見出し画像

妻に秘孔を突かれた話


 "鎖骨の上の窪みあたり、って、なにココ!? なにかヤバめな神経でも走ってんの?"


 なんかね、イチャついてるみたいで書くの憚られるんですが。

 今日(2024.09.04)は休みで、妻も休みで、一緒に家にいました。
 で。いや、妻をね、からかってたんですよ。
 「この空手使いめ、ホーラホラ。降参させてみぃ、打ってこいホレホレ」とか言いながら頬っぺたつっついたりしてたの。ふざけて。
 妻は松濤館流空手の三段であることは、昨日、ツイッター(現 X)に呟いた通りで。

 そしたらやおら、右手の人差し指をすっと突き出す妻。
 あ、ホラあそこに何かいる! ノラ猫かな? って時のあのカタチね。シーッ。静かに。のカタチね。
 で、その指先で、ゆっくりトンと鎖骨の窪みを突かれたの。軽く。ちょこんと。
 したらですよ、イッッタいの。もう痛えの痛くねえのって。息できないくらい痛いの。
 ほんの軽ーくなのに。あんなゆっくりだったのに。
 何て言うんだろう、バチーンと雷に打たれたみたいな衝撃ですよ。ま、雷に打たれたことなんかないですけどね。
 立ってられなくって、蹲っちゃって。
 うぐぐぐっと声にならない声を出しつつ、食いしばった歯の隙間からどうにか息を吸って吐いて。涙はボロボロ出てくるしね。
 ヤバいヤバい、何これ、なにこれ、ナニコレ? 
 冒頭1行目の文章が、頭の中をぐるぐるぐるぐる……。


 なんかさあ。違うじゃん? 思ってたのと。
 「エイッ!」
 「アッ、イタタタタ。マイッタマイッタ。ヤア、ツヨイナア。サスガダネ」的なのを想定してたのに。
 なんか知らんけど、謎の秘孔っぽいとこを、無言かつ無表情で突いてくるなんてさァ。
 なんつーかさ、それホンマもんの空手使いのすることじゃんか。
 ったくよぉ……。

 あとで妻に訊いたところによると、人差し指で突くのは「一本貫手」といい、突いた場所は「欠盆」という急所らしいです。

 もしもゆく手に悪漢が立ち塞がったら、もう迷わず素早く妻の後ろに隠れよう、と固く心に誓ったことでありました。とさ。
 おしまい。

いいなと思ったら応援しよう!