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しのぶセンセにサヨナラ 東野圭吾

書店でこの本を手に取った。
センセというから関西弁だろうと思った。しのぶという名前から男性か女性か分からなかったが、なんとなく女性だろうと思った。
これが正解だったら買うと決めて本を開いた。これがこの本との出会いだった。

内容は短編集で明るくて裏表のない真っ直ぐなしのぶ先生と、小生意気な元教え子2人が事件を紐解く物語だった。1章が大体50ページ程で読みやすく、事件もシンプルなものが多いためさらっと読める本になっている。
だがデメリットもある。1度読み始めるとその章を全て読まないと気がすまないということだ。
1度だけ章の途中で中断して夕食を食べたことがあった。そしてぼくは食事中に事件の犯人を突き止めた。読み終えるまで他のことが手につかないというデメリット。

屈託のない笑顔でガハハと笑うしのぶ先生はモテた。異性だけでなく人にモテた。思いつきを行動に移す実行力と、真剣に取り組める集中力を持ち合わせる彼女は誰に対しても真摯に向き合う力も持っていた。
「こんな先生が学校に溢れていたら楽しくて誰も家に帰らないんじゃないか」
こんな事考えついたのは初めてだった。

先生にプロポーズし続ける新藤刑事。
「この人とはまだ結婚しないだろうな」
残念ながらその読みも正解だった。
「あと1年待ってください」
先生にこう言われて落胆したのは新藤刑事だけじゃないだろう。

この小説のデメリットはもうひとつあった。
タイトルにあるようにこの先のしのぶ先生には出会えないらしい。
もう次回作を書く事はないらしいのだ。
つまり新藤刑事の妻になったしのぶ先生の姿を見られない事だ。

フライパンをおたまで叩いて新藤さんを起こすしのぶ先生。
その間に目玉焼きをうっかり焦がすしのぶ先生。
苦笑いで焦げた目玉焼きを食べるしのぶ先生。
ぼくにとってこのデメリットは非常に大きいものだと読み終わってから実感している。

お求めは近くの本屋さんもいいですね。

おしまい

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