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初めてのジョン・ゾーンズ・コブラ体感メモ

なんとなくライブハウスのスケジュールを見ていた時に発見して、「うおおおおお!!!これ超行くしかねえ!!!」ってMAXハイテンションに高まったのでフジロックの準備もすっ飛ばして行ってきた。以下の内容はライブの感想というよりかは今後また観に行く時用の自分メモみたいなノリで。

「コブラ」は1984年にジョン・ゾーンが考案(作曲)したゲーム的理論を応用した即興演奏のシステムである。ただでさえ複雑なルール体系だというのに、詳細に関しては演奏参加者に守秘義務が強いられているようなので外部の人間が完全に理解するのは相当無理ゲーだとは思う。とはいえ、観客が見破るのはいいらしく、また検索をかければヒントみたいなものはそこそこ転がっているので引用も交えて紹介していく。

まずは簡単な流れから(引用元はこちら

当日の出演者は以下の11名。

巻上公一(プロンプター)、磯部舞子(バイオリン)、北陽一郎(トランペット)、ケイタイモ(ベース)、坂本弘道(チェロ)、沙知(ヴォーカル、キーボード)、高橋保行(トロンボーン)、武田理沙(ドラムス)、田端満(ギター)、とがしひろき(ドラムス)、中村仁美(篳篥)、ヤンマー島村(ギター)

プロンプターには「2T」「4B」みたいな感じの数字とアルファベットが書かれた19枚のカードが用意されていて、その詳細を知るのはプロンプターと演奏者だけである。で、演奏者が身振り手振りでプロンプターに「このカード(ルール)で演奏したい」と注文をつける。認められればプロンプターが全員に向けてその注文に対応するカード(ルール)を提示して即興演奏が始まる。終了の仕方も同様である。矢継ぎ早に演奏者たちが注文をつけるしプロンプター自らがカード(ルール)を提示して流れを作っていくこともあるので音楽的にはジョン・ゾーンの楽曲に近い感じになる。この例えがわからない人にはsajjanu、両方わからない人にはテレビのチャンネルをザッピングしているような感じと言えば伝わるだろうか。要は展開がめまぐるしく変化するスリルとショックとサスペンスを味わえるような刺激的なライブであり、手癖が追いつかない即興瞬発力が求められる場であり、リアルタイムで作曲の過程を見守る斬新なエンターテイメントっつーのかな。

演奏者たちが音楽の流れを壊さないように和やかに注文をそれぞれ出し合って平穏無事に綺麗なまま演奏をまとめることもできるんだけど、なかには「こんなぬるいことやってられるか!」ってブチギレる人も出てくる訳で。その場合は自らがゲリラのボスを志願することで場を完全に支配できるという叛逆の物語モードに突入。思うがままに他の演奏者に指示を出したり自分勝手にソロ演奏したってかまわない。これで場が一気に混沌とするのが醍醐味でもある。

カードの詳細に関しては前述のように外部に漏れることがないので、実際に観たり調べたりしてわかった範囲のことを書けば、例えば「おまえとおまえでデュオ演奏しろ」とか「自分のモチーフを模倣して誰かこの続きやれよ」とか「さっき記録したリフを再度演奏しようぜ」とかその程度。あとは音の強弱とかクロスフェード。うーん、わかる訳がない・・・

コブラでは即興演奏の技量もさることながら、瞬時に音楽の流れを理解して続く世界を創造→発展させていくアレンジ力が否応なしに問われるなと思った。圧巻だったのが坂本弘道さん。せつなくて荘厳で甘美な音色も鳴らすかと思えば、チェロの足に電動ドリルやグラインダーを押し付けて火花を散らす、ピックアップにぐるぐる回すタイプの鉛筆削りやオルゴールの音を拾わせる、発狂して本体を鉛筆でガリガリ塗りたくる、床に置いたシンバルの上に電マ置きっぱなしの刑。まさに悪行三昧。と同時に、積極的にゲリラにも立候補して自ら他の演奏者に指示を出してよりエキサイティングな空間を演出していくという無双っぷり。渋さ知らズやノータリンズでの活動も今までに観たことはあるが、ぶっちゃけこの形態がいちばんベストなパフォーマンスを発揮するのではないかと強い衝撃を受けた。

コブラについて知れば知るほど、観れば観るほどズボッと泥沼に沈んでいくこの感じ・・・クセになりそうだ・・・Σ(゚д゚lll)




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