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【沖縄県宮古島】 宮古島で誰もが知る有名人「ダグさん」ってダレ?

宮古島発アメリカン・スタイルの人気ハンバーガー店「Doug's Burger」(ダグズ・バーガー)の創業者でありオーナーの照井 公基氏の魅力に迫る。

ダグという名前

僕は東京生まれで「血」は日本人ですが、今はアメリカ国籍を取得しています。ダグという名前は私のミドルネーム「Douglas」(ダグラス)の省略形から名付けられています。最近では、ダグという名の犬も飼い始めました。

ダグズバーガー創業の経緯

創業のきっかけは「釣り」です。
年々、釣りのターゲットが大きくなり、最後にたどり着いたのがマグロ。中でも、ファイティングキハダと呼ばれるキハダマグロをターゲットにしたんです。キハダマグロの日本の甲子園は、久米島。ということで、15年前くらい前から久米島に行き始めました。

久米島は人口9000人の島(2019年現在は7800名)ですので、飲食店の数が少ない。コンビニで何かを買おうとしてもそもそもコンビニもない。(今はもちろんあります)2泊3日は我慢出来ても3泊4日となると我慢が出来ない。そこで久米島ほどキハダマグロを釣れなくてもいいから、ご飯のバリエーションの豊富なところはどこかとたどり着いたのが宮古島です。夜は比較的おいしい居酒屋さんがたくさんありましたし、キハダマグロの方も70kg以上の大きいものが釣れたので、僕の釣りの拠点はここにしようと通い始めました。
最初のうちは部下や友達がついて来てくれましたが、釣りをするのもお金がかかるので最後は一人で行くようになりましたが。
波が高い日は船を出航することが出来ません。そこで、レンタカーを借りて島を何十回か回っていたところ、ある事に気づいたのです。おいしいお昼ご飯を食べるところが無いと。高級リゾートホテルがいくつも軒を並べる宮古島にもかかわらずです。これは千載一遇のチャンスだと思いました。

その後、転機が訪れました。
2011年に働いた会社がバイアウトされ、僕は45歳で引退することとなりました。最初の1年ぐらいはゴルフと釣りをして遊ぶつもりでしたが1週間も持ちませんでした。2月28日までは1日1000通メールが来るような生活をしていたのに3月1日になったらカレンダーが真っ白なんです。メールはGメールの広告のみの生活となり、そのギャップに衝撃を受けましたね。引退とはこんなものかと自分を納得させようと試みましたが、元来の性格上、それも難しい。
そこで僕には何が出来るかなと考えたときに、日本とアメリカに恩を返すことはできないだろうかと思い至りました。両国の懸け橋になるようなお店を開きたいと決意したのです。

宮古島で出会った二つの食材

キハダマグロを使ったハンバーガー
日本人が食するマグロは主に4種類に分けることが出来ます。ホンマグロ(クロマグロ)、メバチマグロ、キハダマグロ、そしてビンチョウマグロです。高級食材として有名なのがホンマグロで、それ以外は「釣っても漁師は赤字」とも言われるものです。僕自身、キハダマグロを釣る趣味を持っておりますので、ホンマグロであろうがビンチョウマグロであろうが、海に出ていくという行為自体が命がけであることを理解しております。そこで、キハダマグロ漁師さんたちに少しでも還元できないかと思い、食材としてキハダマグロを採用することにしました。
キハダマグロは脂が少ないマグロですので、軽く火を通すことでより美味しくなります。ダグズ・バーガーでは、キハダマグロを一番旨味が出るレアの状態で提供しております。

多良間牛との出会い
しかしキハダマグロだけではビジネスになりません。そこで僕は宮古列島で生産されている和牛に目を付けました。
ここでの和牛は、種牛に使われているような良質な黒毛和牛です。
私は、多良間島産の多良間牛にほれ込みハンバーガーのパテとして使うことを決めました。
「多良間牛」は、ブランド化されていない為、低価格で流通されている状態でした。そこで多良間牛生産者の社会的地位と収入を上げたいと思い「多良間牛」の商標登録を取得しました。現在はさらなる価値向上のため、ブランディングに力を入れております。

ユニークな福利厚生
弊社では、ユニークな福利厚生も特徴の一つです。

例えば、歯科矯正支援制度。
モノを正しく味わうためには、しっかり噛むことが大切だと考えております。ちゃんと噛めないと味も分かりません。その為、弊社では社員が矯正をしたらその分の補助を出すことにしているんです。今、三名の社員が歯の矯正をしています。飲食店ですので、接客上のイメージアップにも歯並びは大切だと考えております。
それとペット手当というものもあります。弊社では、ペットを飼っていると15000円分の餌代が出るんですよ。

飲食店のイメージを変えたい

僕は、飲食業界のブラックなイメージ脱出を目論んでおります。
弊社では、一番安い正社員で年収300万円。東京でも飲食業でもそこまではいかないところも多いと聞きます。この前、恵比寿のある飲食店で、僕が板前さんに「うちの社員の最低年収は300万円なんだよ」っていったら「僕らだってそんなに貰ってませんよ」と驚いていました。当然、弊社の店長やカンパニープレジデントはそれ以上貰っています。
また、強制有給消化制度も取り入れております。10月から交代で、1週間強制的に休んでもらうことにしました。年2週間の有給が貰えますので、それをまとめて取得しても構いません。
またCEO賞として年に一度、一番頑張った二人をサンフランシスコに連れて行っています。私が操をする飛行機に乗せて、カリフォルニアの大地を散歩します。やはり同じところでずっと同じ物を見ていても成長しませんからね。
今の目標は年商17億円。今年は年商約3億円でした。利益率は15%から20%を目標に考えています。Valuationの目標は50億円から60億円で7年後、僕が60歳の時にどこかに売却出来ればと考えております。

