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ツージーQ還暦祝いデスパーティー 雑感(QP-CRAZY vs 流血ブリザード vs THE DIGITAL CITY JUNKIES)

この日はスチャダラパーのライブに行こうと思っていた。ブーツでドアをドカーッとけって「ルカーッ」と叫んでドカドカ行って、コレよくない?よくないコレ?ってゆるーい感じで楽しもうと決めていた。ところが昼間に起きてツイッターを眺めていたら、

当日券ないのかよ…Σ(゚д゚lll)

前売で買わなかったのが悪いんだけど、まさか販売しないとは考えていなかった。予定の変更を余儀なくされたので他に楽しそうな催し物はないかと探していたら見つけてしまったのだ。地獄行きの特急乗車券とも呼べる殺害塩化ビニールが主催するデスパーティーが三軒茶屋で開催される。これは行くしかねえやつだ。期日前投票の会場である地域センターまでの道中に聴いていた『アーバン文法』を急遽『戸塚ヨット』に切り替えて闘志を高める。

三軒茶屋ヘブンズドアにはtengal6のライブで来たことがあった。ガッツリ不健全の権化みたいなフロア環境。開場時間に律儀に行ったら客が全然入ってなくて、なんとなく椅子に座って一服しているその周りをSIMI LAB に完全包囲されてしまって震え上がったことを思い出した。あの時のゲットー感エグかった。ガチで強盗殺人の被害者に俺はなる的なクソやばいバイブス。いや、実際はすげえいい人たちなんだけどさ。

殺害塩化ビニールの自主企画であることから、フロアは「殺」ロゴで溢れ狂っていた。Tシャツはもちろん、腕章やマスク、トートバッグに至るまでオール「殺」づくし。鋲だらけの革ジャン、特攻服、ゴスロリ、綾小路翔みたいな人、謎の奇声をあげる外国人、なかにはガチでガスマスク着用の奴までいる。最近のライブハウスでは味わうことのできないコクのようなものを感じながら開演の時を迎える。ちなみに開演時間はPM6:66(7:06)である。

☆THE DIGITAL CITY JUNKIES
ヘブンズドアは動線の都合上、アーティストはそれぞれフロア後方から客をかきわけてステージに向かわなければならないんだけど、ボーカリストがトラメガ片手に手持ち花火をぶんぶん振り回しながら突っ込んできた。まだ何も始まっていないのに、もうフロアが火薬くせえ。
THE MAD CAPSULE MARKETS『CH(A)OS STEP』を彷彿とさせるデジタルパンクな楽曲は最近ではフォロワーをほとんど見かけない気がするので、突き詰めていけば面白い存在になると思う。間奏部分でちょいちょいフロアに爆竹放り込んできたり、最後には再びボーカリストがフロアの真ん中に降り立ち、自らの足元に大量の爆竹をばら撒いて火花を散らしながら踊り狂っていた。近くにいた俺の顔面にもバンバン飛んできて熱かったので、これ以降はディフェンスにも注意を払うようになった。

☆流血ブリザード
巨乳まんだら王国、ニューロティカとのスリーマンで観たことがあったので、ある程度の出方は把握していたけど、以前に比べると楽曲の強度が増したように思った。キメるべきところはガッツリ演奏していることで生まれる興奮と、フロアに投げ込まれるバリエーション豊富なアイテム(使用済みナプキン、食パン、バナナ、かつおぶし、白菜、ピーマン、焼きそば、さんま、爆竹)がもたらす刺激がいい具合に折り重なっていて、無駄に楽しい空間が出来上がった。ライブの最後にユダ様が行ったパフォーマンス(読む人を選んでしまう内容なので割愛)はガチで戦慄が走った。あと、ミリーさんが見た目に反して真面目な方のようで、非常に萌えてしまったことが誤算でもあった。ミリーさんかわいいよミリーさん。

