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1ミリの後悔もない、はずがないの読書感想文 『トイレ掃除生活87日目』

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一木けいさんのデビュー作

読み終わってからデビュー作だと知った。
「女による女のためのRー18文学賞」で見事読者賞を受賞したらしい。
私はファンになった。

大抵の人は絶望ぐらい何度も陥ったことがあるだろう。
とりあえずぼくはある。
経験済みの絶望に色を付けた言葉がある。
ぼくがファンになった言葉でもある。

絶望には二種類ある。何かをうしなう絶望と、何かを得られない絶望。


内容は五章編成で、語り手が変わる連作短編だ。
第一章に登場する由井。
場面はすぐに中学時代に切り替わる。
この作品は場面の切り替えが多く、わかりづらさがあると思う。
しっかり熟読しないとすぐに置いていかれるので注意が必要だ。
由井の強さに惹かれる人も多いだろう。

【どうか桐原であってくれ】と願う読者はぼくだけじゃないはずだ。

章が変わると人が変わる。
同じ場面を様々な人物からみると、沸き起こる感情や切望に妬みが絡み合い臨場感が増す。
そんな一木さんの描く世界をこれから多くの人が体験する事になるだろう。

本当はもっと深く書きたい。
色々な出来事について書きたい。
だが不幸にも先にこの読書感想文を読んでしまった方のために割愛しよう。

たがこれだけは書かせてもらう。
帯で最上もがさんも書いているのでいいだろう。

最後の手紙には感動した。
【やっぱりリダイアルしてたんだな、常楽さん。】

甘酸っぱい青春恋愛と抗うことの出来ない現実。
そしてその中で連鎖を断ち切る由井さん。
泣かせてもらった作品だった。
ぜひ読んで欲しい。
お求めは近くの本屋さんもいいですね。

おしまい

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