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自家発電 Vol.05 雑感

開場時間前に着いたのでなんとなく入場待機列に並んでいたら原田仁さんを見かけた。先日のROVO@宇宙の日において無類の存在感を発揮していたことが記憶に新しいだけに思わず挙動を観察してしまったんだけど、ふらーっとアウトブレイクの隣のビルに入って行ったもんだから頭のなかでハテナが大量発生した。

ハコの場所を間違えたのかと思ったけど、すでに何回もアウトブレイクに出演しているからそれはない。NK第7ビルと名づけられたその雑居ビルには、外観だけ見るとお堅い事務所しかないように思える。間もなくしてスタッフさんに整理番号を呼ばれたので顛末を見届けることなく列から離れたので仁さんが何をしていたのかは知る由もない。ただ、自分の中で自家発電が波乱の幕開けになったことはここだけの秘密である。

●DJオッチー(DJ)
転換時に自家発電というイベントにある程度沿った選曲で心地いい時間を作ってくれた。開演前にかかったある曲が、知らないんだけどなんか心にひっかかるいい曲だなと思ってShazamを起動した。導き出された曲名を見て自分のなかに抗えない心の闇を感じた。


運営の思うツボだな俺…Σ(゚д゚lll)←元研究員

●せのしすたぁ(アイドル)
楽曲自体は革新性があるわけでもない普通のポップスなんだけど、音圧やリズムに頼らずメロディーのキャッチーさでフロアを沸かそうとする意欲を強く感じる。現在のアイドルシーンも全てとは言わないが細分化されたジャンルの空き家を探しては安易に引用して音楽好きの下品な知識欲を満たそうとする制作サイドのコンセプトとか、突飛なヲタ芸やカジュアルなクラウドサーフがお約束と化しているようなフロアの空気感とかマジでかったるいから、せのしすたぁの方向性は個人的にすごく好感をもっている。

ライブだと楽曲に肉体性が宿ることはもちろん、まおさんの類まれなる煽りスキルによって完全に心を掌握されちゃうっつーか。自発性を喚起させるエモさがあるっつーか。アイドルのライブってぼーっと突っ立って見ているよりも巻き込まれたほうが絶対に楽しいんだけど、その一歩を踏み出せるか否かっていうところでモジモジしちゃう、それこそ後ろのほうで様子を見ているようなお客さんに対しても同じ温度感を共有しようとするまおさんの姿勢はやっぱり素晴らしいと思うし、ステージ上で懸命にせのしすたぁの音楽を成立させるべく躍動するゆーたんとみかさんも素晴らしい。

●QP-CRAZY(パンク)
ステージに出てきたバカ社長のウニ頭が今まで観たことない色(白)になっていて「うわー、なんかデーモン小暮みたいだな…」と思ったのもつかの間、腕に巻いていた有刺鉄線にガンガン頭突きし狂っていた。1曲目を歌いだす頃にはすでに額から流血していてヤバい。大仁田厚やブッチャーだって流血するのは試合中盤以降だろうに。バカ社長、自傷行為の鬼だな…Σ(゚д゚lll)

妥協なきスパルタ教育さながらの鬼タイトなハードコアパンクによって自分のなかで狂気と暴力性が浮かび上がってくる。あらゆるものをたたきたくなる。どつきたくなる。しずめたくなる。なんかもうフロアにいる奴ら片っ端から殴りたい衝動にかられたんだけど、隣にいたお姉さんが連獅子の毛振りを彷彿とさせる端正で高貴な荒れ狂いかたをしていて、3秒に1回は顔面に髪の毛ビンタを喰らい続けるという惨劇を味わうことになり俺死亡。ちなみに連獅子の毛振りは邪気を払う為の所作という説があるのでQP-CRAZYのライブでは最適なノリ方なのかもしれない。

●サイボーグかおり(ヒューマンビートボックス)
おっとりした外見からは想像できない太い音を鳴らすヒューマンビートボクサー。即興表現に長けてる人といった印象。お客さんから曲のリクエストを募った時に、ビースティ・ボーイズ、サイプレス・ヒル、2PACなど、いかにもなチョイスに対して「それ知らない!」ってぶった切ってたのエモかった。で、カノン、ドラえもん、めだかの学校といったのほほんとした曲が採用されたんだけどDOPEな解釈で披露してたのも見事だった。

