果はスプレッドシートにまとめた。

 台詞数が多いコミュは寒色系を、少ないコミュは暖色系の色をセルに割り当てた。紫色の枠線は特殊な数え方をしている事を表す。

上半期の台詞数のまとめ
下半期の台詞数のまとめ

 以下に得られた結果とそれに対する推察やコメントを述べる。後半では2023年との比較を行う。

2022年のコミュについて

総台詞数が多かったコミュ上位3つは順に
・New bright stars (439)
・ダンシング・デッド (401)
・サマーサイダー/UNIQU3 VOICES!!! (383)
であった。
ー 「New bright stars」は特殊なコミュであり、10周年記念楽曲投票企画「My Best Cinderella Songs」で上位になったいくつかの曲について振り返る内容となっていた。さらに、分岐によってプロデューサーやユーザーからのメッセージになるか、アイドルたち目線での語られるかが変わる。ゆえに台詞数が多くなるのはある意味当然である。
 ー ユーザーのメッセージを台詞数としてカウントするのは少し変な感じだが、相当な量であったためカウントした。
  ー 余談だが、これだけの台詞数がありながら全イベントコミュ中の台詞数順位はなんと(暫定)2位である。1位は「堕ちる果実」(463)、これについては2021年のまとめで詳しく述べたい。

ー 「ダンシング・デッド」は昨今だとよく見られるような、アイドルの個性と密接に絡んだ課題に対してユニットを経て解決へ向かうシナリオであった。
 ー 素直に面白い内容だった。

ー 「サマーサイダー」は「ノートの中のテラリウム」と対応しているような立ち位置のコミュであった。
 ー デレマスアイドルの中でも類を見ないくらい丁寧にプロットされた颯物語の最大の山場であろう。少なくともこのコミュだけに限って(=颯や乙倉のこれまでを知らずに)言えば、デレステの中でも最高傑作のコミュの一つであろう。それくらい良いシナリオ・演出がなされている。

ー 「UNIQU3 VOICES!!!」については一身上の都合により何も書きたくないのだが、報告書の体裁上一言添える。
 ー 所謂「課題と解決」なのだが、それまで3人が暗に抱えてきたであろう迷い/濁りを明確にしたうえでユニットらしさをもって解決したところが評価されるのかもしれない。知らんけど。

逆に(スシローを除き)総台詞数が少なかったコミュ下位3つは順に
・MOTTO!(294)
・認めてくれなくたっていいよ (315)
・Blooming Days (323)
であった。
ー 「MOTTO!」が最も少ないのは「星環世界」や「無限L∞PだLOVE」が少ないのと同じ理由であろう。
 ー 内容はこれまでのデレマスから良い所は残しつつ、心機一転/アップデートを予感させるようなものであり、非常に面白かった。実際、認識違いでなければ、本コミュからアイドルの立ち絵衣装に追加が入るようになっており、そういう目で分かる部分でも変化が与えられている。あとコミュ中のPがやつれてそうな感じも個人的には好きである。
 ー 「MOTTO!」(もっと)が最(もっと)も…なんつって、たははw

ー 「認めてくれなくたっていいよ」は歌唱メンバーがjewelriesからの選抜となっており、ここで物語を進める必要はない(≒台詞数を増やす必要はない)とされたのかと見るのが第一感である。
 ー しかし、実際は「MOTTO!」からの文脈を受け継ぎ、この先のアイドルのあり方について、具体・抽象を往来しながら見つめ直す内容となっていた。大事なコミュの一つ。

ー 「Blooming Days」は2022年唯一の本格的なオムニバス劇中劇であった。これこそここで物語を進める必要がないから台詞数が少なかったと考えることはできる。
 ー 一方で2023年の「Starry Night」は同じオムニバス劇中劇でありながら、376台詞と膨大な量があったため、この推察が正しいとは限らない。2022年以前の劇中劇とも比較して考える必要がある。

台詞数が多かったコミュ上位3つは順に
・New bright stars 第4話「Anytime, Anywhere」 (78)
・サマーサイダー 第4話「かけぬけて、そら」 (78) 
・New bright stars 第5話「Road to Bright Stars」 (74)
であった。
 「New bright stars」を除くと
・サマーサイダー 第4話「かけぬけて、そら」 (78)
・ダンシング・デッド 第5話「Rise from the Dead」 (73)
・チョコレート?レモネード?どっち?? 第3話「ふたりきり?急接近」 (70)
であった。
ー 分岐を集計するとすごいことになってしまう。 
ー 「チョコレート?レモネード?どっち??」は内容以前にコミュそのものの作りが少し特殊であり、それが最大の特徴である。
 ー 分岐によって内容が異なり、触れ合えるアイドルが変わることは滅多になく、2024/5/28現在でもここまで分岐が多いイベントコミュは「ワタシ御伽ばなシ」くらいである。

