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このヴィランがやばい・ベイマックス編

ベイマックス。少年の喪失と再起の物語、そしてヒーローたちの原点となるとてもいい映画で、ひとりで見に行った後で旦那さん(当時はまだお付き合い相手だった)に対して「良かった。すごい良かったから行け、見ろ」という圧の強い勧め方をしたほどだった。

そのベイマックスが、現在ディズニー系のCSチャンネルでアニメシリーズを放送している。「ベイマックス ザ・シリーズ」と銘打ったアニメシリーズは23話が終わって、あたらしいシーズンに入っているところ。

それが……なんていうか……やばい。

雰囲気を掴むためにまず1話

あのフレッドがついに社交界デビューするっていう時に、スタン・リーそっくりの父親と因縁のある爺さんヴィラン、スチーマー男爵が登場。パーティーのさなか怒れる水蒸気メカを伴ってフレッド家を襲撃、居合わせたワサビをフレッドだと勘違いして拉致してしまった!

とにかく人の話を聞かないフレッドとスチーマー男爵! おびえるワサビ! その横でフレッドの氷像が粉砕! 今週のビックリドッキリメカ! 

本編のコミカル要素、あれは希釈していたんだと言わんばかりの強さ。こういうノリでやっていくからよろしく、という言外のパワーがある。

一応、最初のシーズンでは「オバケ」という謎めいたヴィランの深謀遠慮にどう立ち向かうか、っていう大枠の中で工学系のテクノロジーが悪用されていくんだけど、その中でも、個人的にひときわやべーなと思ったヴィランを三人、紹介したい。というか、ちょっとこれどっかで「好き」って言っておかないと自分の気持ちに整理がつかない。

スライムに転生して無双ライフ(ただし知能がない)

コソ泥常習犯ディブスが、ハニーレモンのケミバッグを置き引き。そのバッグとクレイ社の神経トランスミッターの不幸な事故により、ヒトDNAと化学物質が合体して生まれたのがスライム状の生命体、人呼んでバー。第2話から登場し、シーズン通してちょくちょく顔を出す準レギュラーです。

不幸な事故でモンスターになったネバーですが、たった一人の友達、極悪カール(本名)と仲良くお茶したり、これまでと変わらない生活(コソ泥も含む)を送っているやつです。見てるとなんとなくわかる。陽気というより先のことを考えていない。

ネバーのヤバさは、「道具の使い方が分からないから道具を作っている会社のCEOを拉致して使い方を聞こう」という短絡的、かつ無思慮な判断を瞬時に行うという、考えないヤバさです。

ネバーは自分の体を様々な素材に変化させることができる、すごいパワーを持っています。ただ、本人が気づくのは中盤にさしかかってからで、テクノロジーを持っていても、使い方を理解しないと持ち腐れになる、ということも示唆されています。

彼が自分の能力に目覚め、自らの手をチョコレートやアイスクリームに変化させて美味い美味いと食うシーンは何度見ても怖い。無思慮の極みだよ。それ以前に消化管とかまだ存在しているのか。

ネバーはその後「最強の悪役になる」と息巻いてストーリーの本筋にも関わり、シーズン通して出てきます。最初は小悪党だと思っていたら変身を2段階ぐらい残しているタイプで、終盤はアツいのでまずは23話まで見て欲しい。

動画配信サイトが産み落とした承認欲求モンスター

みんな、「超めちゃくちゃ障害物レース」は見ているかな? ミスター・スパークルズの作るコミカルな見た目に残虐なギミックを満載した観客参加型のプログラム、動画サイトでの再生数がすごい事になっているらしいよ!

9話に登場したミスター・スパークルズはユーチューバーのおっさんです。盤石だった再生数が、ゆっくり拍手するネコに世間の人気が移って、ついにスポンサーも離れてしまう事態に。

そこでスパークルズの考えた起死回生の乾坤一擲、それがゆっくり拍手するネコを拉致して、60分以内に救出しなければネコをロケットで高速垂直射出するという死のレースだった!