●田中雅紀(ギター弾き語り)
四谷推薦枠なのかな?予備知識が全くないまま観た。せのしすたぁのところでも少し触れたけど、奇をてらわないで誠実に鳴らされる音楽って一見して地味だし広がるスピードも遅いのかもしれない。だけどその道を自分で選んだのであれば腐らず焦らず届けたい人にちゃんと届くまで頑張ってほしいと思う。転換的な扱いだったので数曲しか聴けなかったけど性格のいい笹口騒音みたいな印象を受けた。熱のこもったメロディーはグッとくるものがあった。

●マメ山田(手品)
日本で一番小さな手品師。小人症の人が表現するエンターテイメントといえば昔は全日本女子プロレスの前座でミゼットプロレスの試合が組まれていたりしたのでよく観たりしていた。すごく好きだったのに気が付けば表舞台から姿を消してしまった。活躍の場が狭まっている現状ってどう考えても人権侵害だと思うんだけど。

それはさておき。
手品のネタはハンカチから次々に花が出てくるとか、折った新聞紙に水を注いでもこぼれないとか、オールドスクールなものが多かったんだけどベテランの方がやると味わいの深さが鬼。何かの演目の際に使っていたエロ本の切り抜きを運よく貰うことができたのでそれは大切に持ち帰ってきた。

●KIRIHITO(ロック)
バッキバキに尖がったギターと大砲乱れ打ち系スタンディングドラムのデュオ。お互いのテンションが拮抗し狂っていて野蛮の権化のようなグルーヴで攻め立ててくる。竹久さんはギター弾きながら足でシンセ踏み倒していて完全にどうかしてるし、早川さんのドラムは一打入魂とも呼ぶべき強い意志を感じる。最小構成にして最高の攻撃力をまざまざと見せつけられた。

●原田仁(ボイス)
自ら操作するカオシレーターを見えざる敵に見立てて次々に繰り出される音の攻撃に、ダミ声・デス声・破裂音から成る衝撃波で反撃しているようなノイジーなシャドーボクシング。形容しがたい怒涛の叫びもさることながらカオシレーターさばきが抜群にかっこいいことを改めて実感したし、なんならマジでカオシレーターが欲しくなったりもした。終演後、どさくさに紛れて少しだけお話させていただけたこともすごく嬉しかった。

●こまどり社(獅子舞)
仁さんのライブが終わって息つく暇もなく突然フロア後方から浴衣姿のお兄ちゃんがLASONICのラジカセを担いで現れてきて意味がわかんなかったんだけど、獅子頭を被った瞬間から目の前にいるお客さんの頭を噛み付き狂う獅子舞に豹変して事態を把握した。

俺がいちばん楽しみにしてたやつだ…Σ(゚д゚lll)

獅子舞に頭を噛まれるとその年は無病息災で元気に過ごせるといういい伝えを素直に信じて何度も噛んでもらった。

獅子舞「この時間は食べたり飲んだりしてチルアウトしてくださいね~」
獅子舞「目の前に頭があると噛まずにはいられないんですよぉ~」

やけに愛嬌のある人柄に惹かれて後日ネットでこの獅子舞について調べていたら非常に興味深い記事を見つけた。

http://best2006.web.fc2.com/orewata2010komadori.html

思いっきりこっち側の人間じゃねえか…Σ(゚д゚lll)

ぜひ飲みにでも行きたいっすなー。

●志茂田景樹&HiBiKi MaMeShiBa(ゴルラップ)
HiBiKi MaMeShiBaをサポートDJに据えた1MC+1DJ。鼓膜から入り込んでくる不規則に乱打される重たいドラムビートが精神をゆるやかに破綻させていく。目の前には「奇抜」の二文字を超越した衣装をなんなく着こなす直木賞作家兼笑っていいとも元レギュラー。

「よく聞けみんな。太陽は近く爆発する。もう十分地球のために燃えてきた。地球はそれに答えたか。自分のハートに聞いてみろ。いわずもがなのことだろう。この先燃えても○○←(聞き取り不能)それならここらで爆発だ。そんな太陽の本音の意思を俺の第六感は捕らえたんだ!」

