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プロデューサーはペテン師か?

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九州、大分、日田。田舎に暮らしつつ、全国で多様な分野のプロデュース。そんな日々の問わず語りを13年、1300話以上のブログを書いてきた。noteにも徐々に新旧記事を転載中。htt…
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2020年6月の記事一覧

The Men’s Room 2020.5.25

とてもいいドキュメンタリーだった。あまりに良かったので、録画を消せずにいる。繰り返して何度も見ている。普通を扱って、普遍に至る。理想的な仕事。いや、そんな野暮は言うまい。キミはあの感覚がわかるか? あれがわからないヤツとは友だちになりたくない。 いつものNHK BS1。邦題は「中年男の熱きコーラス」。ノルウェーの首都オスロ。ごく普通の中年オヤジたちで結成された合唱団。酒と馬鹿話を好む、うだつの上がらない男たち。同じタイプは世界中にいるし、僕の中にも同じ不甲斐なさがある。それ

前提を変える。 2020.5.31

いい企画、いいアイデアには、共通の特徴がある。それは、必ず前提に踏み込んでいること。きっかけは、前提にこそある。一方、世に転がる数多の仕事は、繰り返し。先行する事例があり、それをなぞる。新しいと言っても、多くは所詮マイナーチェンジにとどまる。 プロデュースの依頼は、何事かの根本解決を期待されているケースが多い。これまで、過去の延長線上でさまざまな解決策を試みたが、うまくいかない。ほぼそんな状況でオファーが来る。つまり閉塞。そこで、新たなアイデア、新たな切り口を見つけ、突破に

権威に頼る。 2020.6.18

人は弱いものである。群れに入らないと心細い。強い者に沿わないと不安になる。寄らば大樹という古諺もある。権威に頼りたくなる。自分での判断、決断が殊の外難しいので、他者のそれに委ねる。できるだけ有名で、立派な人が良さそうな気がする。そう、権威。 権威との距離が近ければ、安堵感は大きくなる。さらに、そうじゃない人たちに比べると、自分たちが少し優れているようにも思えてくる。ある日、心の片隅に虚栄が宿り、それは日に日に大きくなる。有名ブランドに働くスタッフが、なぜか客を見下すあの空気

蛍を数える。 2020.6.12

家のそばを蛍が飛ぶ。前の住まいほど山の中ではないのに、実に贅沢な環境だと思う。もっとも、群れ飛ぶというほどの数はいない。多い年なら、数十匹舞っていることもあるけれど、村では当たり前だったたくさんの蛍が連鎖する光のシンクロはさすがに望めない。 数十年前まで、日田ではありとあらゆる水路で蛍が見られたらしい。いまも、市役所の横の水路に時折蛍が光る。地方とは言いながら、それでもなんと優雅なことか。そこから数分の場所にある我が家。大きな神社に隣接し、緑が豊富で、夜は真っ暗。道路を挟ん

プロトタイプ。 2020.6.6

雛型。あるいは、役割について。あるいは、向き不向きについて。もう20年以上、事業プロデュースなる仕事をしている。見えてくる課題に対して、基本ゼロから解決策を考える。方法における原則はあっても、ルーティンやマニュアルはない。勢い、毎回初体験になる。 つまり、ゼロイチ。僕はそれがとても気に入っていて、モチベーションも凄く上がる。知恵の出し甲斐もある。初めて作るモノだから、試作ということになる。その後のルーティンに繋ぐためのモノだから、雛型、テンプレートである。要はプロトタイプ。

アオバズク幻想。 2020.5.19

夏が始まる頃、陽が落ちると、神社の方から聞こえてくる。ホーホー、ホーホー。少しくぐもった規則正しい啼き声。アオバズクだ。最初はフクロウかと思ったが、調べてみるとアオバズクだった。しかも、渡り鳥。初夏にやって来て、ひと夏を過ごす。今年もようこそ。 神社には樹高30m以上になんなんとする何本もの大木がある。彼らはそのどこかに住み処を見つけて、太陽が西の空に沈む頃になると、毎日律儀に声明が始まる。ここ周辺は、夜は真っ暗になるので、その闇の上空から啼き声は降りて来るのだが、この風情