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「#私はこんな仕事がしたい展」を終えて

終わりました。

7月からずっと企画運営として準備をしてきた「#私はこんな仕事がしたい展」が無事終了しました。マガジンでも展示の様子などをまとめているのですが、こちらは極私的な部分をどうしても留めておきたくなって書いたもの。個人的な話を多分に含みます。

私は「#私はこんな仕事がしたい」を思いつきたかった

どうやら私は「コンセプトメイカー」にどうしようもない憧れを持っているようで、博報堂にいた時も、一番尊敬する先輩はパワポ1枚に乗せた短いワードだけで誰しもの心を躍らせる天才だったし、日活時代も何千本とあるアーカイブ作品の中からいくつかを繋ぐ太い線を見つけ、それを特集企画として提案、採用された時が一番嬉しかったものでした。元をたどれば、2時間で誰かの人生さえ変えてしまう映画というものに惹かれた時点でその傾向はあったのかもしれません。
強いコンセプトは、それさえあれば、連動するクリエイティブ、施策、発信など、全てそのコンセプトに立ち返ることでおのずと浮かんでくるものです。全ての発想のもとであり、全ての判断基準。そうして生み出された施策の立体性が、さらにそのコンセプトを強固にします。
「#私はこんな仕事がしたい」はサタケシュンスケさんの発案によるもので、foriioの発案ではありません。この「#私はこんな仕事がしたい」というハッシュタグを思いついたサタケさんに、99%感謝しつつ、しかし一瞬でも企画プランナー/コンテンツプロデューサーを務めた身として、濃すぎるほどの1%の嫉妬を抱いたことは紛れもない事実です。
それでも、ただ悔しがるのではなく、そうした素晴らしいコンセプトに敏感であること、そこからの広がりを自然と想像してしまうことを自分の特技と思い改め、その動きを広めようと走ることが出来たのは、「#私はこんな仕事がしたい」というハッシュタグのコンセプトに心底心を奪われていたからだと思います。考えてみれば、プランナーもプロデューサーも、種を見つけ出して地上に芽吹かせるために奔走するタイプもいるわけで、素晴らしいコンセプトを生み出す人がいるなら、それを拡張せんとする存在にも生きる道があっていいのかなと思います。

foriioをオンライン空間からオフライン空間に置き換える

7月中旬のオフサイト合宿で「#私はこんな仕事がしたい を展示イベントにしたらいいのでは!?」というアイディアが降ってきたあと、色々と会場候補を探して下見したけれど全然ピンと来ずに焦っていた時、紹介して頂いたのがGALAXYさん。WEBサイトを見た時点でほぼ心は決まっていましたが、下見してすぐに予約をしました。一面の白い壁、天井の高さが醸し出すゆったりとした空間、シンプルな作り、全てforiioが現実空間に存在するなら?を体現するかのようなトレース具合。ここしかないと確信した瞬間です。結局ぎりぎりまで施工方法は決まらないのですが、この「foriioをオンラインからオフラインに置き換える」という狙いにあらためて立ち返ることで、最終的にあの展示方法になるわけです。GALAXYさん本当にありがとう。

伝わる言葉を紡げるようになりたい

会場だけ決まった8月のタイミングで、この企画展の開催を発表することにしたのですが、ここでは色々な成功も失敗もありとても気持ちの上下が大きかったなあと今振り返っても思います。何より悩みに悩んだこのnote。

個人で映画ブログを書いたり、プロデュース作品のキャッチコピーとか各話のあらすじとかは書いていましたが、クラウドファンディングの成否を決めるような記事は初めて。どうやったら「伝わる」のか、社内のフィードバックも貰いながら何度も書き直してあげたものがこちらです。結果をご覧頂ければ一目瞭然ですが、クラウドファンディングはかなり厳しい結果に終わりました。クラウドファンディングの結果云々より、クリエイターを支援する事業をやっているのに、「文章で伝える」というクリエイティブな力が足りな過ぎてとにかくこれだけは悔しくていまだに忘れられません。だからこそ、こうしてもう1回noteをやり始めようと思うにいたるわけです。
それでも、73名もの方が支援をしてくれたからこそちゃんと開催することが出来たわけで、それは成否とか以上に大切なことだと思っています。そして、このnoteを経由して多数の方がforiioへ登録してくれたのも嬉しかったな。どのnoteや公式twitterの投稿よりもこのnoteから流入してアカウント登録してくださった方が多かったことは、悔しさ溢れる中で一筋の光をさしてくれる要素でした。記事を読んでくれた皆さん、ご支援を頂いた皆さん、foriioに登録してくれた皆さん、ありがとうございます。

募集締め切り最終日に応募数が倍に!

