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勝井祐二×U-zhaan×後藤まりこ

このライブが行われた2日後、っていうか、いま文章を書いている今日5月27日。後藤まりこは渋谷AXでワンマンライブに挑む。チケットの売れ行きに苦戦しているさまはTwitterやニュースサイトなどで知っているんだけど、彼女の並々ならぬ情熱には連日感化されまくっていて、絶対に成功してほしいと思いつつ、当日までに疲弊しきってしまうのではないかという心配も少しあった。

でも、完全に余計なお世話だった。

後藤まりこのイメージって良くも悪くも『危うさ』や『破天荒』といったものがつきまとっているけれど、そういったシーンはランチライブでは全く見られなかった。たぶん必要なかったんだろう。

勝井さんとU-zhaanが即興で生み出すグルーヴには凄まじい爆発力があって毎度の事ながら悶絶→脱臼→昇天のコンボでフルボッコにされる。でも、この日の演奏には糊代があったように感じた。後藤まりこに「この空間を自由に使っていいよ」っていうか。そのうえで真っ赤なギターを全身でかき鳴らしたり、茶目っ気たっぷりに歌ったり、アンプの後ろにちゃっかり隠していたバンジョーを弾いたり。誰にも余計なものにも邪魔されず、純粋に音楽と向き合って瞬間の瞬発力でいまを表現している彼女が最高に魅力的だった。と同時に、呪縛から解き放ってあげることのできる二人の懐の深さに脱帽した。ぶっちゃけ、ライブで披露された『sound of me』や『ドローン』はこのメンバーでがっつりレコーディングしてほしいと思ってしまうほど素晴らしい作品になっていた。

アンコールでは、後藤まりこ自身がまだ自分のものにできていない新曲を、勝井さんとU-zhaanが即興で伴奏するという鬼の無茶振り。ちなみにBPMは131。曲を知らないU-zhannがとりあえず叩いてみるが、曲を知らない勝井さんが「ちょっと早くない?」と難癖をつける。速度を少し抑えて伴奏が始まるが、そのリズムを後藤まりこが乗りこなせないという事案が発生。

後藤「……じゃぁ、ラップしま~す!」

Σ(゚д゚lll)

そこで披露されたフリースタイルはいい感じに脱力していて、でも即興の妙味もしっかりあって心地よさしかなかった。自らを傷つける必要ってやっぱりもうないと思う。異論反論あるかもしれないけれど、俺は今の後藤まりこが好きだ。事務所を辞めてたいへんなことがすごく多いと思うけど、バンドメンバー以外にも勝井さんやU-zhaanのような理解者だっているし、AXにかけつけるお客さんだってきっとたくさんいる。なんの心配もなかった。

5月27日が最高にハッピーな一日になりますように。


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