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渋さ知らズ25周年 晴海中止編 雑感

本来ならば晴れ狂った空の下で、絶好のロケーションで、新生姜でもかじりながら、飲んで騒いで笑って、渋さ知らズ25周年を祝うはずだった。それが何号だか知らないけど台風とかいう意味不明なキチガイのせいで中止になっちゃった。開催が決まってからすごく楽しみにしていたのにその知らせを聞いた時にはひどく落胆した。

それがどーいうわけだか知らないけど、会場を室内の多目的ホールに変更して無料で公演を開催するということになった。費用は渋さ知らズの持ち出しで、しかもチケットの払い戻しまでやっている。マジで意味がわかんねえ。なんで渋さが記念すべきメモリアルライブで大損ぶっこいてんだよ…Σ(゚д゚lll)この時点で俺からしてみれば台風とかどーでもよくなった。別に義理立てしているつもりはない。面白そうな企みにはのっかりたいっつーか、渋さと共犯して台風なんてあざ笑うかのような狂乱のバカ騒ぎがしたいっていうだけだった。

かくして、渋さ知らズ25周年企画大作戦 晴海中止編が決行された。

会場に入ると新生姜の被り物をした人が「おつまみになった岩下の新生姜」配布芸に明け暮れていた。もちろん俺も貰ったんだけど、配ってた人って社長さんだったのかな?イマイチ自信がなかったのでとくに声とかかけなかったんだけど、もしご本人だったらご挨拶したかったな。こんなに最高なブッキングをしてくれてありがとうございましたって直接言いたかったし。あと、これな。


☆渋谷毅

岩下の社長が無理矢理ねじこんだ渋谷毅さん。淡々とした演奏をされる方なんだけど、とても気品に満ち溢れている。耳を傾けてピアノから鳴らされる音がフロアの空気と穏やかに溶け合っていくさまを感じる心地よさが鬼。これを野外で夕暮れ時なんかに聴いちゃったら楽に死ねる。ちなみに、渋谷毅さんってオザケンと一緒にやってた人ね。動画も貼っておくので昔を懐かしみつつ派手に署名でも集めてまた一緒に演奏する日を夢みましょうね。このピアノに悶絶した人たくさんいるでしょ?

☆スガダイロートリオ

自分のなかで今回いちばん野外で観たかったのがスガダイロートリオである。ハコでは何回も観てるけど、あんなに凶暴な音をオールスタンディングで、しかも野外で体感できたらどれだけぶっ飛べるんだろうってずっと思っている。今回が絶好のチャンスだったんだけど。それはさておき。短い持ち時間のなかでトリオの魅力を凝縮したような完璧なセットリストだった。渋さの「犬姫のテーマ」「ひこーき」の解釈の仕方が素晴らしいし、「黒坊主、参り候」と「epistrophy」で観客の意識を根絶やしにする爆裂演奏も披露。ダイローさん相変わらずアップライトピアノをぐわんぐわん揺らしてた。あれいつ倒れてもおかしくないよな。ノイズ中村(赤フン+法被のえんやとっとコスプレ)を投入しての「珠算遊戯」も最高に狂ってた。ノイズさんのハートの強さは世界レベルだと思う。マジで。

☆栗コーダーカルテット3/4とビューティフルハミングバード

「ピタゴラスイッチのテーマ」という究極のキラーチューンがある限り、喰うのに一生困らない方々ではあるが、他のオリジナル曲も単純な楽器構成なのにすごく豊かな音がたくさん散りばめられていて聴く楽しみがえげつない。耳を澄ませて音を聴き取り、響きを感じ取るのってすごく楽しい。ビューティフルハミングバード主導で演奏してたカントリーっぽい曲も良かった。いい声してる。

☆Orquesta Libre(ゲスト 柳原陽一郎)

