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七尾旅人 feat.Ryan Sawyer@DUM-DUM PARTY

【※注意※】

以下の文章内に使われている「 」内の表現は筆者の主観ではなく、あくまで七尾旅人本人が言った自虐エンターテイメントの類であるので真偽のほどについてはご想像にお任せします。


「顔は笑ってるけどみんな静か」でお馴染みのファンが多く詰め掛けるなか、ほぼ定刻に七尾旅人登場。イベントのトップバッターという性質上、まだあたたまっていないフロアの状況を察知したのか、観客と気さくにコミュニケーションをとりながら彼のソロでライブが始まった。

「今日は既存の曲はあまりやらないで即興中心で」みたいな趣旨を説明した後に「12秒だけサーカスナイトやります」と告げる。

この曲のイントロを聴くたびに自分が感動したシチュエーション(りんご音楽祭や小林幸子との共演)が瞬時に呼び起こされる。満たされた思いでいっぱいになる。と同時にまたひとつ新たな感動が積み重なっていくとても幸せな曲。彼自身も演歌歌手にとっての代表曲ばりに大切に唄っているようにもみえるところが萌えポイント。曲中で彼は屈強な男子を前方に集めたうえでフロアに飛び込む鬼の用意周到さでもって人の波を担がれ運ばれ泳いだ。遊泳した後は柵の上を下駄で歩くタイトロープダンシングが炸裂。とはいえ、今回はスタッフの手を捻り取りつつ敢行していたのでイメージとしては新崎人生の拝み渡り(画像参照)に近い感じがしてグッときた。


12秒だけと言っていたわりにフルコーラス聴いたような気がしたが、それだけ濃厚で高密度な時間だったということできっと気のせいなんだろう。

もしかしたら順番違うかもしれないけど、2曲目が「リリースの予定もない、先輩や業界を非難した志の低い曲」トラップだったかな。ラップパートが聴きどころで本人も唄っていて楽しい曲だそうで。

「ヘロイン!コカイン!リゲイン!」

曲に入る前に「インで韻を踏んでるんだ」と得意気に語る七尾旅人。超ドープ。この伏線が何気に功を奏していて、曲を聴いている時に早くあのパートこないかなって無駄にわくわく感が増す。で、いざキタ時に一緒に叫んじゃうのがまた楽しい。

3曲目が「スタンダードな名曲を卑猥な言葉で埋め尽くした」星に願いを。旅人のエフェクターマジックと観客のイマジネーションが折り重なって見える時空を越えたギャラクシー。火星、水星、冥王星、ブラックホール。真昼間の薄暗いハコにいても創造と想像で俺らどこでもぶっ飛べることの実証。

この後で「ポケットに入りきらないポケットモンスター」「よりヤバイ飛鳥」という身もふたもない紹介からRyan Sawyer召還。

旅人が繰り出す三味線ビートも、重たいギターフレーズも、おもむろに発射したクラッカーの破裂音も、『余計なものなどないよね~』という一節から始まるシャブ中アンセムも、ディランの『天国への扉』も自在に乗りこなすRyan Sawyer a.k.a.髭の悪魔のヤバさ。重心の安定感、強靭なスネアとバスドラ、レギュラーグリップを駆使した多彩な即興表現力。なんでこんなに凄腕なドラマーを今まで知らなかったんだと己の無知を嘆きそうになったが、んなこたぁどーだっていい。一瞬で惚れた。

(AT THE DRIVE INに在籍してた云々の話はよう知らん。詳細求む)

必ずしも七尾旅人ファンだけが集う訳ではないイベントという枠組みのなかで、今回のように既存曲と即興表現をバランスよく配置したことはすごく有意義だったと思う。これを機に彼に興味を持ってくれる人が増えればいいなって。秋にはワンマンも控えているのでぜひぜひ。



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