☆QP-CRAZY
ここまで出演した2バンドとも爆竹だの花火だの着火し狂ってきたので、さすがに観ている俺にも耐性がついてきたと思ってたんだけど。うん。やっぱり格が違った。同じくフロア後方から入場してきたザ・クレイジーSKB(以下、バカ社長)が、

火炎放射器ぶっ放しとる…Σ(゚д゚lll)

客の海が割れた先に巨大な炎が投射されている光景はモーゼの凄みをはるかに凌ぐものであった。っていうか、一瞬にしてフロアの温度がリアルにあがった。いざ、ステージにあがればいつものように鬼タイトなハードコアパンクをぶっこんでくる。もうホントにかっこいいわ。気がつけば俺も拳なんか硬く握っちゃってるし、フロアで屈強な客に弾き飛ばされたとしても、飢えた獣のように刺激を欲することの貪欲さは決して失われない。

でも、仕掛けてくる時だけはちゃんと逃げる。だって怖えもん。マネキンの口に咥えさせた花火に点火することはいいとしても(よくない)、大量に持ってきた何十枚もの皿を頭突きで割り狂って、その破片が飛んできたのは危険だった。実際にどセンに君臨していたスキンヘッドの常連さんの顔面が血だるまになっていたし。これに関しては、バカ社長(以下、チバユウスケと小学校の同級生)も額から流血していたので返り血を浴びたのか、破片で切ったのかは後ろで観ていた俺にはわからない。だけどどちらにしても常軌は逸している。こういうコール&レスポンスに対しての是非を問うつもりではないけれど。

俺史上最強にぶっ飛べる曲のひとつ『戸塚ヨット』の破壊力はこの日も圧巻。妥協なきスパルタ教育の向こう側で自らの暴力性が具現化してくる恐怖からの狂乱モード突入。あらゆるものをたたきたくなる。どつきたくなる。しずめたくなる。怖いわー。で、気づけばステージ上にチバユウスケと小学校の同級生(以下、ザ・クレイジーSKB)の姿はない。もうこの時点で自らの死を予感した。この後どんな惨劇が起こるのかなんとなくわかっていた。

ほどなくして、背中に大量の爆竹を縫い付けたコートを纏ったザ・ クレイジーSKBが戻ってきた。嫌な予感は的中した。狭いヘブンズドアに逃げ場はほとんどない。せめて顔面被爆だけは避けるべく持っていた上着で顔を防御した。そしてフロア中央で背中の爆竹に火がつけられる。けたたましい爆発音とものすごい量の煙がフロア全体を制圧した。「爆竹ポア」と名付けられた究極の自爆テロ。上っ面だけみればなんてバカなことをと思う人もいるかもしれない。でも、これ実際に生で体感すると誰もそんなことは思わないよ。バカ社長というあだ名が示すとおり、確かにザ・ クレイジーSKBはバカである。だけど彼のバカさに妥協は一切ない。自分の美学としてバカに殉じている。自らのからだを必要以上に傷つけるのも、過剰なパフォーマンスも、すべて彼が彼であるために必要なことなのである。そうした姿に俺はめちゃくちゃ感動してしまうのだ。

終演後は充満する煙や火薬の匂いに加えて、撒き散らされた汚物の数々、あまつさえトイレの下水管が破裂したらしく、床まで下水が流れてきていて、フロアはちょっとした大惨事になっていた。命からがらたどり着いた物販で、最近購入してしまったほぼ日手帳(かわいい)に貼る用の殺害塩化ビニールステッカーをゲットして地上に避難。久しぶりに吸ったシャバの空気の心地よさとともに、生きてるって素晴らしいことだなと思った(ような気がする)

すげえ楽しかったので、機会があったらまた殺害塩化ビニールの自主企画に遊びに行こうと思ってるんだけど、その時はマジでガスマスク着用して行こう。あれ、あの場では最強の装備だわ…Σ(゚д゚lll)

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