新潟モグラ駅めぐり⑤(終) 土合駅~駅めぐりの終わり
前日に筒石駅・美佐島駅と回ってきましたが、モグラ駅はここが最後です。
最初の記事と前回の記事はこちら。
土合駅
糸魚川駅へ向かって東京を出発したのを初日とするともう3日目ですが、前日早めに寝たのと美味しいものをたくさん食べたことで元気いっぱいです。
まだ閑散としている朝の越後湯沢駅を後に、土合駅へ向かいます。
越後中里・岩原スキー場前で鉄道で行くスキーに思いを馳せながら30分ほど乗車すると、土合駅に到着しました。
といってもこちらは上りホームで、モグラ駅ではない方です。
ロケーションはただの山中の駅、普通の秘境駅といった趣ですね。
下りホームに向かう前に、一度コンコースに出てみました。
ここは谷川岳登山の拠点駅で、初日の出を山頂から見たい方などが駅寝をして早朝からアタックを敢行するのだとか。
駅舎は立派で、この形は谷川岳を模しているそうです。
駅にグランピング施設が併設された影響で、夏休みに遊びに来た家族連れが多く、全く秘境感はありませんでした。
土合駅下りホームへ
さて、それでは「日本一のモグラ駅」下りホームへ向かっていきましょう。
長い通路を通って例の大階段を目指します。
駅舎ができたのはおそらく開業時の昭和11年。1936年ですから80年以上も昔です。
埃っぽくなった打ちっぱなしのコンクリートや木のサッシ、レトロガラスから時間の流れを感じます。
母校の小学校校舎が昭和17年にできたものだったので、同時代と思うと余計に懐かしい気分になりました。
風防を抜けると、いよいよトンネルが姿を表します。
さ、先が見えない……
仕方がないので一段ずつ下っていきます。小和田駅脱出路でコケたのがトラウマになっているので、一段一段着実に。
途中には休憩したい人のためにベンチが設けられていますが、体力がまだ残っているので使わず進みます。
さて、下りホームにたどり着きました。
ここも例にもれず、ひんやりとしています。湿気がすごいんですが冬場は凍結して危なくないんですかね。半袖でも十分過ごせるくらいの気温ではありました。
ホームの幅は狭いものの、空間としては意外と広く、待合室も設置されています。
昔からずっと有名駅なので、待合室は落書きだらけです。ただ、新しいものはあまりありません。
駅ノートもあるのですが、こちらも若者の悪ノリだらけ。
昭和の若者は悪ノリで壁に落書きし、平成の若者は悪ノリでネットに書き、令和の若者は悪ノリで駅ノートに書くのでしょう。
流石に若者の悪ノリに乗っかったりはしませんでしたが、自分もコメントを残してきました。
それから、現在の土合駅下りホームはなんとビールの醸造所になっています。
旧駅員事務室が空いていること、気温が安定していることを利用しているようです(ということは結露が凍ったりはしない模様)。
グランピング施設ができたことで、駅自体を本格的な観光地にしようとしているのが伺えますね。
地上へ戻って一休み
まだまだ土合駅を見切れていないので、もう一度階段を上ってコンコースへ行きます。
100段上る。まだ平気。
200段上る。まだ半分も行ってないの?