クリエイターさんの参加受付はこのnoteを出したあと8月28日に開始し、9月30日で締め切りました。当初は正直数十人ぐらい参加してくれたら嬉しいな、ぐらいに思っていたので、最終的に215名もの方にこうして参加して頂けたことは本当に想定外で、嬉しい悲鳴。さらにいうと、確か締切前日までは100名ぐらいという応募状況だったのですが、駆け込みで最終日にさらに100名近くの新規参加登録を頂いたんですよね。締切日の9月30日は私の誕生日でもあって、最高のバースデイプレゼントになりました。あらためて展示に参加してくれたクリエイターの皆さん、ありがとうございます。
でもね、最終日に大量の質問が来てびっくりしたよ!「その質問、もしnoだったら今からじゃ応募間に合わないのでは?」というような内容もあったので、皆さんポートフォリオ作りは計画的に。私たちも、キャンペーンや企画の際に広く情報が行きわたるように尽力します。

混ざり合う楽しさに触れた6curry縁日

時間軸が前後しますが、9月20日(金)には6curryさんの虎ノ門ポップアップショップで行われていた6curry縁日で一日店長をさせて頂きました。(私はあくまでサポートで、代表の山田さんとマーケティングマネージャーの高山さんが店長です)

多数のクリエイターの方に作品をお借りして展示した「プレ #私はこんな仕事がしたい展 」だったわけですが、おかげ様で多くの方に来場いただき盛況な中終了。私の友人がうちのOLアイドル・いっこさんと意気投合してたり、直前の映画業界飲み会で知り合った方が来てくれたりとか、6curryさんの「EXPERIENCE THE MIX」というコンセプトの素晴らしさに触れたイベントでした(こういう時やっぱりそのコンセプトに自然と視点がいくの、我ながら一貫しているなあと思う)。クリエイターの久野貴詩さんやつるみ32さんに会えたのも嬉しかったし、サタケシュンスケさん、トミナガハルキさん、東堂優さん、イノカさんなどお声がけした皆さん作品提供を快諾してくださったのも嬉しかった。皆さんの紹介カードを愛をこめて作りました。ちゃんとキンコーズでラミネートもしたよ。またやりたいな。

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「#私はこんな仕事がしたい」をみつけた!トークセッションの反省点いろいろ

10月は、8つのトークセッションを高山さんがセッティングしてくれて、あれよあれよという間に素敵な方々の参加が決まっていった時期。そして、会期中には3つほどセッションのファシリテーターをはじめてやらせて頂くことになるわけですが、これらは自分でやりたいと言って手を挙げたものでした。正直反省ばかりですが、凄く面白くて、これから機会さえあればやってみたいなと思っています。とはいえ、ツモマーさん(FLAT大好き!)以外は初めてお会いする方々とのセッションだったので、皆さん自身と手掛けている事業に対する事前のリサーチ、そもそもの業界に対する基礎情報や課題意識などインプットしたものの、聞いてくださる方にとっても有意義な時間にするためにはこれらをもっと深くやらないといけないなと痛感。あとは、やっぱりそもそも日頃から情報収集しているジャンルに限定しないと、プロではないのでお客さまに提供できる価値に落差がありすぎるので、そのあたりは気を付けないといけないですね。ただし、基本的に人の話を聞くことが大好きなので、自分がわくわくできること、コンテンツやエンタメ、コミュニティデザイン、広告プロモーションなどの領域で来年はファシリテーターとかで参加できるように頑張ってみたい。だって、こんな素敵な方々のお話を目の前で聞いて皆に共有できるなんて特権乱用すぎるもの。やっぱり、「素晴らしいコンセプトを生み出す人を拡張せんとする存在」でありたいのかもしれません。ご依頼お待ちしてます。

右手に215人のクリエイターさん/左手に英語onlyのタイ人デザイナー、さあどうする!?

