勝井祐二×益子樹×山田杏奈 ランチライブ雑感

去年の12月21日に開催されたランチライブの時に、いつもだったら次回の詳細だったり、前売券を買えたりしたんだけど、その時点では今後の予定がまだ決まっていないということでなんとなくモヤっとしたまま越年。結局、先月は開催されなかったものの、2月、3月の詳細も発表になったのでまずは一安心した。

今回は勝井祐二×益子樹×山田杏奈という組み合わせ。ROVOの活動以外で直接お見かけする機会が極端に少ない益子さんの演奏や肉声を聴けるというだけでわりと幸せな気持ちになったりもする。益子さんはもちろんスタジオワークで多忙を極めているかと思うんだけど、ROVOでのパフォーマンスを観ていると結構演奏するのも好きそうに見えるのは気のせいだろうか。

山田さんのことは存じ上げなかったんだけど、後になって調べてみたら沢田穣治さん、Jimanicaさん、Llama界隈と一緒に演奏されているということで自分にとってもめっちゃ遠いわけではない。でも何より驚いたのが、去年の宇宙の日で終演後に販売していた「LIVE MEMORY」の録音に携わってたということであった。この音源は凄まじい勢いで聴き狂っていて、あまりの悶絶具合にいっそリスニング環境をハイレゾ対応にしてしまおうかと一瞬本気で考えたものだ。ちなみにその日のことは山田さんのブログに書いてありましたのでよろしければどうぞ→LIVE MEMORYよろしくです

益子さんがギターとシンセ、山田さんがキーボードという構成なので、当然のように電子音が支配する流れになった。ソロにおける勝井さんの演奏はよく観ているけれど多くの場合（デュオを除く）U-zhaanのタブラだったり、泣く子も踊りだすような鬼ドラマーとの共演だったりするので、今回のように完全に打ち込みのリズムで展開されるケースはほとんど記憶にない。そういった意味でも非常に興味深く観ることができた。

全体的には山田さんが積極的に世界を構築していく場面が非常に多かったように思う。キーボードと声で浮遊する空間を形成しつつ、ときにダブっぽいエフェクトをかまして一定の緊張感を保っていた。益子さんはシンセでジャストなベースラインを重ねたり、ギターでシンプルなコードストロークに徹することによって山田さんの演奏を援護射撃している。勝井さんは両者の音をよく聴きながら、極めて冷静にエフェクターで対話を試みているように見えた。バイオリンを弾いているときもしかり。終盤でアコースティックに持ち替えて鳴らされた美しい旋律は、電子音で構築された無機質な世界に気高く響き渡っていておっさんである俺が抱いてはいけない感情「うっとり」が発動してしまった。

勝井さんの演奏って、ROVOで体感しているような運指の限界を超えた速さで弦をしごき倒しながら、名刀にも勝る弓で残酷なまでに空間を激しく切り裂く鬼神の如きイメージを多くの人が持っているかもしれないけれど、っていうか俺も似たようなものだけど、ランチライブを含めてソロのライブでは情景が浮かび上がるような音の寄り添い方だったり、エフェクターを駆使して立体的な空間を形成したりする場面も非常に多く観ることができる。

今回のランチライブは各々が肉体的に音楽を表現しているというよりか、それぞれの出方を踏まえて、自分の内面から自然と沸いてくる音楽を重ねてみようという、どちらかというとスタジオでのセッションを観せてもらっているような気がした。心地よい音の連鎖に身をゆだねる昼下がりとか気持ちよさしかない。終演後に勝井さんが「これ、ずっとやってられるね・・・」って言ってたのもすごくわかる。

っていうか、勝井さん。

「これ、越後湯沢の駅前でやりたい・・・俺には苗場が見えた・・・」

ってどさくさに紛れて言ってたけど、普通に考えてもゲートから駅までクソ遠いし、俺は今年もフジロックに行くので、ちゃんとピラミッドガーデンでやってください…Σ（ﾟдﾟlll）

ん？考えてみれば勝井さんと益子さんがこのユニット（もしくはKOMA）でピラミッドガーデン、芳垣さんと岡部さんがOrquesta Libreでオレンジコート（ゲスト：スガダイロー）、精一さんがMOSTでホワイトステージ、仁さんがわかみほさんとのデュオでカフェパリに出演すれば今年もROVOな方々に苗場で会えるじゃん…Σ（ﾟдﾟlll）日高さんにリクエストしたさ。

ちなみに余談なんだけど、この日ランチライブが終わった後、新代田FEVERにskillkills×DRY&HEAVYのライブを観に行ったんだけど、転換の際にトイレの前で並んでたら、俺の後ろにさっきまで演者として観ていた山田杏奈さんがいたのがすげえエモかった。予想だにしない展開だったのでめっちゃあたふたしてしまったけど、直接ご本人にライブの感想を伝えることができて良かったです…Σ（ﾟдﾟlll）