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いまはなき「浦安魚市場」


多くの人々に親しまれてきた浦安魚市場が2019年3月末で閉場となった。東京湾の新鮮な魚介類が豊富で、業者への卸だけではなく一般の方への販売も行い、「市民の台所」として人々に愛されてきました。年末は大売り出しで賑わい、浦安元町の人々に限らず、多くの人々が訪れ、浦安の風物詩となっていた。



■閉場前の浦安魚市場について

市場の中①


市場の中②


「浦安魚市場」の歴史は古く、昭和初期、数店で今の堀江に市を開いた。その後、浦安橋近くに移り、昭和28年に組合を結成し市場を開いた。

そして、昭和46年3月、「浦安魚市場総合食品センター」という名称で現在の北栄に移ってきた。

昔の浦安魚市場


「浦安」は、昭和40年代に海面埋め立て事業が始まる前は、のりの養殖やあさり漁などで栄える漁業の町だった。そんな面影を残しているのがここ「浦安魚市場」である。

浦安魚市場の朝は早い。中でも早いお店は朝の2時頃から仕込みを開始する。

市場の人たちは驚くほどきさくで、親切。一見頑固そうに見える職人も、時より見せる笑顔や言葉一つ一つに飾ることのない優しさが感じられる。

「焼きにするならこれがいいよ。おにぎりにするなら、これがいいね。」魚のことは無知な人でも初歩的な質問にも笑顔で丁寧に答えてくれる。

「スーパー」は食品を購入する場所だが、「市場」は食品そのものだけでなく、さばき方やおいしい料理の仕方、さらには人の温かさやぬくもりを感じさせてくれる場所でもあった。

まぐろ専門店「丸正」の朝は早い。築地から仕入れたマグロを4時の開店に合わせてさばいていく。

マグロ一筋50年以上の店主。「丸正」は、店主とその息子の親子2代で店を構えていた。店主の昔からの魚のさばき方はまさに「職人技」である。

見た目以上に力が必要とされるわけだが、店主の手さばきには、2代目も頭があがらないという。

濃厚な味なのだが魚の臭みなどは全くなく、さっぱりして甘みがある。とても旨いマグロの味だ。

「本澤うなぎ店」。市場の一角からこうばしい香りがしてくる。浜松で取れた新鮮な「うなぎ」を、毎朝4時からさばきその場で焼く。

女性3人で店を構える「本澤うなぎ店」は、華やかで活気に満ちている。
「祖父の代からの『秘伝のたれ』で焼く蒲焼」は絶大な人気で、飽きることのない味である。

「さつまや」では、あさりを串に刺し、昔から変わらない手焼きで焼く「焼きあさり」が焼かれている。

あさりやはまぐりの産地として有名だった浦安は、かつては「貝の町」とも呼ばれていた。   

名物の「焼き蛤」「焼きあさり」は浦安市の優良名産品にも指定される味で、その伝統の味を守り続けているのが、老舗「さつまや」である。

醤油、みりん、砂糖だけで添加物を一切使わず、手焼きで焼く「焼き蛤」「焼きあさり」は老若男女問わずファンが多い。

「山長」では「あさり」の佃煮が買える。浦安名物というだけあって、普段の食卓だけでなく、お土産や贈り物として買っていく人も多い。

「丸茂海苔店」は、本場江戸前にこだわりをもつ海苔問屋である。昭和22年、終戦と同時に浦安に店を構える老舗だ。

色、味、香りへのこだわりは徹底しており、大相撲東京場所・大阪場所の相撲土産としても売られるほどで確かなものである。

店には「板海苔」と呼ばれる生の海苔が売っているのがとても珍しい。「板海苔」は海苔本来の強烈な臭いを持ち、香りを楽しみたい人が自分で炙って食べるという。これも「漁師町浦安」ならではのこだわりだ。

千葉の海苔は全国的にも香りが強く、海苔そのものを味わうことができる。海苔にも色々な種類があり、香りを食べると言われる「青まぜ」は、お餅など具材がシンプルなものに最適である。

また、逆に具材を際立てるのは「黒海苔」。黒海苔は香りよりも旨味があり、巻物などに合う。

浦安名産の焼き蛤や佃煮、目の前でさばきながら焼く蒲焼など。漁師町だった頃の懐かしさを「浦安魚市場」で体感することができる。



映画「浦安魚市場のこと」


写真集「浦安魚市場のこと」①


写真集「浦安魚市場のこと」②


参照元: 「浦安LOHAS」Webサイト

以上

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