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焦燥

「四捨五入をしたら三十歳。」

先日、ある上司に言われた言葉。
果てしなく続く人生だと思い込んでいたけれど、確実に一秒一秒がすぎていて、時間の流れに置いていかれる時もある。


元々、未来を描くことがそんなに得意じゃない。
今をひたすらに全力で、ふとした時に過去を振り返りニヤニヤと余韻に浸ることが多い。
だからこそ、この先に何を望むかと聞かれたら、少し口籠る。


広島の田舎から、大学もまたまた田舎の滋賀に出て、そして今は渋谷。ベランダから映り込む景色に心を癒されることはない。ただ、「今」を必死に生きている社会がより濃く映し出されているだけだ。


日常が嫌いなわけではない。
ただ、どこか、このままで良いのかと問い続ける。多分、だからといって何かをすることもないし、何かをしても問い続けるのだろう。
自分の人生は、この道で合っているのか、と。


ゴールデンウィークは、少し離れた田舎に一人で出掛けようと思う。登りたい山に登り、見たい夜空を澄んだ空気と一緒に眺めようと思う。仕事もしないし、料理もしないし、部屋の掃除もしない。とにかく頑張らない、そんな一日を作ろうと思う。


四捨五入したら三十歳。
見た目だけが心を置いて大きくなっていく。
実力以上の評価をされ、押され続けた背中は赤く腫れてしまっている。
焦る必要はない。
生かされるために生まれてきたわけじゃない。
だから今を、たった今を、丁寧に、丁寧に、生きようと思う。

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