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白バイガール 佐藤青南

なんとなく手に取ったこの本の目次に惹かれた。
5章編成だった。
1stGEAR、2ndGEAR、3rdGERA、4thGEAR、TOPGEAR。
初めは何の事か分からなく、3秒程考えで気付いた。
ファーストギアからトップギアでバイクの変速だった。
気付いた時には買うことを決めていた。

佐藤青南さんの著書は始めて読む。
まず読み終わった感想は人物の描写がシンプルだと思った。
方言を話す人物も織り交ぜながら会話の時は少人数になる様にされているから、誰が何を話しているかがとても分かりやすかった。
無駄な登場人物や展開もなく、テンポや流れがスムーズに物語が進んでいく。
この様な小説は案外少なく感じるが、ぼくはとても好きだ。

この物語の主人公は白バイ隊員の本田木乃実(このみ)さんは穏やかでぽっちゃり。
同期の女性白バイ隊員は川崎潤は背が高く、木乃実さんの正反対のタイプ。
この二人の仲違いや事件の真相を描かれている。
中盤まで読むと前記したとおり無駄の無い小説だと気付くだろう。
つまりひょこっと現れる登場人物やちょっとした行動は後の展開に関わってくるということだ。

後半の謎解きの為に前半で種を蒔く小説は多くある。
だが全ての種を刈り取る小説が少ないのは展開が読まれてしまうからだろう。
事実今回もそうなった。
途中で木乃実をナンパした男が犯人で、同僚がなんとなく撮った写真が役に立った。
あらすじを読まれるのは著者には不快かもしれない。
それがスッキリした物語が少ない理由だと思っている。
でも忘れないでほしい、展開を予想するのが楽しく感じるぼくの様な読者もいることを。
全部読んでしまうのがもったいなくて気持ちとは裏腹に何度も本を閉じた。
そして「きっとこうなる」「彼女ならこうする」と想像をしていくのが楽しかったし、それが正解していた時は嬉しかった。
そんな読者もいることを。

仲違いしていた木乃実と潤が成長しながら犯人を追い詰める。
そんなシンプルな成長物語を一緒に見守っていける小説だと思った。
ぜひみなさんにも読んでもらいたい1冊になっている。

ただひとつだけ、納得できないことがある。
この物語には危険ドラックが深く関わっている。
それが「ハイパーミント」という自白剤に似たドラックらしい。
これを飲んだ人は意識が朦朧として、理性を無くし悪人に言われるがまま強盗行為をしてしまうらしい。

「言われるがまま行動してしまう」というのなら・・・。
警察官の「待てー」にも反応して待つんじゃないのかな・・・。

【強盗しろ】「はい」
【待て-】「いやだ」っていうのは・・・。

謎だ。
ぼくはそう思った。
お求めは近くの本屋さんもいいですね。

おしまい

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