シリコンバレー流の経営

お金で何が買えるのか。
この前、「お金で何が買えると思う?」という質問を若い社員にしました。
みんな車だとか家だというんですよ。でもそれは違う。正解は、「時間と自由」。
これは以前僕が勤めていたシリコンバレーの会社が教えてくれたところです。社員には僕に付いて来てくれたら15年後には必ず億万長者にしてあげる。だから信じて付いて来てほしいと言い続けています。
正社員には全員、ストックオプションを与えております。会社が右肩上がりに成長している喜びを一緒に感じて貰いたいと思っております。

ダグは多趣味
2002年に飛行機の免許を取りました。飛行機も所有しています。現在の機材は七機目です。飛行機が好きなので、ダグズ・バーガーのロゴにも飛行機を取り入れています。
他にも、釣りやジェットスキー、おいしいものを食べることも趣味ですね。
その趣味のおかげで、うまい具合にビジネスの幅が広がっているように感じます。

一番最初に雇った人は、料理研究家
かつて自分が勤めていたソニック(ソニック・ソルーションズ)時代は世界中で仕事がありました。そのおかげで世界中の美味しいものを食べることが出来ました。そこで学んだことは、素人が作る料理とお金を貰って提供される料理は雲泥の差、天と地の差があるということです。脱サラしてラーメン屋やりたいという人をよく聞きますが、僕はラーメン屋に対して失礼だといいたい。だからこそ、ダグズ・バーガーで一番最初に雇った人は、料理研究家でした。レシピの考案を100%彼女に任せ、プロの味のメニューを作って貰いました。チェーン展開をしていったときに、味が変わってしまうことは問題ですので、僕と彼女がOKをしなければ、レシピの塩1gも変えてはいけないというルールにしました。僕は、この会社を絶対に大きくするという約束を彼女にし、レシピ代は総売り上げのロイヤリティ2%を提示し、快諾頂きました。今では「ちょっと高かったかな」と後悔してたりします(笑)。

主張しないバンズづくり
ハンバーガーって野球チームそのものなんです。食材全員がホームランを打てばいいんじゃない。
多くの人々が勘違いしていることが、最高のバンズと最高のレタスと最高のマヨネーズと最高のビーフがあればおいしいハンバーガーが出来ると思っていることです。でも違います。ものには加減ってものがあるんです。「お前がホームラン打つなよ」ってやつが打ってはダメ。そこそこのヒットやバントも必要。それが、ダグズ・バーガーでいうバンズと牛肉のパテのバトルでした。
バンズを提供して頂いている空猫十字社さんはパン屋さんですから、どうしても最初の頃はおいしいバンズを作ってきてしまった。5~6回作り直しをしてもらってようやく「主張しないバンズ」を完成させました。ビーフがホームランを打つので、バンズがホームランを打つ必要がないんです。

ものにはTPOがある
焼肉屋さんに行って最後、コムタンラーメンを食べるとします。それがおいしかった場合「これだけでお店開けるよ」と言う方がいらっしゃいます。いや「そんなものは開けません」と僕は思うんです。それは焼肉の後に食べるからこそ、おいしく感じる味の構成になっているんです。その単品メニューで勝負出来る程、世の中は甘くはありません。
仮にも、お客様からお金を頂けるようなコムタンラーメンがコースの最後に出てきたら、きっと私たちはしつこくて食べれないでしょう。
そうなんです。ちゃんとモノにはTPOがあるんですよ。
その為、私たちもハンバーガーづくりの時に、各素材のTPOを考えて構成しました。
マヨネーズをどこに塗るのか、レタスをどこに挟むのか、トマトの位置はどこにするのか、料理研究家の女性と時間をかけて議論しました。


思わぬチャンスから生まれたダグズコーヒー
ソニック時代から深い親交を持っていたJALの方々から、石垣空港出店のお話を頂きました。初めはダグズ・バーガーをそのまま出店することも検討されていたのですが「ハンバーガーは臭いが強い」という理由から断っていました。他にダグズ・グループでこだわっているものは?と考えたときにコーヒーがあったんですよね。それではコーヒーショップでどうでしょうか?という打診を頂きました。
開業まで4か月しかないという短い期間の中で、サンドイッチのメニューを考えたり、カップを作ったり、ロゴやサインのデザインを考えるという慌ただしいスケジュールをこなしましたね。
そこで出来上がった店舗がダグズ・コーヒーです。ここでは、ツナ瓶やおかきも販売しております。
宮古島店を本店と呼んでおりますが、実はこちらの方が早い出店だったんですよ。

新しい事業構想

新空港が開業すると宮古島有数の絶景スポット「17エンド」が閉まりますよね。多くの観光客がレンタカーで訪れていたようですが、僕はそもそもそこへ車で行くことはなくて、いつもジェットスキーで訪れていました。海側から見る宮古沖合と宮古ブルーの海は絶景です。
実は私は、プレイグラウンドというツアー企画会社も持っています。そこで空港開業のタイミングに併せてジェットスキーのツアーも計画しています。

宮古島と共に

ダグズ・バーガーでは「島とともに生きる」をモットーに展開しております。
それはダンピングなどせずに適正価格で仕入れ、お客様には「美味しさ」を、島の供給者には「利益」を還元しようということです。
オニオン一つとってもこだわりながら丁寧に作っております。ぜひ島の恵みとも言うべきダグズ・バーガーを食べに宮古島へいらっしゃってください。お待ちしております。

                                                                                          (取材・文 yuno)


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