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夏と冬とぼく『トイレ掃除生活14日目』

おはようございます。
昨日の第一章はノープランで進めた割に書けた方だと思ってる。
自己評価は相当高いよ、だって寝起きで書いてるんだもん。
自己評価で生きていくぼく。
さて、今日は第二章。
いってきまーす。



「冬子がおかしい」
夏子からの電話の第一声。いつもそうだ、悩んで悩んで狂いそうな時に現れてくれるのは夏子だった。
結婚して3年が経つ今でもぼくたち夫婦は夏子に助けられてばかりだった。

冬子の異変に気付いたのは1ヶ月程前だった。明らかに外出が増え、1歳の子供は頻繁に実家の母に預ける様になった。確信したのは仕事が早く終わり家に帰った時だった。子供が大泣きしているのを放ったらかしで冬子が逆立ちをしていた。呆然と立ち尽くすぼくに気付きもせずに逆立ちを続ける。そのまま歩く練習をしている様だった。
ぼくの存在に気付いた時の冬子の驚愕した顔は今でも覚えている。

どうやら謎の教団に洗脳されている様だった。その施設に入る際に清めの水を飲むらしく、この水に薬が混入されているようだった。依存性が高く、数日経つとまた施設へ向かう。こうして教団の虜になっていく手口の様だ。

教団の目的は重力に逆らう事らしい。逆立ちをすることで重力にとって脅威となり、自分たちは選ばれた戦士になるのだという。
おっぱいが垂れるのは敗北の証、靴底のすり減りは服従の証。
淡々と説明する冬子にはぼくの声が届いていない様だった。

「もうやめてくれ」
ぼくの声ばかりが大きくなっていく。逆立ちをしないと戦士に選ばれないと繰り返す彼女。それが冬子の常識になったのだろう。逆立ちじゃ子供も抱けないというのに。

ぼくは全てを夏子に話した。こんな事は夏子にしか話せない。
「わかった」
夏子はそう言って電話を切った。
その日冬子は帰ってこなかった。

翌日の夕方、夏子に連れられて冬子は帰ってきた。冬子は子供をしっかりと抱いていたが、両頬は赤く腫れていた。気まずそうな苦笑いはいつもの冬子だった。
「おかえり、冬子」
泣きながら冬子を抱きしめた。気が付くと夏子はもういなかった。

冬子に話を聞くと、施設に夏子が乗り込んできたらしい。
冬子の名前を呼びながらたくさんの人波をかき分けてくる夏子に施設中が驚いて、誰も何も言えなかったそうだ。
冬子が駆け寄ったら頬をキツく叩かれたらしい。 
「帰るよ」
それだけ言って冬子は手を引かれて施設を後にした。

たったそれだけで戻ってこれたんだと話す冬子。
それだけじゃないんだろうなとぼくは思った。2人が積み重ねた信頼関係があるから戻ってこれたんだろうと。



えっと、ぼくなに書いてるのかな。
ぼくはそう思った
おしまい

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