🍓イチゴちゃんのフシギ🍓

むかしむかし、あるところに、イチゴちゃんという、１歳くらいの赤ちゃんがいました。

イチゴちゃんはまだ歩けませんが、元気が良くて、よく動き回るので、おうちでは「歩行器」というものに乗せられていました。

その歩行器にはテーブルがついていて、イチゴちゃんのお母さんが飲み物や食べ物をそこに置いてくれます。

今日のおやつは、イチゴです。

お母さんがイチゴを出してくれると、手を叩いて飛び上がらんばかりに喜ぶくらい、イチゴちゃんはイチゴが大好き。

お母さんがそんなイチゴちゃんのために、イチゴをテーブルに置いてくれます。

すると、イチゴちゃんは、どうしてだか、お母さんがくれたイチゴの半分を、食べずに置いておきます。

お母さんが「全部食べていいのよ」と言っても、全部は食べません。

大好きなはずのイチゴを、全部食べないイチゴちゃんを見て、首をかしげるお母さん。

そのイチゴはどうするのかしら？と思っていると、イチゴちゃんのお姉ちゃんが、小学校から帰ってきました。

イチゴちゃんはお姉ちゃんが大好き。お姉ちゃんに駆け寄ります。

お母さんがお姉ちゃんのおやつにと、イチゴちゃんが残したイチゴをあげてみると、イチゴちゃんはそれを欲しがることもなく、お姉ちゃんが食べるのを眺めています。

どうやら、残した半分のイチゴは、お姉ちゃんに食べてほしくて、残していたようです。

それからもずっと、イチゴちゃんは、もらったイチゴの半分を、お姉ちゃんに残しておきました。

今でも、フシギな、イチゴちゃんのお話。

🍓お🍓し🍓ま🍓い🍓

苺の季節ですね。

唐突ですが、優しさって、なんでしょうか。

「はなちゃんは優しいね」と言ってもらうことが割とあるわたくし。

言われるたびに、「へーそうなんだー」と思うくらいで、何がどう優しいのかはわからないことがしばしば。

そこで思い出すのが、私が母から聞いていた、子どもの時の私の話。

イチゴを必ず姉のために残していた、と、言うのです。

今でも私は半信半疑なのですが、残していたことしか聞いていなかった気がしたので、

先日改めて確認した時に、その後はどうしていたのかと聞いてみたらば、

姉がイチゴを食べるのを見ても平然としていただけだった、とのこと。

余計に信じられない結果に。

確かに、姉とは喧嘩になったことはなくて、年が離れている姉が寛大なだけだと思うのですが、

好きなものを残しておける１歳児(母いわく、１歳になっていなかったようですが)って

どういうことなのか、全く想像がつきません。

三つ子の魂百まで、というのが私のそれだとしたら、分かち合うことを生まれつき優しさとして持ち合わせたと解釈すればいいのかな、と、最近思うようになりました。

周りの人にニコニコしていてほしいという気持ちがあったかなかったかはわかりませんが、今の私は、そんな風に、当時の自分を想像して、思うのです。

あー、いちご狩り行きたい。