「タンポポ」の特徴や種類について
〈目次〉
1.タンポポとは?
2.タンポポの特徴
特徴1.花
特徴2.葉
特徴3.綿毛
特徴4.茎
特徴5.根
2.タンポポの種類
(1)二ホンタンポポ
(2)セイヨウタンポポ
1.タンポポとは?
タンポポは、キク科タンポポ属の草花の総称で、主に3~4月にかけて、黄色い花を咲かせる野草です。
春の野草といえば、このタンポポを思い浮かべる方も多いでしょう。
もっとも、セイヨウタンポポは一年中花を咲かせることができるので、春以外の季節でも花を見ることができます。
毎年花を咲かせる多年草で、生命力が強く、根が残っていれば茎を刈られてもまた伸びてきます。
タンポポは根が長く、50cm以上まで深く伸ばすこともあるので、ガーデニングや家庭菜園では、根絶しにくいちょっと厄介な雑草でもあります。
江戸時代には園芸愛好家にも人気のある花で、園芸品種もつくられました。
2.タンポポの特徴
タンポポの特徴について、解説していきます。
特徴1.花
タンポポの花といえば、茎の先に咲く丸い花を思い浮かべます。
じつは、これは花の集合体です。1枚1枚の花弁のように見えている小さな花が集まった、花の塊(頭状花)なのです。
小さな花が集まって、一つの大きな花のように見せることで、より昆虫の目を引くようになっています。
この小さな花をよく観察してみると、小さな花の上部は舌のように伸び、下部は筒状になっていて、中にはちゃんとおしべとめしべがつくられています。
このような形の花は、合弁花の一つで舌状花と呼ばれ、タンポポと同じくキク科のコスモスやヒマワリにも見られます。
タンポポの花が咲く期間は約3日です。花は朝につぼみを開き、夕方には閉じています。
初めは太陽の光が差し込み、15~25℃ほどの温度がある状態で咲き始めますが、2日目以降は太陽の光だけでも咲いたり、3日目になるとどちらもなくても花が開くこともあります。
実は、現在においてもタンポポの花についてはまだ解明されていないことも多いのです。
特徴2.葉
タンポポの葉は、ぎざぎざと切れ込みが入った形が特徴的です。
この葉は、育つ場所によって少し形が変わってくることもあります。
日当たりが悪い、日陰の場所に咲くタンポポの葉は、少しでも太陽の光を多く浴びることができるように、葉の枚数が少なく、切れ込みが浅くなります。
一方、日当たりのよい場所に咲くタンポポは、重なった葉の隙間から差し込む光でも光合成ができるため、葉の切れ込みは深くなり、重なり合うように多く茂る傾向にあります。
また、夏の間は他の植物もよく茂るので、草丈の低いタンポポはあまり光を浴びることができません。
そこで、夏の間は葉を少なくして活動量を減らし、秋頃になって他の植物の活動量が落ちてくると、葉をロゼット状に茂らせて寒さや乾燥から身を守りながら冬を越します。
特徴3.綿毛
タンポポの種子である綿毛について。
タンポポといえば、黄色い花もさることながら、白くふわふわとしたこの綿毛姿も可愛らしいです。
タンポポの綿毛の部分は冠毛といい、風に乗って飛ばされやすいよう、羽に似た形をしていて、雨の日になると濡れないように閉じてしまいますが、晴れるとまた元通りになって飛んでいきます。
冠毛を一つ取って見てみると、綿毛の下にタネのようなものがついています。これはタンポポの果実(痩果)で、この中にタネが入っています。
前述の通り、タンポポの花は小さな花の集合体です。
そのため、花が咲いた後はその一つひとつが果実をつくり、あのように綿毛がついたたくさんの果実が集まった姿になります。
こうしてつくられた果実は、離れた場所で繁殖するために飛んでいきます。
タンポポは繁殖力が強く、タネが落ちたところが土の上でなくても成長することがあります。
アスファルトの隙間などから顔をのぞかせている姿などもよく見かけます。