のっけから聴衆の不安を煽るかと思いきや、次のバースで衝撃的な展開に発展する。

「やっちゃえ!やっちゃえ!やっちゃえよ~!なにをやっちゃうんだ。やっちゃえ!やっちゃえ!やっちゃえ!やりたいことをやればいい!どうせ地球はもうしばらくでなくなるんだ!!」

…Σ(゚д゚lll)

たとえばこの展開で壷的な何かを買うように迫られたらただの胡散臭い宗教ではあるが、あくまで自分のやりたいことをやっちゃえ!って突き放してくれる感じ。愛しかない。止まるな。やるしかねえんだ。

別の曲ではいよいよ何言ってんだかさっぱりわかんなくなってきたが、とにかくサビで

「ゴルゴルゴルゴルゴ~ルイ~!!!俺俺俺俺お~れは~!!!」

ってひたすら連呼してた。滅びの歌であることは間違いないんだけど、そもそもゴルゴルの意味がわかんねえ。彼の勝ちパターンにまんまとはめられてしまい、言葉と音で埋め尽くされて思考能力も衰弱しきっていたこともあるんだけど。なんだろう。オノヨーコが唱えるドンウォリみたいなもんか←?

(去年の夏に観た時と寸分違わぬパフォーマンスだったし受けた印象も全く同じなので以前に書いた感想を再掲)

●非常階段オーケストラ(ノイズ)
スクリーンで隠されていたステージの全貌を見渡した時には度肝を抜かされた。非常階段(JOJO広重、T.美川、REMO)、せのしすたぁ、志茂田景樹&HiBiKi MaMeShiBa、原田仁、KIRIHITO、QP-CRAZY(ツージーQ)、サイボーグかおりがスタンバイしているという驚愕の人口密度。

ほとんど全員いるじゃねえか…Σ(゚д゚lll)

いざ演奏が始まったら、耳をつんざくようなノイズと次々に目の前で繰り広げられるありえない人同士の交歓が過剰に絡み合って、俺はもう顔面の筋肉が悲鳴をあげるほど大爆笑しっぱなしだった。フロア後方から獅子舞が遅れて乱入してきた時なんてこの日いちばん鳥肌がたった瞬間だった。なんかすげえブチギレテンションの獅子舞に必要以上に強い力で何度も噛みつかれまくったので無病息災どころかめちゃくちゃ頭痛くなったけど全然許す。だってこんなに楽しいことがあるか?こんなに刺激的なことがあるか?

絶対にない!!!絶対にない!!!絶対にない!!!

非常階段が生み出すコラボレーションはいつだって最高に幸せな空間を作ってくれる。いや、自家発電という場の魅力やそこに集うお客さんも含めてなんだろうけど。妄想に過ぎないかもしれないが三者の共通点ってあらゆるジャンルや異文化に対して対等に接する(壁をつくらない)という考え方があるのではないかと思っている。自家発電に出演するアーティストはありえないほどバラエティーに富んでいるし、どんなジャンルでも面白ければ or かっこよければお客さんは前のめりに楽しもうとするし、それら全てを引き受けてノイズセッションとしてまとめあげる非常階段の懐の深さにも脱帽する。

チョー楽しかった!!!

クソ楽しかった!!!

鬼楽しかった!!!

なんかもう今回の自家発電は楽しむことに夢中になりすぎて写真の一枚も撮っていないんだけど、魅力的なシーンが盛りだくさんだったので興味のある方は自家発電の公式アカウント(@JIKAHATSUDEN428)とか参照するといいかと。写真てんこ盛りで震えるぞ。

次回の自家発電は11月29日に開催されることがすでに決定している。その日に至るまで、きっと自家発電も四谷アウトブレイクも様々な悪巧みを仕掛けてくるに違いない。絶っ対に楽しすぎて笑いがとまんない一日になるんだから、今回よりももっとたくさんの人が遊びに来たらいいなー。

自家発電 公式HP

四谷アウトブレイク 佐藤店長のブログ ←今回の自家発電を終えた感想

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