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ROVO presents MAN DRIVE TRANCE 2014 ~ツインドラムの競演による撲殺の宴 雑感

17時30分に始まった本公演が終わったのが22時ちょうど。恍惚と悶絶の反復横飛びをすること4時間30分。終演後に命がけで水分補給をキメざるをえなかったこの日の夜のことをどうやって残すべきか。なんて考えたりもするけど、深みにはまって一文字も書き出すことができないとあまりに情けないので自分なりに頑張って書いてみようと思う。無理して書かなければいいじゃんという外野の声はガッツリ無視スタイルで。

俺自身は完全燃焼した。だけど唯一悔いの残ることがあるとするならば、首根っこを捕まえてでも知ってる友達を全員無理矢理にでも連れてきて、様々な音楽が指し示す景色を見せてあげたかったということ。それが叶わなかった以上、せめてこの文章が来年こそは皆で一緒に臨死体験しようぜ!っていう誘い水になれば幸いである。

☆L.E.D.

この日の感想ではないが、L.E.D.の魅力をバシッと言い切っていると個人的には思っている。もうひとつ同日の俺のツイートも再掲しておく。

ちなみにこの時のハコは新代田FEVER。冷静に読んでみると偉そうなことを書いてると思うんだけど、より広いリキッドルームで鳴らされたソプラノサックスはどこまでも清らかに真っ直ぐに羽ばたいた。壁とか天井とか邪魔するものがなければないほどその魅力が増すと確信した。次は野外しかねえだろ。あと、オータコージさんが完全に無双モードだったことは強調しておかねば。ちなみに彼はこの日トリプルブッキングだったようです。鬼だな。最後に演奏した『ignis』凄まじかった…Σ(゚д゚lll)

☆Nyantora

先日のランチライブで勝井さんに宣戦布告されたNyantora。全編チルな感じで攻めてくると予想していたが、抽象的な表現であれなんだけど、青くて綺麗だなと思って近づいて触れてみたら思ったより青くねえ!なんなら綺麗でもねえ!みたいな?言い換えると表層的にはアンビエントなノイズやチルに気持ちよさを感じたりするんだけど、次の瞬間にガムランがけたたましく鳴り出してなんか怖くね?みたいな。彼自身もオーディエンスを踊らそうという気はなかったであろうことも踏まえて、音はもう少し小さい方が良かった。耳を済ませて自分から入っていきたいと思う局面が何度もあったので。

☆DE DE MOUSE + Drumrolls

Nyantoraの演奏が終わって、メインステージの幕が開いた瞬間に戦慄が走った。両サイドに配置されたツインドラムの前にフィルターが張られている。ステージ後方のスクリーンと合わせて三面で映像が展開されるという構図。これはrokapenisさんのアイデアとのこと。で、中央に君臨するデデ様。演奏前から期待が高まりすぎてぶっ壊れそうだったんだけど、フィルター越しに見えるBOBOさんのガチムチな肉体を見ることで適度に萌えを充填。心の平静を保つ作戦を敢行。着ていた黒のTシャツにデジタル時計のフォントで「9:30」って書いてあったんだけど、これが何を意味するものだったのかはいまだによくわからない。

いざ演奏が始まればもうバッキバキのゴリッゴリでツインドラムが暴れだした。一瞬で、「…俺、死ぬな…」って思ったもん。例えるなら、デデ様という最強のポケモンマスターが繰り出した全てレベル100のポケモン(中村尚平、山本晃紀、BOBO)とバトルするのに俺の手持ちポケモンがレベル5のピカチュウしかいねえような圧倒的絶望感。極太フォントで記された「多勢に無勢」の五文字。ひたすらぼこられてどつきまわされたスパルタ教育の向こう側で肉体が歓喜した。当日の模様をデデ様が公開しているようなので是非どーぞ。

☆オオルタイチ

軸となる歌のメロディが強いから、その歌詞がなに言ってんだかさっぱりわかんねえ非言語だろうが、トラックが生音だろうと打ち込みだろうと、彼がひたすら陽気に歌うだけで、自分も謎の部族の一員になっちまったんじゃねえかと錯覚してしまう。楽しければ何だっていいじゃんに自ら望んで巻き込まれることの快楽にずぶずぶに溺れる。幼児退行?OK余裕…Σ(゚д゚lll)
(業務連絡:Oorrutaichi Loves the Acustico Paz Nova Bandの音源を持ってる知り合いの人がいたら貸していただけないでしょうか…Σ(゚д゚lll))

☆ROVO

ここに至るまで何度も絶頂を迎えたこともあって、肉体的にはかなりヘロヘロだった。一曲目の『BATIS』の時は冷静に演奏を見つめながら体力の回復に努めようと思ってたんだけど、二曲目に『BAAL』ぶっこまれて死んだ。あの印象的な地獄の旋律「♪てーれーれー、ててれれってー、ててれれってー、ててれれってー」が時にゆるやかに時に激しく脳に侵食してくるヤバさ剥き出しのキラーチューン。ちなみにこの曲については今年の宇宙の日の際に勝井さんから直々にとても興味深いリプライをもらったので紹介させてください。

