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真夜中の電話

先日のこと。

真夜中2時頃に携帯に着信がある。
なんだなんだ、こんな時間にぃ。と見ると、スマホ画面には義父の番号が表示されている。
ああ、これは何かあったなきっと。マズいな……。マズいぞ。
傍らの妻を叩き起こす。妻の目の前にスマホをかざして、表示番号を見せる。
まだ着信は切れない。
落ち着かなくちゃ。何があっても冷静に。
1回深呼吸して、電話に出る。


そしたらですよ。
なーんか妙にのんびりとしたトボケた声で、
「いやァ今さァカミさんとさァ、イビサ島に来てんだよォ地中海のさァ。イイだろォ」
と義父。

ハァ!?
なんだそれ。なんなんだ?
それを知らせたくてワザワザ電話してきた、ってことなの?
まったく、つくづく食えない両親だぜ。

しかし。
イビサ島なんて、ヨーロッパの大金持ちが遊びに行くとこなんじゃないの?
よく知らんけど。
村上龍の小説から得た知識があるのみだけど。
Café del Marがあるとこだよね?そこのDJ選曲のコンピ盤を何枚か持ってるよ。
だいたい、どうしてそんな超ハイコストっぽい、どっさりお金が要りそうな超高級リゾート地を満喫できンの、アンタたち?
日本円がヨワッヨワの、この時代にさあ。

まあ、結構な話だけども。
風雲急を告げる類いの電話じゃなくて良かったけども。


傍らの妻をふと見ると、すでに再び眠りに落ちている。
どうしてそんな素早く寝られんの?キミは。こんな出来事の最中に。
ま、アレです、くれぐれもお気を付けて、存分に楽しんでらして下さい。
と義父に告げて、些か憮然としつつ電話切ったのでありました、とさ。

おしまい。

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