『ポテトサラダ』
これはぼくが子供の頃のはなし。
ぼくの父はよく料理を作ってくれた。
本当に感謝の気持ちでいっぱいである。
そんな父はひとつの料理に凝る癖がある。
グラタンやおでん等に凝ったときは週5日は当たり前。
でも不思議と飽きることはなかった。
しかしポテトサラダに凝った期間は特別長かった。
ポテトサラダを作りたいがために付け合わせにハンバーグを作っていたようなものだった。
そんなある日ぼくは尋ねた。
「ポテトサラダを全力で作ってもメインはあくまでハンバーグ。それなのにサブにしかなれないポテトサラダに全力を出すのはなぜ?」
父は答えた。
「ハンバーグはおいしい。でもそれにポテトサラダが付いているとうれしい。うれしいとハンバーグは更においしくなるだろ?
ハンバーグをおいしくするのはソースだけじゃないんだぞ。」
【なるほど】
深い言葉が心に沁みる。
《出された料理は残さず食べる》
こうしたぼくのポリシーは素晴らしい父から受け継いだのだろう。
そんな威厳に溢れる父がポテトサラダの次に凝ったのは、
ハンバーグの横に位置するナポリタンだった。
どうやら父はハンバーグに興味はないらしい。
同じハンバーグに同じソース。
付け合わせが大量のポテトサラダから
大量のナポリタンになった。
そんな日々が1ヶ月。
気付くとぼくは4キロ太るも感謝の気持ちは変わらない。
でも次はヘルシーに豆腐ハンバーグに凝ってくれないかな。
子供だったぼくはそう思った
おしまい
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