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2023年、ちょっくら一回、書を捨ててみた

今年ももう終わるので、かる~~~く1年を振り返ろうかと思います。

2023年の私の個人的なテーマが「書を捨てよ、街へ出よう」でした。もちろん出典は寺山修二ですが、今年の私はどちらかというとヨルシカのチノカテという曲に触発されています。(原作の本もチェックしたけどそれはあんまり刺さらなかった)

本当は僕らの心は頭にあった
何を間違えたのか、今じゃ文字の中
(中略)
ずっと叶えたかった夢が貴方を縛っていないだろうか?
それを諦めていいと言える勇気が少しでもあったら
本当に欲しかったものも鞄もペンも捨てよう
町へ出よう

チノカテ(ヨルシカ)

いや、いい曲…。note書くついでにBGMにしてたら聞き入っちゃった。私にとっての「今年の一曲」は間違いなくチノカテです。


別に全然売れたいわけでもなく、何の夢も目標もないのに、「やりたいから」だけで音楽作って人前で歌ってきた。

でも、作ったり聴いたり、他の人の話を聞いてて思う。私は多分、別に音楽『それ自体』が単体で好きなわけじゃない。音楽はきっとただの手段であって、その奥にある人間の心に触れることが、きっとずっと目的だった。この世に沢山ある創作物の中で、一番創作者の心に直に触れられる手段が音楽だと思ったし、それにずっと救われてきたから。

私は多分、生身の人間のことが少し怖い。人と心を近づけて、自分の正体を晒して、生身で触れ合うことを恐れている。それなのに人間が好きだから、「生身の人と交流しなくても他人と心の中を見せ合える」手段になり得た音楽は、私の安全を守り孤独を癒してくれる、最強で最高のツールだった。

でも、「それでええんか?」という気持ちは結構前からちょっとあった。こんなにも他人に興味深々で世界と交流したいと思っているくせに、脳内には色々な言葉や思想がうごめいている癖に、人間じゃなくて本や音楽とばかり喋ってるんだ?ずっとそのまま縮こまっているつもりなんだ?そうなんだ、へー。

それ、ちょっとダサくない?

…と、思ったので、今年のテーマが「書を捨てよ、街へ出よう」に設定されました。街へ出てみて生身の自分で人間とすったもんだしてみろよ、と思ったワケです。

そういうワケで他者との交流や日常生活に重点を置いた1年を過ごしてみて、相も変わらず他人は怖いし私のダサさもぬぐえないけれど、でもこのテーマ設定をして良かったなと思えています。ちょくちょくブチ切れているし疲れているし「世界は醜く人間は愚か…」と闇落ちモードに突入することもあるけど、まぁでも、総括悪くない一年でした。

人に好かれたり嫌われたり、傷つけたり傷つけられたりすることは「生きてんなぁ」という気がするし、職場のくだらない諍いは個人の思想の違いが垣間見えて面白い。「クソが!!!」と思っていたような事柄に囲まれて生活しているはずなのですが、どうしてなかなか、悪くないです。


『暇と退屈の倫理学』という名著があります。私はこれの本文も好きなのですが、それ以上に帯の文章がベラボウに好きです。(※文庫本では『東大で一番読まれた本!』的なクソみたいな文章にすげ変わっています。地獄の業火で焼かれてほしい)

「わたしたちはパンだけでなく、バラも求めよう。生きることはバラで飾られねばならない」

暇と退屈の倫理学(國分巧一郎)

…いや、滅茶苦茶いい言葉じゃないですか?
でも私はどちらかと言わずともバラばかりを追い求めてしまう性分なので、どちらかというと、自分にこう言い聞かせてやりたいです。
「わたしたちはバラだけでなく、パンも求めよう。パンだってバラで彩ることができるはずだ」
あらやだクサくて恥ずかしい。
でも大マジのマジです。年内の恥はここで書き捨てる。パンを求める事それ自体がバラでもあるんじゃないのかと、最近は割と本心から思えています。(あ、パンも大事にしますけどバラも大事にしてますからね。別に音楽つくるのやーめたっ!とかってわけじゃないですよ。あしからず)

総括、2023年いい年でした。テーマ設定して一年過ごしてみるの、恥ずかしいけれど悪くないですね。来年は何にしようかな。

2023年関わってくれた方々ありがとうございました、来年もよろしくお願いします!〆!!!!!!

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