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「美しさ」下げ

悪い癖であると思う。
良いものを見た時に大抵の人間は"どこが良いのか"を口にする。私もそうしていると思う。

美しいものを見た時、同様にそうしてしまう。
「この絵のこういう所が美しい!」云々、「この詩はこんなことを表現している!」かんぬん。

本当に美しいものは人間の所業の収まる所に無いと私は思う。芸術の神様はいつだって人間の意識の外側から微笑んでいる。
そんな美しさを言葉で表そうとするなんて、私たちはひどく滑稽な事をしていると感じる。
言葉のレベルまでその美しさを下げてしまうから。

これを考えていた時、「シャーロットの乙女」について思い出した。準えて言うならば、美しさは鏡に映った騎士ランスロットであり、この目は言葉だ。
この目でランスロットを直視することで鏡はひび割れる。
美しさは失われる。

作品について考えることは楽しい、誰かの意見を見ることも、自分の意見を言うことも。
だけれど、その度に私は鏡にひびを入れている、深く、鋭く。

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