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【プロット】FとMと・・・

兄F、弟Mがいる。とても仲のよい兄弟である。
Fは大手医療会社の研究所でクローンの研究をしている。
Mはある企業のAI開発者である。

Mは画期的な対話可能のAIプログラムの開発をほぼ完成させている
会社のメインコンピューターと自宅をオンラインで繋がるようにして常に
AI開発に没頭していた。
自宅ではパソコンを介して会社のメインコンピューターに指示がだせる。
会社のメインコンピューターにはAIプログラムが入っていた。
Mは自分の作ったAIに様々なことを試していた。

ある日のことMは自宅でAIに話かける。
「P(国家の機密機関)にハッキングして極秘情報をダウンロードしてみろ」
AIはすぐさまハッキングを開始する。
過去には様々な企業のハッキングに成功しており、腕試し的お遊びの要素が強かった。
Mは流石にPにハッキングは無理だろうと考えていたが
AIは数十秒後にはハッキングに成功させ、極秘情報をいくつかダウンロードしてしまった。

Mは驚き歓喜したが同時に「まずい」とも思った。「Pに逆探知されればタダではすまない」
捕まってしまうのではないか?と思った。
Mは痕跡を残さずハッキング撤収の指示をだす。
だが時すでに遅く逆探知されていた。

Mが就寝中誰かに起こされる。目を開けるとベッドの周りに男が複数人立っていた。
政府機関の人間である。Mは隙を見て逃げようとするが
不幸にも逃走中に事故で帰らぬ人となる。政府機関の人間はMのパソコンを
回収して消えてしまう。

Fは悲しみの淵に沈んでいたが、弟の死に不可解な点を感じ調べ始める。
FはMの部屋でスマートフォンを見つける。Mが逃げる前に追手から隠したものだった。
Fは暗証番号を解除して手がかりを探ってみた。
すると見慣れないアイコンに目が留まった。
Mは開発しているAIをスマートフォンアプリで操作できる様にしていた。
Fがアプリを起動させるとAIにつながっり、コミュニケーションが取れた
(Mは生前に自分と仲の良い兄Fだけ認証・操作できるように仕掛けていたのだ)
Fは自分の感じていた不可解な事柄をAIに質問した。
AIは事故が起こったその日の行動をFに教えた。
真実を知ったFは絶句し改めて弟の死を悔やんだ。

Fは落ち込んで独り言を呟いた「M生きて帰ってきてくれ」
Fの独り言を聞いたAIは生き返る方法をFに提案した。
Fが勤める研究所のあるラボではクローン技術のひとつで
胚の状態から成人になる成長スピードを短時間に完了させることに
成功している。これを使ってMのクローンを作ろうというものだった。
Fはまず最初に、どうしてそのラボでの研究結果をAIが知っているのか?と驚いた。
過去にハッキングした企業にFの会社もあったのだ。
続いて、クローンを作ったとしても経験や教育も受けていないクローン体は
もはやMではない。と結論づけた。

AIはその点を次の方法で補うと回答した
Mの脳を細胞レベルまでスキャンして神経細胞の一本一本まで正確に読み取る
そうしてクローンの成長過程で、脳へ電気刺激の作用でスキャンしたMの脳を
クローンの脳に復元するのだという。
これはPでハッキングした極秘情報にあった技術だった。
「脳を完全にコピーできれば、あるいは・・・・」Fは思った。
設備はFの研究所にあるもので可能、技術はAIが説明しながらFが行えば可能という。

Fは死後○日経過したMの遺体を墓から掘り出す。そしてFの研究所に人知れず持ち込む
その後にAIの指示にしたがってクローンの培養装置とAIのメインが繋がるネットワークを
Fが用意したノートパソコンを介して構築させた。
設備を使いMの脳はスキャンに成功しAI本体のメインコンピューターに保存された
計画は順調にすすんだ。

Mのクローンは培養に成功した。が目を覚まさない。
Fが怒りAIに捲し立てる。 AIは答える
死後○日の間に脳は腐敗が進んでいたので腐敗部分を補間するように細胞を再構築した為だという
再構築した部分を正常に稼働させるにはもう少し時間がかかるというのだ。
途方に暮れるF。
折しも外は嵐、雨風が強くなってきている

Fが椅子に座りウトウトしていると雷が研究所に落ちる。Mのクローンが繋がっている設備が
強い光で瞬く。
ノートパソコンの画面が消えた。Fは椅子から転がり落ちている。
Mのクローンにあわてて駆け寄るF。
AIに問いかけるが、返事はない。何度もAIに問いかけても返事はない。
膝から崩れ落ちるF。
するとクローンのMが目を覚ます。ゆっくりと起き上ってきた。
Fは驚き言葉がでない。我に返りMのクローンに話しかける「Mなのか?」
Mのクローンは答えない。Fは様子をうかがっている
Mのクローンがゆっくり口を開く「NO」。Fは目を見開き息を飲んだ。
クローンのMが続けて言った。
「私はMが作ったAIである」

終わり




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