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影絵と音楽を雨の降る原宿で(川村亘平斎×DUSTIN WONG 雑感)

影絵と音楽を使って多方面に活躍する芸術家・川村亘平斎(滞空時間/ooioo)が、かわいい靴下で様々なエフェクターを踏み狂って、ミニマルでカラフルなレイヤーを描き出していくDUSTIN WONGをゲストに迎えてコラボレーションするというゴキゲンな催し物に行ってきた。影絵ってちゃんと観たことはたぶんないと思うんだけど、なんとなく寂しいようなイメージを持っていたので、DUSTINのカラフルな音像と組み合わさるとどういう風に見えるのかという興味があった。

会場であるVACANTには子供を連れたお客さんがとても多かった。あちらこちらで泣き声や笑い声が聞こえてくる。客席前方にはCHUMSの座椅子なんかもあったりして非常にピースフルな空間になっていた。普段わりと殺伐とした空間でライブを観ることが多いので、なんとなく座りの悪さを感じながら開演を待っていた。

第一部はワラケ島に伝わる音楽をデュオで演奏するというもの。ちなみに、ワラケ島というのは以下の説明を参照してほしい。

フィリピン・インドネシア・マレーシアに囲まれたセレベス海に浮かぶ島。
海賊多発地帯に付き、現在までその生活が知られる事はほぼない。
島民・・・推定5000〜10000人
主食・・・芋、米、魚
公用語・・・WALAK語/INDONESIA語
宗教・・・土着の精霊信仰(インドネシア共和国内ではムスリム)
原生林と成人の儀式(WALAK ELELE)
成人男性の通過儀礼「ワラケレレ」では、成人した若者が満月の夜に島北西部の原生林に入り、野生のイノシシを捕まえる。捕まえたイノシシの牙を使った首飾りが成人男性の証。

他にもいろんなことが調査で判明しているんだけど長くなるので割愛。

これ例えるなら「こりん星」だから…Σ(゚д゚lll)
実際には存在しねえから…Σ(゚д゚lll)

要は、川村さんの考える空想の世界だということ。でも、この空想をシェアすることで目の前で鳴らされている音楽がもしかしたら本当にワラケ島ってあるんじゃねえかっていう気持ちにさせてくる。土着的なリズムに合わせてやたら陽気に歌われる非言語と、「ポップなスティーヴ・ライヒ」の異名を持つDUSTINのミニマルでカラフルな四十八手の組み合わせはひたすら気持ちよく共鳴していた。演奏中もあちこちで子供が泣いてたりしたけど、それもまたいいアクセントになっていたような気もする。

第二部は川村さんの影絵の物語とDUSTINのギターとのコラボレーション。

とある村に彗星が落ちてきて2ヶ月が過ぎた。雨も降らず、村の水源は干上がってしまう。隣の森に住む猿のニシオカは、水源に落ちた彗星をどけてもらう為に、天狗に相談に行くが・・・

というあらすじ。最初こそ、村人の爺婆、猿のニシオカ、天狗、訳わかんねえ精霊みたいなの。オールキャストを川村さんが一人でこなすその爆裂パフォーマンスに感心していたり、現実世界であるここ原宿では雨が土砂降っているのに水不足の話かと雑念も混じっていたけど、DUSTINの多彩な表現力とともに物語が進むにつれてどんどん自分も前のめりに物語の世界に身を投じていた。巨大なスクリーンで展開される影絵の美しさや表現の奥深さに感動すらおぼえていた。最後に雨が降ってきた時の様子は、回転するターンテーブルの上に穴の空いた灯篭のようなものを置いて回転乱反射させてたんだけど、それがもう本当にチョー綺麗だった。あまりに綺麗な光景に泣きそうになったんだけど、猿のニシオカのどアップで子供がぎゃん泣きしていたので助かった。ニシオカ、顔怖いもんね…Σ(゚д゚lll)

終演後には出演者に対する質問コーナーがあったり、影絵の裏側を見学できたりと非常に心温まる公演だった。外に出たら、めっちゃ雨が土砂降っていたけど、干上がるよりはマシだよなーなんて思いながら呑気に会場を後にしましたとさ。おしまい。

川村さんの影絵がすごくいいので動画を貼っておきます。DUSTINとのコラボレーションではないけれど、文中に出てきた猿のニシオカが出ているので。あと、志人・スガダイロー×川村亘平斎のセッションを早急に誰か企画してください…Σ(゚д゚lll)


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