11月はとにかくずっと図録づくりと、展示用の素材収集管理進行に力を注いでいました。クリエイターさんには基本的にフォーム入力してもらう形でテキスト情報と素材データを頂き、展示会用のメールアドレスも開設して何か不備や質問があればそこでやりとりを進めていました。自分のメールよりもやりとりしたんじゃないかな(笑)。タイ人のデザイナーPomとは、スプレッドシートの一覧表で共有する形で制作を進めて、あとはslackで適宜やりとり。正直英語の会話能力がほぼないに等しい私にとって、google翻訳が使えるテキストコミュニケーションの方が最適な内容を考えたりニュアンスの違いを直したりすることが出来て有難い。Pomは筋肉マークやニンマリした絵文字をよく使ってくれるので、大変だけどチームとして乗り越えよう!というモチベーションがむくむく湧く楽しい仕事でした。食い入るように皆さんの作品も「#私はこんな仕事がしたい」も何度も見ているので、展示会の時にはどなたにお会いしてもぱっと頭に浮かぶようになっていたのがとても嬉しかったし、メールで「企画展楽しみにしています」「〇〇県在住ですが会場に行きます」など沢山のクリエイターの皆さんに言って頂けたのが何よりの励みでした。出来上がったのがこちらです。もうすぐオンライン販売するから買ってくださいね。

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アプリを1週間で作る凄腕エンジニアたち

最終的に一人一台iPadを使用して展示したわけですが、アレ、どうやってやったと思いますか?実は、エンジニア陣が約1週間でバックヤードで機能する企画展用アプリを制作して、そこからの出力を各iPad個別に制御する形で成り立っているんです。当初から「サイネージとかでデジタル展示する」ことはあらかた決めていたものの、特にそれに対して疑問はぶつけられていなかったので「そういえばどうやって作品の表示を統制するんだろう」については見て見ぬふりをしていたんですが(笑)、iPad215台となっても楽々実現してしまう弊社エンジニアの底力凄い。ちなみにiPadも215台となるまでには、クラファン未達など予算状況的に紆余曲折ありましたが、最終的に前述の「foriioをオンラインからオフラインに置き換える」という狙いに立ち返ることで215台頼むしかないねわりとすんなり決まりました。GALAXYに、クリエイター一人一人の“3日間限りのオフラインの本拠地”を作ることが出来ないと意味がないからね。(そして今思いましたが、オフラインの本拠地なのに、展示方法はデジタル(オンライン)なのちょっとひねくれてるな)
ちなみに毎日皆で充電してましたよ。

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でもこの毎晩の充電とクローズ作業、毎朝のオープン作業について、細かく指示書とか作ってなくて、それは完全に私の手落ちで一番の反省点。言語の壁、そもそもの踏んできた土壌の違い、それらを鑑みればもっと手伝ってもらうための準備と配慮が必要でした。余裕がない時に英語で指示だしするの無理ゲーすぎた。

遊びに来てくれた皆さんへ

「広報さんですよね?」と会場でお会いしたどなたかに言われたのですが、メインの業務は実は違っていて、クリエイターのみなさんと、クライアントさんとのマッチングをコーディネートするセールスです。それゆえ、Yentaだったり、メールでのご案内からのアポイントだったり、初めての方とお会いする機会はそこそこ多いと思います。お会いする度にこの企画展の話をしていて、色々な方にご案内もお送りしましたが、まさか1,2回お話させて頂いたぐらいの相手の、しかも初めて主催という企画展に、これだけ多くの方が本当に遊びに来てくれると思ってなかった。しかも、直接「良かった」って言ってもらえたり、幸せものすぎて死ぬんじゃないかな…。
何名か既にご飯の予定を貰っている方もいますが、来年どうしていこうかなとか色々考えたいので、是非ご飯食べながら感想聞かせてください!そして、来年は私ももっと皆さんの手掛けるイベント等にインスピレーションを貰いにいきたいです。

これから

文化祭が終わった後には入試が控えているのと同じように、祭りの後こそが大事なんですよね。ずっとその余韻の中に浸っていたいけれど、現実はそんなわけにはいかない。この企画展だって、お祭りをしたいわけではなくて、「#私はこんな仕事がしたい」というコンセプトはクリエイターとクライアントの最良の出会いを生むキーワードになりうるもので、それがforiioの提供できる価値になると信じて時間と労力と精神を投じてきたわけで。イベント盛況で良かった~で止まってしまっては、「素晴らしいコンセプトを拡張する」には到底至ることが出来ない。
だからこのnoteに、これまでの4か月の過程と余韻を納めておきます。一旦ここでひと区切り。今日からまた頑張ります。

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