特徴4.茎
タンポポの茎は、よく見ると葉がついていません。
この茎は花茎と呼ばれ、葉をつけるのではなく花を咲かせるための茎です。
タンポポのつぼみは葉のつけ根にでき、成長するごとに花茎が伸びて花を咲かせます。
花が咲き終わった後は、茎の成長は止まりますが、葉や根の養分が送られてタネが育ち、2週間ほどで白い綿毛姿が見られます。
なお、タンポポの茎を折ると出てくる白い乳液は、細菌やカビの侵入を防ぎ、傷口の修復をする作用があると考えられています。
特徴5.根
タンポポは地中深くまで長い根を伸ばしています。長さは30~50cmほどで、時に1mを超えることもあります。
タンポポの根はとても太く丈夫で、地上部がなくなっても根があれば再生できるため、生命力の強い野草です。
長い根を完全に取り切るのは難しいため、雑草としてはなかなか厄介な存在です。
また、この根を焙煎してつくるたんぽぽコーヒーは、コーヒーの代替品として使われていることもあります。
味はコーヒーそのもの、という訳ではありませんが、ノンカフェインで、健康や美容によい効果があるとされているため、現在でも多くの人に飲用されています。
2.タンポポの種類
タンポポには大きく分けて、日本に自生するニホンタンポポと、外来種であるセイヨウタンポポの2つがあります。
それぞれの特徴や違いを解説します。
(1)二ホンタンポポ
ニホンタンポポは、もともと日本に生息していた自生種です。
ニホンタンポポと一口にいっても、カントウタンポポやエゾタンポポ、シロバナタンポポなど、いくつもの種類がありますが、どれも花のつけ根にある総苞が閉じているのが大きな特徴で、花の後ろを確認すれば、セイヨウタンポポと簡単に見分けることができます。
稀に冬にも咲くことがありますが、基本的に開花するのは春のみです。
綿毛のついた果実はセイヨウタンポポよりも大きく重く、量も少ないため、広範囲に飛ぶことが少なく、また、セイヨウタンポポとは違い、単為生殖※によって増えることも少ないため、分布している場所の範囲は局地的です。
※単為生殖(たんいせいしょく)とは、一般には有性生殖※する生物で雌が単独で子を作ることを指します。有性生殖の一形態に含まれます。
※有性生殖(ゆうせいせいしょく)とは、2つの個体間あるいは細胞間で全ゲノムに及ぶDNAの交換を行うことにより、両親とは異なる遺伝子型個体を生産するものです。
最近ではセイヨウタンポポに押され、目にすることが少なくなりましたが、神社のそばなど昔ながらの自然が残っている場所では、自生している姿を見ることができます。
実はニホンタンポポは、環境適応能力はセイヨウタンポポよりも上で、非常に強いと考えられています。
ただし、セイヨウタンポポとの交雑が多く起こっているため、純粋なニホンタンポポは次第に数を減らしているようです。
(2)セイヨウタンポポ
セイヨウタンポポはもともと外来種ですが、現在では日本各地に分布しています。
日本で確認されるタンポポの8割ほどがセイヨウタンポポか、その交雑種だといわれていて、普段見かけるタンポポは、多くがセイヨウタンポポです。
セイヨウタンポポは、ニホンタンポポとは違い、総苞片が反り返っているという特徴があります。
ただし、ニホンタンポポとの交雑種には見分けがつきにくいものもあります。
また、タネの量が非常に多く、果実も小さく軽いので、風に乗って広範囲に広がり、アスファルトの隙間など、生活に身近なところにも多く分布しています。
単為生殖によりクローン体をつくって多数に増える半面、環境適応力はニホンタンポポに比べてやや低いと言われています。
一年中開花することができるので、季節を問わず花を楽しむことができます。
参照元: 「GARDEN STORY」Webサイト
以上