ジョブ型人事制度の事例:リコー

ジョブ型 人事制度 の導入事例、今回はリコーについて、共有します。

リコーでは、グループ会社3万人のうちリコージャパン(販売会社)の1万8000人を除いた、約1万2000人へ2022年4月にリコー式ジョブ型人事制度を一斉に導入。
リコージャパンの社員は顧客に最も近い立場におり、独自の人事制度を設けているため、猶予期間を設け、2023年4月からしています。

ジョブ型人事制度導入の背景

リコーは、直近、下記3つの環境変化がおきています。

出所:労政時報4056号

これまで、リコーは製造業として毎日会社に行き、品質の高い製品を作り出すということが求められていましたが、複合機などのビジネスのシュリンクなどを通じ、新たなビジネスの創出が求められています。

また、働き方の変化なども踏まえ、より一層個人のパフォーマンスへの期待値が高まるようになってきました。

リコー式ジョブ型人事制度の概要

リコーでは2022年4月より、リコー式のジョブ型人事制度を導入しています。
・管理職の一部のポジションを対象に公募制とする、
・会社にとって必要なポジションを策定し、ポジションがなくなってしまった管理職に対しても、一時的に籍を置くグレードを設ける、など欧米型にとらわれない独自の方式となっています。

出所:future career labo


出所:労政時報4042号

等級制度に関しては、能力ベースにしていましたが、細かいグレード(等級)分けは行わず、グレードをグループ化して配置・異動しやすい仕組みにしています。
ただ、責任の水準、重さ、時間軸、その他をベースに、グレードごとに基準を設けています。

出所:労政時報4042号

また、管理職ポジションにおいては、それぞれのポストの職務や職責、求められる知識・経験などを職務記述書として明文化。
ジョブ型が求めるのは個人の資質、という考えのもと、管理職昇格試験を廃止しました。

なお、非管理職である一般職においても、担う役割に基づいたグレードに格付けすることで、早期抜擢を促進しています。

報酬制度に関しては、従来は格付けされた資格により、報酬が決定されていましたが、新制度は担っている職務に伴い、報酬が変動するしくみになっています。
また、配置・異動の柔軟性を担保のために、報酬レンジを広く設けることで、ジョブと報酬の連動性を確保しているようです。

従来あった、役職手当や高度熟練技能専門職手当など、ポジションや能力に応じて支給していた手当は廃止したそうです。

キャリアの自立に向けて

これまでメンバーシップ型で働いていた社員に対し、急にジョブ型人事制度へ移行する、といっても、なかなか社員としては難しいもの。
そのため、リコーではキャリアの自立にむけ、下記のような施策を取り入れ、社員が自身のキャリアを考える機会を創出しているようです。

目標設定面談
業務フィードバック
キャリアカウンセリング
社内公募制度の導入
学位・認証サポート

いかがでしたでしょうか?
リコーの人事制度はいわゆる典型的なジョブ型人事制度とは一線を画すジョブ型人事制度化と思います。
背景として、リコーのコーポレート上席執行役員。 CHRO 人事部部⾧の瀬戸まゆ子さんは、これまでGE、ソシエテ・ジェネラル証券メットライフ生命、武田薬品等、外資系のカルチャーが色濃く残る企業で人事を経験されていたため、日系企業にて、日系のカルチャーに合うジョブ型人事制度を作りたいと思われたのではないかなと思います。

今回の記事も、少しでもお役に立てられたら幸いです。


出所:


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