日本でいちばんヤバイ「ボーカルとコーラスの組み合わせ」は柳原陽一郎と知久寿焼だと未だに信じて疑わないんだけど、柳原さんを今までに一回も観たことがなかった。めちゃくちゃ大好きだった「たま」のライブに行けなかったこともまた未だにトラウマだったりするんだけど。ちなみに当時から俺の推しは柳原さん。あーもー。で、今回ついに生で観れたんだけど。やっぱり変態だよね…Σ(゚д゚lll)濃厚な朗読、ねちっこい歌い方、奇妙な舞い。目つきが怖い。感性がぶっ飛んでる。ちなみに、リブレでベースを弾いているのは鈴木正人なので、図らずしてイカ天キングがそろい踏みという中学生の頃の俺が悶絶するようなシチュエーションであった。\やっぱイカ天だなー!/三文オペラ主体の構成だと椎谷求さんの変なギターの音すげえ主張しててグッとくる。

☆渋さ知らズ

順番前後しちゃうけど、声を大にして伝えたいことがある。

諸行でムーチョ、大ヤバイ!!!!!!!!!!!!

佐々木彩子、室舘彩が天真爛漫に踊り歌う。幸せエナジーに満ち溢れたあの空間に再び身を預けられたことが何より楽しくて楽しくて楽しくて楽しくて顔面ぐしゃぐしゃになった。この二人がステージにいるだけで「楽しい」が会場全体に連鎖する現象に名前をつけたい。

思い返せば今回のライブも名シーンがてんこ盛りだった。石渡さんと藤掛さんのガッツリセメントな尖った音を背に雄大に踊る若様の重厚感。いつにもましてギリギリのところまで踏み込んでいくさまは圧巻だったし、ぶっちゃけ寿命削ってんじゃねえかってくらい凄みがあった。背中に流れる汗の美しさな。先日の新ピ2デイズで覚醒した山田あずささんは今回も健在で、さんざん鉄琴を強打したあとにダブルで使ってたマレットをフロアに叩きつけてなおシングルで叩き狂ってる姿には狂気が宿っていた。展開の流れでヒゴさんとギデオンという激渋なデュオも味わえたし、立花&磯部さんも大編成の背骨たりうる安定した演奏で支えていた。ペロさんやすがこさんが近くに来れば演奏そっちのけでガン見する男の性もちゃっかり発動しつつ、宝子さんの指先にまで宿る表現に心を鷲づかみにされる。いつも以上に変顔を繰り出す東洋の一挙手一投足を興味深そうに見つめるダイローさんとか。割を食ったコーイチさんのモチベーションを案じたり、痩せすぎた片山さんのことを心配したり。わずか1時間ほどのライブでも挙げだしたらキリがない。

でも、んなこたぁどーだっていい。渋さ知らズのライブは様々な表現を肯定する遊び場である。力強く鳴らされるユニゾンさえ浴びてれば、自分の人生さえ肯定してくれているような気すらしてくる。俺の部屋の中央に置かれたハシゴを昇って天井を虫眼鏡で覗くと極太ゴシック体で「渋さ知らズ」って書いてあるから。っていうか、虫眼鏡いらねえじゃん…Σ(゚д゚lll)どさくさに紛れて派手に踊り狂って笑って泣いて。俺すごい単純だから、こんなに気持ちいい遊び場がある限り何度だって行っちゃうわ。

今回、天候の関係で来たくても来れなかった人もいると思うし、渡部さんがまた絶対に来年になっても25周年のリベンジするって言ってたからさ。その時はみんなで行こうよ。絶対に楽しいからさ。来年になったら26周年とかいう無粋なツッコミは…Σ(゚д゚lll)

いちどは開催が危ぶまれた公演も、気がつけば4時間30分ガッツリやってんの。しかも無料で。終演後もロビーで演奏を続ける渋さの面々もそうだけど、雨の中帰るお客さんひとりひとりにチラシを配りながら感謝の言葉をかける不破さんの姿には相当グッときた。お礼を言いたいのはこちらのほうだ。渋さは台風になんか負けないって言ってましたよね。俺もそう思います。完全勝利でしたよ。台風ザマアミロ…Σ(゚д゚lll)チョー楽しかった!!!

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