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これが男のすれ違い

今日は待ちに待った日曜日。

いつもの時間にドラックストアに行く日。

恋するあの人の名前を知りたい。

ていうか店員さんは名札の位置を変更してくれないかな。

胸を見ていると勘違いされそうで怖くなる。

せめてもう少し上の方にお願いしたいものだ。

届けどこかの偉い人。セクハラ防止に役に立つ。


さてここで問題がある。

どんな服を着ていけばいいのかが分からない。

いっそのことスーツで行こうかな。

でも「どうしてスーツなんですか?」って聞かれたらどうしよう。

どう答えても嘘になりそうだ。

嘘はいかん。

自分を大きく見せるのはカッコ悪いことだと思う。

ありのままのぼくの何が悪いというんだ。


先週初めて話しかけてくれたんだ。

びっくりしたけど嬉しくて舞い上がってしまった。

たまには下痢もしてみるもんだ。良い事もある。

今日はぼくから話しかけようと思う。


「今日は雨ですね」はどうだろう。でも店内だし唐突すぎる。

「体調は良くなりました」はどうだろう。でも何の報告だよってなるし。

「この前はありがとうございました」はどうだろう。「私何かしましたっけ」って言われたらどうしよう。

あぁどうしよう。

会いたいけど会いたくない。


会いたくない割にいつもより早くお店に着いた。

心と体は別物だと理解した。

恋する彼女はいるだろうか。

いつもならレジにいる彼女はいない。

店内を見渡してもいない。と思っていた。

小走りで走るあの人は間違いなく彼女だった。

ぼくを見て隠れたのだろうか。

どうしようどうしようどうしよう!

ちょっと待って!なぜいくの?まだ何も始まってないっ!


おしまい



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