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勝井祐二×沼澤尚×ナカコー@ランチライブ 雑感

前回来てないだけですごく久しぶりな気がする程度には生活習慣のひとつとして意識に刷り込まれているランチライブ。今回は勝井祐二、沼澤尚、ナカコーの組み合わせ。ナカコーの動いている姿を観たのが人生で二度目というね。ちなみに初めて観たのが1998年。あの伝説のTOKYO COOL CAMPですよ。スーパーカーの他にミッシェル・ガン・エレファントとジャグアーとシャーラタンズを揃えた謎のフェス。何が言いたいかというと、俺は彼を、ましてや最近の音楽性をほとんど知らないということである。16年も前とかもう別人じゃんか。とはいえ、ランチライブは基本的に即興演奏を主体とする場なのでその辺はさほど問題ではない。ないけど、これからあらためていろいろと聴いてみることにしよう。

それはさておき。
ライブがとても素晴らしかった。ナカコーに対する予備知識や過剰な期待がなかったのが良かったと書くと身も蓋もないかもしれないけど、いやだからこそ彼の音楽に対する哲学や音の紡ぎ方にグッとくる瞬間がたくさんあった。瞬間沸騰的に興奮したとかではなくて、後からじわじわくる深い感動の類というか。

本編は50分くらい時間を使って1曲を演奏する構成だった。その内容を例えるならば、まずナカコーがいろんな紙をバーっと広げる。画用紙、わら半紙、半紙、競馬新聞。まあ、なんでもいいんだけど。それを受けて沼澤さんが紙に合う筆記用具を提示する。画用紙ならクレヨンとか、わら半紙なら鉛筆。半紙には筆だろうし、競馬新聞には赤ペンか。で、勝井さんが瞬時に理解して絵を描いたり、文字を書いたり、◎本命○対抗△穴馬の印を打ったりするような。役割は展開によって変わることも勿論あるので、常に互いに抑制し合い、均衡を保っていたのがとても印象的だった。彦摩呂だったら「まさに音楽の三権分立や〜!!」って言いかねない。ヤバい。

とにかくナカコーのコードストロークには余白のようなものがあった。その音を聴いてると俺のごとき凡夫でも何かしらアクションを起こしたくなったんだから、勝井・沼澤さんレベルだと当然のようにイマジネーションが泉のように湧いてくるわけで。事実として、勝井さんはいつも以上にエフェクターをこねくり回し、持ってきた3本のヴァイオリンをフル活用。沼澤さんのリズムパターンには一切の被りがなく、グルーヴの秘奥義を大放出していた。また、演奏者全員のテンションがいい意味で抑えられていたので、全体的には音がこちらに向かってくるのではなく、こちらの耳が音の方に自然といっていた。耳が音に集中して、心に浸透した頃合いを見計らったうえで、一気にテンションを上げてガッツリ狂乱のグルーヴまで引き上げるとか完全にプロの殺し方だ。っていうかプロなのはわかってるけど、それにしたって俺は気持ちよく殺されすぎだ。俺を殺すのに刃物はいらねえなマジで。

何度も即興演奏という場に身を置いているけれど、楽器が特性の全てを発揮して、音符の無数の順列を自由に使っているのを観たことがあまりない。このライブ、宮沢賢治に聴かせたらどんな顔するだろう←これはノリで書いただけ。

もとい。そうじゃなくて。このライブは小さいお子様たちに見せてあげたかった。ギターもドラムもヴァイオリンも本当にいい音が鳴っていたので、きっと憧れを抱いたと思うんだ。ギタリストやドラマー、ヴァイオリニストに俺はなる!って鼻息荒くする子が出てきたと思うんだ。パッと見た感じ、お子様は場内にいなかったのでそれだけが残念である。

最後にアンコールの場面でぶっこまれた勝井さんの感動的なマイクアピールの一文を載せておきますね。

「先日観に行ったNyantoraのライブは最高だったね…今度のリキッドルームはNyantora vs ROVOだから…6人全員でNyantoraぶっ潰す!!」

遺恨の決着は11月30日。恵比寿リキッドルームにて。

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