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なぞなぞ

塾で教えてる小4の男の子に、授業が早く終わると「なぞなぞ」を出されることがある。

正直なぞなぞなんてそれなりに答えられるのだが、まあ相手も小4なので分からないふりをしたり、ちょっとピエロになると盛り上がる。



この日も、その男の子になぞなぞを出された。



「もんだいです!寝てる時はなかよしだけど、起きてる時はぶつかり合ってるものなんだ?」



お、はじめて聞くなぞなぞだな。


とはいえ、だいたいちょっと考えればわかる。

うーーん。そうね、ああ、なるぼど、そうか、そういう感じか。


答えはきんたまか。


なーーんかたまにいるんですよ、下ネタを言わそうとする連中が。
なるべくそういうのは「へー」とかつまんなそうに言うと話題を変えられるのでよくやるんですけどね、なぞなぞの答えとして言わせるとか手が込んでる。

いやでもこの子がそんなん言わそうとするか?
一回もそんな雰囲気出されたことないけど。


うーーん、これが成長ってやつか。

とはいえ真正面から答えるわけにもいかないので、



「えーー分かんないなーヒントちょうだい!」


こんなことを言ってみる。



「えーっとね、からだの一部!」



きんたまじゃん。


確認なんだけど、君は起きてる時きんたまが『ぶつかり合ってる』と思ってるわけ?
アメリカンクラッカー的なきんたまを想像してるの??

さすが子供は柔軟な思考を持ってるな。


「先生わかんないのー?」



煽りよる。
わかんないんじゃなくて言えないんだ。『先生』が『先生』であるには。ごめんな、小4。



「じゃあもっとヒント!2つあるやつ!!」



きんたまなのはわかってる、もういいって。

時計を見て、残り時間をどうやり過ごすか考える。



「えーーなんだっけ、もう一回問題おねがい!」


「だから!寝てる時はなかよしだけど、起きてる時はぶつかり合ってるものなーんだ?」



なんかだんだん面白くなってきた。

まず寝てる時のきんたまを『なかよし』状態と捉えていることがおもしろいし、こんなに必死で言わせたい下ネタが『きんたま』なのもかわいすぎておかしく思えてくる。



「起きてる時はぶつかり合ってるんだよね?」



「そうだって!なんでわかんないの!!」




純粋無垢な笑顔。そんなキミのきんたま、ぶつかりあうくらいでかいのか。

塾で教えてるとこんなのはどうしたって避けられないから、いかにうまく躱すかを考えてしまうけど、なんかちゃんと答えてあげたほうがいいかもな、なんて少し心が痛む。

実際、この笑顔をさらに増やすためなら、ちょっと大人が恥をかくぐらい構わないんじゃないか?

そうやって信頼って獲得していくのではないか?

そうやって人は仲良くなっていく。


きっとそうだ。


改めてその子を見る。

こんな大事なことに気づかなかったなんて、今日は逆に先生が教えてもらっちゃったな。



僕、これから頑張るよ。

答えはまばたきだった。

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