『トイレ掃除生活13日目』
さて、先週に書いたとおり今週は月~金で小説5章編成でいく予定。
やり切る自信はない。
だって冒頭書いてる今でもノープラン。
チャレンジ開始!いってきまーす!
なんでスピーチする前から泣くんだよ。
同意を求めて隣を見たが既に冬子も泣いていた。
なんでスピーチされる前から泣くんだよ。ぼくの謎は増えた。
こうして披露宴の友人代表スピーチが始まった。
「冬子とは…、小学校からずっと親友で…。」
言葉に詰まる夏子を見るのは初めてだった。
活発な夏子はサバサバとしていて、黒髪のショートカットがよく似合っていた。口を開けて笑う明るい性格がとても魅力的で友人も多かった。
男性ともすぐ仲良くなってしまってなかなか恋人ができないのが不満らしい。だが男からの積極的なアプローチがあってもそれに気付かないのが夏子だ。そうして夏子への片想いがいくつも散っていったことをぼくは知っている。悪意のない悪女なりの悩みなのだろう。
「高校の体育祭では2人で応援団に入って…。」
夏子と違い冬子は目立つのが苦手だった。嫌がる冬子に気付かず引っ張っていくのが二人のパターン。最初は嫌だけど最後は楽しくなるのもお馴染みらしい。今では応援団に入って良かったと冬子は言っている。
夏子はわたしに知らない世界を見せてくれる親友とのこと。もし冬子が男だったら夏子と結婚するらしい。冬子が女で良かったと思うし、夏子が男じゃなくて良かった。危うくぼくの嫁さんが夏子に取られる所だった。
「大学では一緒にカフェでアルバイトもしていて…。」
これは有名な話だ。アルバイト先にフリーターの男の先輩がいたらしい。その先輩が冬子に猛アタックしていたのを助けたのが夏子だった。
夏子は【夢も目標も仕事もないあなたに冬子は渡せません】と言い放ったらしい。そして男は逃げるようにバイトを辞めた。だが半年後に再び男は現れて就職を報告したらしい。【夏子さんの言葉でぼくは変われたんだ】と言って今度は夏子に猛アタックしたが、夏子は好意に気付かず散ったそうだ。
まさに悪意のない悪女ぶりだ。
「冬子とは身長も体重も一緒で…。」
冬子がぼくに体重を明かさない理由がこれだ。
冬子が体重を教えると夏子の体重もバレちゃうからと言って未だに秘密のまま。そのくせに体重計に乗って悲鳴を上げるから気になって仕方がない。
だけど二人は指のサイズも同じらしく、サプライズで指輪を贈る時は夏子に協力してもらった。
冬子の指のサイズを知りたくて夏子に電話を掛けた時のこと。
「サイズは分かんないけど私と一緒だよ。いまどこにいる?」
そのまま合流して二人で指輪を選びにいった。男女の友情は有り得ない派だったぼくの常識が覆った日だった。
「冬子が選んだ彼も合わせて、わたしにとって大切な人で…。」
彼女はとても素晴らしいぼくの友人でもある。
こうしてぼくと冬子は夫婦として素晴らしい門出を迎えたのだった。
おしまい
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