300段上る。普段から運動しときゃ良かった……
400段上る。あと少し……
462段上り切ると、後ろを振り返って達成感に浸ります。
風よけのあたりまでくると有名なこの表示がありますが、ここを上りきったあとはウイニングランですね。
きれいな川の景色が見えるのも祝ってもらっているようです。
ところで、試しにこの462段の階段を登りきるまでの時間を測ってみたところ7分ほどでした。
ここから更に通路があるわけで、優に10分はかかりそう。まあ、谷川岳に挑む人はこの程度で音を上げてはいけないのでしょう。
コンコースに戻ってみると、閉まっていたはずの駅事務室が開いており、カフェが開店していました。
汗だくになっていたので、お休みがてら入ってみることに。
地元の?お姉さんが一人で切り盛りされているようです。
しっかりオシャレなインテリアにしつつ、駅事務室時代の遺構も残っており素敵ですね。
遺構といえば、駅が無人化された折に売店に残っていた雑誌がそのまま残っていました。
ジャンプの連載陣のすごいことすごいこと。黄金期の前半ですね。
ドラゴンボールは最初の天下一武道会やってました。北斗の拳は見てないけど、単行本の発売時期から推測してジャギが出てきたあたりですかね。
そうこうしているうちに注文(地元のぶどうを使った「アグリーダ」のミルク割り)が出来上がったので受け取り、再度下りホームへ。
(飲みかけですまない)
あと15分ほどで電車がやってくるので、もう下らないと間に合わないのです。
越後湯沢駅から鶴岡駅へ
滑って転ばないように慎重に階段を下ってホームに戻り、電車を待ちます。
到着時刻が近づいてくると、トンネル駅特有のノイズ音がしました。
いよいよだと思いカメラを構えると、みんなホームにやってきて撮り鉄してます。
観光地の駅ですね。
実際、土合は秘境駅というよりは観光地として楽しめた駅でした。
越後湯沢駅に戻り、一旦モグラ駅訪問の旅はおしまいです。
ここからは、普通の旅にテンションを切り替えます。
といっても、土合駅がすっかり観光地だったのであんまり切り替える必要はありませんでしたけどね。
まずは、新潟まで新幹線で移動します。
昼食には新潟の寿司を食べ、
特急いなほの秋田行きに乗って鶴岡駅を目指します。
日本海を走る「いなほ」から昨日の青海川駅を思い出しているあいだに、
鶴岡駅へとたどり着きました。
ここで同行者と合流し、鶴岡は普通に観光して楽しみました。
さらっと流してますが、越後湯沢駅についてから鶴岡駅に着くまでは5時間ほど経っています。
モグラ駅めぐりはどうだったか
三者三様でした。
筒石駅は漁村の村外れにあって秘境感は抜群、逆にそれが災いしてめっちゃ怖い駅。
美佐島駅は物理的な危険度が最も高くそこそこ不気味だが、地元の方に愛された温かみを感じる駅。
土合駅はロケーション的には最も秘境なのに、観光地と化したにぎやかな駅。
モグラ駅がなぜできたかといえば、トンネルを通さざるを得ない立地に旅客需要があったからです。
筒石駅は50年以上前に地元の方の要望でできた駅ですが、モータリゼーションが進んで地元の方の利用が少なくなり、自動化が進んで駅員さんもいなくなり、寂れつつある駅です。
だからこそ、心細さがひときわ高かった。
美佐島駅はまだできて25年ほどの駅で、利用者は少ないですが特に地域に大事にされており、利用者の安全に心が配られた駅です。
だからこそ、ひんやりしたトンネル内でも温かみを感じることができた。
土合駅はもともと人のいない地に登山の需要で作られ、現在も形を変えて観光需要を満たしている駅です。
だからこそ、童心に還って縦横無尽に楽しむことができた。
旅客需要の性質が駅の様子にダイレクトに反映される、駅とは利用者を映す鏡、そんなことを学んだ旅でした。
そして、その学びから駅に降り立つことの楽しさを再確認できました。まあ、どの駅も夜中に一人で行くのは御免被りますが。
次の秘境駅訪問旅
次はどんな駅へ行こうか、思案しています。
大井川鐵道と飯田線から帰ってきたときは言ってましたが、尾盛駅に訪問する勇気がまだ出ません😅
男鹿高原駅、白丸駅、東成田駅、行川アイランド駅など、近場を攻めてみても良いかも知れませんね。
GOTOトラベルキャンペーンが再開されたら、北海道に飛びたいです。
最後に、モグラ駅まとめツイートに写真を3枚まとめて張ってますので、それを掲載して終わりにします。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?