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4分33秒で皆殺しじゃ!!ボケ!!

当初は別のライブに行くことを考えていたんだけど、ツイッターのタイムラインに流れてくるドラびでおさんの不穏な告知の数々が俺の心をゆるやかに蝕んでいくのと同時に湧き上がる好奇心を抑えることができなくなったので予定を変更した。ちなみにこの日の演目は「4分33秒」である。

前述の告知を受けてさすがに丸腰で行くのは危険すぎると思って、当日に直接ではないにしろドラびでおさんに手紙を書いてみた。

しばらくして、ご本人から返信をいただいた(ありがとうございます!)

また演目が変更してる…Σ(゚д゚lll)

しかも49秒短縮してる…Σ(゚д゚lll)

その前後に沼田さんが新たな告知ツイートをしていたんだけど、

開演時間、早っ…Σ(゚д゚lll)

また演目が変更してる…Σ(゚д゚lll)

己の身は己で守るしかないことを痛感したので装備を整えるべくコンビニに立ち寄る。会場であるFtarriというレコ屋は飲食物持込自由なので、とりあえず以下の商品を購入。

・ピルクル500ml → 特定保険用食品。生きた乳酸菌の権化。

・ビックリマンチョコ → 中身のシールは『野聖エルサM』
(聖神ナディアの命を受けて飛来した聖戦士軍の救世主)

コンビニでもらった袋が最悪ゲロ袋になったら嫌だなと思いつつ席に座って開演を待つ。その間にもステージでは出演者同士で演目の話し合いをしていてエモい。最終的には沼田さんの「4分33秒で自分さがし」ということになったらしい。また、演目が(以下略)

ドラびでお(レーザーギター)、沼田順(ギター)、小埜涼子(サックス)という組み合わせから考えるに、逃げ場のない地下室で視聴覚全殺しは避けられないかと思ったんだけど、場所的に大きな音を出せないことが幸いして気持ちよく半殺しにされた感じだった。別の言い方をすると強烈な刺激だけで本能的に狂うのも楽しいけど、音楽的または視覚的に何かを感じ取る作業もまたすごく楽しいものであった。

硬質なギターで鼓膜を傷つける沼田さんはこの日テーブルノイズにも積極的で、衝撃だけではなく空間を形成するかのような音の広がりがあった。衝動と音楽の二本足で小埜さんのサックスがひたすら前に堂々と歩いていくのがチョー勇ましくてかっこいいし、「こうしないと光がよく見えないから」と言いながらどさくさに紛れて大量の毒ガスを噴射しながら放たれる無数の殺人レーザーが店の壁を貫かんばかりに炸裂。光線の間に見える煙のゆらめきも怪しさしかない。

レーザーというものに対して、自分はよく目にするであろう大掛かりなライブに行った経験がほとんどないし、あってもほとんどが演出で派手に光ってるのを見る程度。どちらかというと他人事のようなイメージしかもっていない。ところがドラびでおさんのレーザーギターってやっぱり発想から違うというか。だって逃げ場のない狭い密室で、観客の体や顔面を容赦なく色鮮やかに貫いてくるんだぜ。今年だけで3回ほどこれの被害にあってるんだけど、毎回刺されながら「うおおおお!!!俺、いま死んでる!!!」って笑いが止まんなくなるのヤバイ。と同時に白状すると、今まで俺は死ぬことに夢中になっていてレーザーの先を全く見てなかったんだけど、この日はハコが狭いので初めてしっかりと見た。

ちゃんと○とか□とか宇宙っぽいのが映し出されてる…Σ(゚д゚lll)

しかも一瞬ニャロメが出てきた…Σ(゚д゚lll)

俺が全身を貫かれる快感に溺れ狂っているその先に、今までも○とか□とかニャロメとか映し出されていたかと思うとすげえじわじわくる。次に行く時はたまに後ろも振り返ってみよう・・・

ジョン・ケージの代表曲である「4分33秒」は偶発性の音楽(不確定性の音楽)とされていて「音を音自身として解放する」「結果をあるがままに受け入れる」という態度がある(Wikipediaより引用)そのような観点からするとこの日の三者による演奏は紛れもなくそれであったと言える。演奏時間とかじゃないんだよ。ノイズとサックスとレーザーが解放して交わって生まれたこの日だけの音楽。しっかりと堪能させてもらった。何よりすごく楽しかった。

終演後、外に出たら沼田さんがいたのでご挨拶。演奏中に噴霧された毒ガスが少々きつかったらしく、こちらのことも気遣ってくれたり、帰り際に楽しかったこともしっかりと伝えたら「また遊びにきてくださいね」って笑顔で言ってくれたりして嬉しかったんだけど、まさかこの数分後に脱水症状で病院に搬送されるとは想像だにしなかった。(詳細はこちらをクリック)

・4分33秒で皆殺しじゃ!!ボケ!!

・4分33秒死ね

・4分33秒で自分さがし

・毒ガス

・結果をあるがままに受け入れる

といったワードがシャレにならなくなっちゃったけど、沼田さんが無事で本当に良かったです。また遊びに行きますね。

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