 スシローコミュを除いた台詞数の平均値は354.5であり、スシローコミュの台詞数の平均値は221.1であった。
ー 雑にスシローコミュの平均値を1.4倍すると309.6となり、大分かけ離れているように感じられる。

2023年との比較

 2023年と2022年のコミュを総台詞数が多い順に並べ、比較した図が下のようになる。

2022年と2023年の台詞数の比較

 この図を踏まえながら調べていく中で気付いたことと、それに対する推察を述べる。
・明らかに台詞数が増えている
 
ー スシローを除いたものの平均値は354.5から372.3に、スシローの平均値も221.1から256.8へと増加している。左右のセルの色を見ても一目瞭然である。
  ー スシローコミュについては、ここを増やさなければ一部アイドルについて供給量の差がさらに深刻な問題となってしまうのは容易に想像がつく。
 ー 増えた理由に対する根拠は持ち合わせていない(=運営のみぞ知る)が、「よりテキストを増やすことで、アイドルの内面について深堀りを行っている」「関係性を記述するために十分なテキストを用意している」「一般に、メッセージを読み手に分かりやすくするために/納得させるために増やした」「予算がこっちに回った」「2024年にSSR/SRの枚数、コミュの数が減るのを見越してこちらを増やさざるをえなかった」辺りはパッと思いつく。
  ー 現実的にはこれらのいいとこどりで増えたと考えるのが妥当だろう。

・課題と解決をテーマにしたコミュが増えている
 
ー 課題を定義し、アイドル個々人の色に基づいた前提・展開を描き、解決を与えるこのテーマでは、説得力を持たせるためにテキストが増えるのは自然である。そしてそのテーマが増えれば平均値も当然上昇する。
  
ー 上で述べた「よりテキストを増やすことで、アイドルの内面について深堀りを行っている」「関係性を記述するために十分なテキストを用意している」に関連していると考えることができる。ただし、台詞数が少ないながらも2023年のものと比較しても劣らないような内容を描いたコミュは多く存在する。(5で列挙する)

・長編劇中劇が増えている
 
ー 2022年には一つもなかった長編劇中劇がどういう訳か3つも増えている。そのいずれも相当のテキスト数が実装されている。
  ー まず「アイドルの本質部分を抽出して、表現/演出の幅が広い劇の中に落とし込むことで、より大胆/明確に個性や意図を読み手に伝える」みたいな妄想ができる。「モバマスのサービス終了に伴い、ツアーで演じられていたような劇中劇をデレステ内でもやることになった」も一理あるかもしれない。
 ー 個人的にはこれまでの関係に依拠せず、新鮮で革新的なユニット/関係から面白い景色が描かれるような長編劇中劇はもっともっと実装されて欲しい。

4.むすびに/今後の展望

 今回は2022年のイベントコミュの台詞数のカウントを行い、その中の傾向やコミュ内容と関係した考察を簡単に行った。結果は上に示したとおりである。2023年との比較と考察も簡単に行った。
 今後もぼちぼち続けていきたい。あと、気になることとしては以下があるので、気が向いたらやりたい。
・関係性/ユニットの文脈の調査
 
ー 例えば、みく/菜々/七海は都度都度関わってきており2022/2023でもコミュで共演している。そこで何が語られ、最終的にどのような着地点を得た/得ようとしているのかを知りたい。
・SfCの結果との連関を探す
 
ー SfCを実施したことによりアイドル間の既知のシナジーの確認だけでなく、未知のシナジーについてもある程度(少なくとも主催は)浮き彫りになったはずである。(Aに投票する人はBに投票しやすい、ならここでユニットを作れば相乗効果が望めるのでは?といったような)
  ー そのデータをこちらは一部しか把握できないが、それでもそこから新規の関係/ユニットの意義を追い求めるヒントを得ることはできるかもしれない。

GG.

5.個人的にオススメしたいコミュ

・Demolish
・ストリート・ランウェイ
・ラビューダ♡トライアングル
・チカラ!イズ!ぱわー!!
 いずれも課題と解決がセットになったコミュである。読みやすさ/読みごたえ十分な内容である。

6.自己紹介

 台詞数の報告書には毎回載せています。

 2020/1/1からデレステを始めました。気持ちは小梅Pで、好きなユニットは多分リンリンだけです。普段は別の名義で遊んでます。
 デレステ外では砂塚あきらに関するテキスト周りのまとめ作業を行ったり、あきらに関する記事を書いたりしています。最近はあんまり気乗りしないので積極的に行っていません。記事も気分が戻るまで非公開にしています。今は微塵も更新する気ないけどwikiの立ち上げも行いました。
 デレステ内のコミュを読んで考えたり、それについて人と話しあうことが好きです。コミュについて話したい・話せる方がいらしたら是非ご連絡ください。

名刺

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