『BAAL』に秘められていた精一さんの恐ろしすぎる指令の存在を知った日から、この曲を聴くたびに心のざわつきがとまらない。で、今回もやっぱりヤバかったのだ。益子さんがやたら笑顔のまま、へたしたら小粋なステップを踏みながらシンセを「プギー!!プギャー!!ぴょろろろろぶべええ!!」って弾き倒してるの相当イカレテた。中盤以降だったか、勝井さんがこの旋律をスタッカート気味に音を短く切って演奏していた(はず)


「♪てっれっれ、てれれれっ、てれれれっ、てれれれっ」
「♪てっれっれ、てれれれっ、てれれれっ、てれれれっ」
「♪てっれっれ、てれれれっ、てれれれっ、てれれれっ」

からの

「♪てーれーれー、ててれれってー、ててれれってー、ててれれってー」

ストイックな緊張感で収縮しつくした心臓の筋肉が、棒線の復活によってドバーッと一気に拡張モードに突入。全ての音が全身に送り込まれてくる。心肺停止を引き起こしかねない快楽に呼応する心臓アクションがえげつない。ヤバい。

平穏という意味が込められた『MIR』という曲もすごく好きなんだけど、よく見ると仁さんの佇まいがチョー不穏なのである。もともと仁さんのステージ上での動きは妖しい。演奏中に膝蹴りかまして空間に亀裂を生んでみたり、(仁さんにしか見えない)サッカーボールをヒールリフトしているような動きを見せたりしている。今回すげえ衝撃的だったのが運指。あの動きから鳴らされるベースラインが鬼ドープだった。

ベースでフレットを抑える時には、親指でネックを握りしめるロックスタイルと、ネックの裏に添えた親指を支点にして他の指とネックを挟み込むクラシックスタイルが一般的である。で、仁さんがとった行動は、握りしめることも挟み込むこともなく、最短距離で上から指を添えて滑らかに動かすという鬼アグレッシブな演奏スタイルであった。これが演奏にどう機能しているのか?俺ごとき凡夫にはわかるはずもないんだけど、後日ご本人がされていたツイートが今になってすげえじわじわキテる。

上手くなったんだ…Σ(゚д゚lll)

イングヴェイ・マルムスティーン…Σ(゚д゚lll)

スティーヴ・ヴァイ…Σ(゚д゚lll)

あの瞬間に「ふと」イングヴェイやヴァイのことを思う仁さんの強烈すぎる感性に全身が痺れてきた。しかもどさくさに紛れてマネしてみたら簡単に出来たから連発したとかもう…Σ(゚д゚lll)

(ちなみにこのイングヴェイの件はブログを読んでくれた仁さんから後日リプライをいただいて知ったことなのですが、最高にヤバい証言なので是非紹介したいと思って加筆しました)

本編最後に演奏されたのは『D.D.E』
俺はもう完全に精神の平衡を失っていたので、流れる汗もそのままに誰よりも汚い顔をして舞い狂っていた。不穏なシンセの警告音から瞬く間に大爆発へと誘われた頃には、ハイパーどさくさに紛れて地獄の敬称略をぶっこんでいた。競馬場で馬券を買ってレースを観てる時に、最後の直線で自分の投票した馬が好位につけてたら誰だって叫ぶじゃん。ほとんどこれに近い状態なんだと思う。

「がづいーぃぃぃぃぃいいぃい!!!(訳:勝井さんかっこいい!)」

「ヨシガキヨシガキヨシガキッ!!!(訳:撲殺キボンヌ)」

勝井さんが後ろ向いてメンバーに殺戮指令を伝達。その1秒にも満たない静寂を経て、勝井さんの深いストロークが闇を切り裂く。つぶらな瞳の奥に炎を宿した岡部さんが目の前に並ぶ叩けるものオールぶっ叩き、背筋をピンと伸ばした芳垣さんが鬼の形相でシンバルをしごき倒す。ツインドラムの咆哮に呼応して精一さんの芸術性が聴く者の細胞に瑞々しさを添えて、益子さんのシンセが全ての音を真空パックで包み込む。なんかもう圧倒的すぎて毛穴が全部開いていろんな毛が抜け落ちるほどの衝撃に見舞われる。

常に疑って更新しようとするROVOというバンドの在り方はとても素晴らしいものだと思うし、ライブにおいて表現される音楽は日々の研鑽が生み出す必然としての奇跡なんだろうとこの日の夜に強く思った。出演していた他の共演者はみんな素晴らしかった。ただ、終演後の余韻っつーか、残酷なまでに思い返すのはROVOのことばかりだったりもする。あーもー。最高かよ。

今年はもうないけど、来年またきっとライブをしてくれると思うんだ。行ったことある人もない人も、今は興味が薄れている人も、全く知らないって人も。楽しいよー。ヤバいよー。派手に死ねるよー。ギャラクシーなぶっ飛びキメれるよー。だから今度は絶対に一緒に観に行こうぜ…Σ(゚д゚lll)

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