……良い大人のやることじゃないだろ!

そもそも、スパークルズはただの司会者で、実際番組を面白くしているのは出てくる素人です。でも、それはまったく考慮していない。自分の作ったギミックで参加者がブザマをさらすのを見て笑い、結果自分が目立つことが何よりも幸せ、という劇場型狂人です。

ヤバさの絶頂は9話のラストで、指名手配犯として街頭ディスプレイに大写しになる自分を見て「こんなにも注目されている!」と大はしゃぎする姿。ネコを拉致して倉庫占拠して高速垂直ロケット射出生配信すると指名手配される世界、サンフランソーキョー。いや……まあ、妥当か……

9話はスランプに陥ったヒロがそれを脱する、という話の筋なのですが、同時に、スパークルズを通して欲望が際限なく膨張することの恐ろしさも描いているんだと思います。

元軍用ロボットを流用した2頭身マスコット

サンフランソーキョーのソウルフード、ヌードル・バーガー。ハンバーガーのバンズが揚げた麺になっていると思ってほしい。それがヌードル・バーガーです。そして、ヌードル・バーガーにはヌードル・バーガー坊やというマスコットロボがいます。

10話。「ヌードル・バーガー坊やが失踪した」と、ヌードルバーガーが自由意志で行動すると思い込んでいるウェイトレスから泣きつかれ、捜索を開始するヒロたち。ヌードル・バーガー坊やは何者かにプログラムを書き換えられ、軍用機体に邪悪なAIを積んだ破壊の権化になってしまった!

どうして! 開発中止した軍用機体を! そのまま! クレイテック社ーッ!!

ベイマックス ザ・シリーズを見ていると、随所で「クレイテック社ーッ!」という怒りとも呆れともつかない悲鳴を上げることになるのですが、その最たるものが、このヌードル・バーガー坊やです。クレイテック社、アニメシリーズで完全に「ベイマックスのオムラ」という立ち位置になりました。

愛らしいヌードル・バーガーの頭につぶらな瞳の2頭身、赤いオーバーオールはBIG BOYのマスコットめいてかわいい。その可愛い見た目で、ヌードル・バーガー坊やのテーマソングを歌いながら破壊の限りを尽くしたり、笑顔のまま搭乗型兵器を操ったり、徹底して敵対者への二人称が「お客様」だったり、お手本にしたいやべー被り物ヴィラン

坊やはベイマックスと対を成すようなプログラム通りに動いているだけなのですが、そこに本当に個としての人格が存在するように見える。それは翻ってベイマックスも同じだよ、ということを突き付ける23話は本当に最高。

ヌードル・バーガー坊やも10話から準レギュラーで、新シーズンではエビヌードル・バーガー坊やになりながら「お家に帰らなきゃ」と言い出す壊れたAI系のヤバさが出てきたので本当に楽しみです。

そのほか出てくるヴィランもなかなか

音楽性の違いで解散する強盗母娘、手作りホームページにテーマソングを載せる全員同じ名前の傭兵集団、森で隕石を愛でる男、サプライズパーティーが好きすぎて光学迷彩を実用化させた男、違法料理の鉄人のチャンピオンスシ職人などがいます。

こうなると、映画で逮捕された人はこのまま獄中にいてくれ、って思ってしまう。この街で正気を保ったまま復讐者として立ち上がることができた理性の強さ、サンフランソーキョーではとても貴重だよ……

終わりに

ヴィランの濃度が高くてそっちばかり面白がっていますが、コミカルな内容の中でちゃんと映画ベイマックスのテーマを踏襲し、各キャラクターを掘り下げ、作品世界を拡大させていくシナリオはとても面白いのでぜひ見てほしい。

現在、ディズニーXD、Dlifeなどディズニー系のチャンネルで放送しています。月額見放題のディズニーデラックスでも配信中です。

みんな見て、そしてゴーゴーの太ももとヌードル・バーガー坊やの良さをもっと知ってほしい。


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