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滝沢祭(滝沢朋恵、テンテンコ、植野隆司、田中真琴)@神保町試聴室 雑感

滝沢朋恵が次々と共演者(テンテンコ、植野隆司、田中真琴)を変えながら様々なスタイルを提示するライブに行ってきた。狐につままれたような不思議な余韻が残っていてとても心地よい。楽しめたところも気になったところもたくさんあったので自分にとっては語りたさのある催し物となった。

開演前、滝沢さんから新聞の折込チラシとオブラートシートが数枚配られた。俺のやつは美顔や豊胸エステのやつだったんだけど、それに書かれた単語や文章をひとつだけ丸で囲んだ後に、小さく折ってオブラートシートに包んで持っていてほしいとのことだった。

波乱の幕開けかよ…Σ(゚д゚lll)

結局それはいつどこで誰がどのように使うのか明かされないままライブが始まった。

フロリダ
滝沢朋恵とテンテンコによるエクスペリメンタル・プロジェクト。コンセプトやヴィジュアルは現時点でも面白いと思うし、曲も実験的な要素を含んだコズミックなポップといった感じで唸りたくなる要素も多い。1曲目にやってたお経みたいなやつ、生声をその場でサンプリングしてどんどん重ねていくのマジ涅槃すぎて超かっこよかった…Σ(゚д゚lll)

ただ、全体的に見せ方が少し欠けているような気はした。起伏の少ない電子音をひたすら直立不動で淡々と演奏しているせいか、せっかくの良い曲も一本調子でどんどん流れていってしまうことで記憶として定着しにくい面がある。じゃあ、どーすればいいんだよっつー話なんだけど、うーん…例えば、テンコさんが謎の郷土民芸楽器みたいなやつをぐるぐる回してギコギコ音を鳴らしたり、滝沢さんがアコギ弾いたりする局面があったんだけど、打ち込みの音に生音を重ねるのは曲に血が通うと思うので、もう少しそういった場面を観たかったとは思う。もしくは、上に挙げた画像を参照してほしいんだけど、せっかくテーブルの上にパンダのツインドラムがいるんだから無秩序に演奏させるのも妙味があるかなとか。そうでなくとも、単純に体でリズムをとるだけでもだいぶ違うとは思う。

全編をとおしてアヴァンギャルドなパフォーマンスをしろと言うつもりはない。だけど、せっかくいい曲が揃っているんだから多少のメリハリはつけたほうが観るほうも焦点が明確になるのではないかと思う。とか書きながら、家に帰ってきて見つけた動画を見たら、わりと動きがあったので今回はたまたまだったのかもしれない…Σ(゚д゚lll)

ちなみにその動画はこちら。

滝沢朋恵+植野隆司
最初と最後に植野さんの曲、真ん中は滝沢さんの曲を演奏。縁があって三週間で三回、ほぼ毎週のように植野さんをライブで観てるんだけど、この人の感性の底がいよいよ見えなくなってきた。音数は少ないんだけど、まるでそう感じさせない豊かな音の響かせ方っつーか。滝沢さんの弾くアルペジオの輪郭を、植野さんがストラトキャスターでなぞったり包み込んだりして生まれたミニマリズムな気持ちよさがえげつない。植野さんヤバイ。あまりの気持ちよさに目がとろーんとしつつ、気がつくと滝沢さんが映画スウィング・ガールズに出てた頃の本仮屋ユイカに見えてきたのも幸せすぎた…Σ(゚д゚lll)

滝沢朋恵+田中真琴
ガムテープで作ったハートのオブジェを胸にくっつけて両者がステージに登場。ステージの後ろには「私達の胸を打つ言葉を投げかけて下さい」と書かれた紙が貼られている。ここでようやく開演前の謎かけの答えが判明した。

・滝沢、田中の胸につけられたハートめがけて、お客さんが各自事前に作ったオブラートで包んだチラシを直接投げつける

・ハートにくっついたチラシを開いて、丸で囲ってある言葉や文章に対して、両者が独自の解釈を披露する

いわゆる言葉遊びの類である。その最中にcore of bellsの瀬木さんが「これ、俺の友達がやってる寿司屋…」とか「この広告、俺の友達がデザインしてるんすよ…」とか2秒でわかる嘘をつきながらお客さんに余ったチラシを配ってんのクソエモかった…Σ(゚д゚lll)もはや音楽表現ではないんだけど、適度なゆるさが手伝ってシュールな空間を形成していた。だけど、このパートもまた両者が床に座ったまま進行していったので、動き自体はほとんどなかった。俺はまだ比較的前の方で観ていたのでなんとなくは両者の姿も見えたんだけど、後ろにいたお客さんからしたらほとんど見えてなかったのではないかと思われる。この辺も少し勿体無かったかなと。

後半に披露されたポエトリーリーディングのような展開の時には、「お祭り」について寂しさを帯びて呟かれる言葉の数々と、無機質な打ち込みの音と、なによりそれまで散々ガヤっていた瀬木さんが大量にばら撒かれたチラシを黙々と拾い集める姿に、パフォーマンスの真意もわからないまま、あぶなく感動しそうになっちまったけど、とりあえず堪えてみたのは今だから書ける話。

最後は一人残された滝沢さんが演奏して終了。終わってみれば彼女の正気と狂気の狭間で弄ばれていたような不思議な体験ができた夜になった。彼女のことが少しわかったような、いや全くわからないような。嗚呼、これはまた観に行くしかないやつだ…Σ(゚д゚lll)

最後にツイッターを見ていて激しく同意したツイートを紹介。
\よろしくお願いしまーす!!/

物販で買ったクッピーラムネ。
かわいい…

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