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志茂田景樹インザハウス(サメトロ雑感)

salsa、DJ MEMAI、東京真空地帯、LOAの4バンド合同企画「サメトロ」。顔ぶれだけ見てもなんら文句のない好企画ではあるが、やっぱりスペシャルゲストとして発表されていたラッパー・志茂田景樹の存在はデカイ。伝説の夜が数多く繰り広げられたカラバッシュビルの地下で、しかも直木賞作家とフロアライブで対峙する機会なんてまずない。行く前に寄ったディスクユニオンで欲しかったアナログ盤が数枚あったんだけど、とにかく敵の出方がわからなかったので、どんなことをされても対処できるようにばっさりと諦めて手ぶらに近いかたちでハコに乗り込んだことは今だから言える話である。

以下、出演順。ちなみにこの日は全てフロアライブ形式。バンド名クリックで参考動画どーぞ。

志茂田景樹

HiBiKi MaMeShiBaをサポートDJに据えた1MC+1DJ。鼓膜から入り込んでくるサイケデリックなギターと不規則に乱打される重たいドラムビートが精神をゆるやかに破綻させていく。目の前には「奇抜」の二文字を超越した衣装をなんなく着こなす直木賞作家兼笑っていいとも元レギュラー。思ってた以上に接近してしまったので一歩退こうとしたのだが、なんか動けなかった。蛇に睨まれた蛙ってこういう心境なのかしら。

「よく聞けみんな。太陽は近く爆発する。もう十分地球のために燃えてきた。地球はそれに答えたか。自分のハートに聞いてみろ。いわずもがなのことだろう。この先燃えても○○←(聞き取り不能)それならここらで爆発だ。そんな太陽の本音の意思を俺の第六感は捕らえたんだ!」

のっけから聴衆の不安を煽るかと思いきや、次のバースで衝撃的な展開に発展する。

「やっちゃえ!やっちゃえ!やっちゃえよ~!なにをやっちゃうんだ。やっちゃえ!やっちゃえ!やっちゃえ!やりたいことをやればいい!どうせ地球はもうしばらくでなくなるんだ!!」

…Σ(゚д゚lll)

たとえばこの展開で壷的な何かを買うように迫られたらただの胡散臭い宗教ではあるが、あくまで自分のやりたいことをやっちゃえ!って突き放してくれる感じ。愛しかない。止まるな。やるしかねえんだ。

次の曲ではいよいよ何言ってんだかさっぱりわかんなくなってきたが、とにかくサビで

「ゴルゴルゴルゴルゴ~ルイ~!俺俺俺俺お~れは~!」

ってひたすら連呼してた。1曲目同様、滅びの歌であることは間違いないんだけど、そもそもゴルゴルの意味がわかんねえ。彼の勝ちパターンにまんまとはめられてしまい、言葉と音で埋め尽くされて思考能力も衰弱しきっていたこともあるんだけど。なんだろう。オノヨーコが唱えるドンウォリみたいなもんか←?

セットリスト

1.太陽よ、人類最後の恋を見届けろ

2.今、神が死ぬ

LOA

志茂田景樹からうけた衝撃を癒す間もなくLOAスタート。嵐の真っ只中に放り出されて全方位から音の塊を叩きつけられているような集団リンチにも似た爆音プログレ。ドラムの人は先日ジョン・ゾーンズ・コブラに参加していた人のようだが、その時とは違って男らしさ剥き出しのパワフルなドラミングで惚れた。シンバルの叩き方がマジで男前だし、冷却スプレーで股間を冷やしていたのもマジで男前。ベースの人はもはや何を弾いてんだかわからぬくらい高速な運指。ギターの人は衝動をきちんと解放させていて曲の熱量をひたすら引き上げていた。めっちゃかっこよかったんだけど、終演後に買おうとしたデモCDが余裕で完売していて泣いた。

東京真空地帯

レーザーがビッカビカに光を放つダンスフロアで快楽的なダンスミュージックを人力で構築する愉快な戦隊ヒーロー。ギミックとは裏腹にひたすらねちっこく反復するベースラインの中毒性の高さがヤバイ。下手にいた音楽的貢献度のあまりなさそうなシャアザクっぽい人の動きがコミカルなのもいい。ライブ途中で何の説明もなくかわら割りが披露されて、なんとなく全部割れたよなって感じで丸く収まったものの、楽屋裏では拳を一生懸命冷やしていたことが志茂田景樹によってばらされていた。ヒーローとはかくも辛い稼業であるな。

DJ MEMAI

以前観たことのあるdj sniffと同様に彼もまた音をしっかりと加工して構築してきっちりとフロアに爆撃するタイプのDJ。問答無用に踊らされるんだけど、最前で手元を観ててもテクニカルとクリエイティブが融合していてチョー楽しい。野々村竜太郎議員の釈明会見ネタもサンプリングして取り込みつつ「政務調査費、政務調査費、政務、政務調査費」とかスクラッチ決めてからのHARDFLOOR繋ぎとかもう最高にぶっ飛んだ。彼のDJはまたすぐにでも味わいたいなと思う。この人の奥はすごく深そうだ。

salsa

志茂田景樹がいつから「やっちゃえ」って言ってるのかはわかんないけど、スズケンさんは何年も前からライブハウスの最前線で「やっちゃおう」って言い続けてきた人である。知名度では負けてもフロアの沸かし方で負ける訳がない。すごく久しぶりに彼らを観たので最初のほうはベースの人が新しいベースを使ってるなとか、ドラムの人は髪が短くなったのねとか思ってたんだけど、白いストラトキャスターで鼓膜を傷つけてくる感じはやっぱり全然かわってなくて。リフ刻まれるたびに体温がぐんぐん上昇してきて、拳握り締めて、音に振り落とされないように懸命に呼応するロックンロールの醍醐味を存分に満喫させてもらった。やっぱりかっこいい。いつ観てもかっこいい。どちらかというとアウェイな場で光るバンドだったように思うけど、ホームでも余裕で客をねじ伏せることができるようになっていたのですね。早く新譜出して!!

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