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校長先生とのコーヒータイム

High Techスクールでは、先日Fall Festival(秋祭り)がありました。ハロウィンが近いとあって、写真のようなバウンスハウス、ハロウィンにちなんだゲームのブースや、フェイスペイント、写真を撮るブースなども登場。小学校・中学校・高校と全校一緒のお祭りで、授業時間中に小学生が会場を訪れて高校生が仕切るゲームで遊ぶという場面もあったそうです。夕方6時までやっていたので、私たちも家族で行ってきました。

そして、10月から始まったのが、月に一度の「校長先生とのコーヒータイム」(ちなみにHigh Techスクールでは校長先生はPrincipalでなくDirectorというタイトルです)。小・中・高それぞれに、別の日にちで校長先生とお話ししたい保護者が集まるミーティングがあり、特に小学校の日には20人を超える保護者が集まりました。冒頭に校長先生から、子どもたちのライティングのスライドを交えて、生徒の学力をどのように測っているか、というプレゼンがあったあと、保護者からの質問タイムになりました。ここでは子どもの困った行動についての質問が大部分を占めていたのが印象的でした。我が家も小2の三男が学年の始めにクラスメートの子にちょっかいを出されていた件で、一度校長先生と個別にミーティングをしましたが、他にもそのようなケースはあったようです。また、休み時間に我が子が困っているが、監督体制がどうなっているかと質問する親もいました。校長先生は、それぞれの質問に対して真摯に答えていて、担任の先生と一緒にクラスに入るSocial-Emotional Learningを補助するための先生を雇ったことや、スクールカウンセラーについての説明もありました。

ミドルスクールの校長先生とのミーティングには10人ほどの保護者が参加。冒頭の自己紹介では、自分と子どもの名前、そして子どものいい面をひとつ言ってください、という依頼で、多くの保護者は「学校に楽しんで行っていること」「宿題を進んでやっていること」「友達を作ってなじんでいること」などと言っていました。その後、毎週月曜日の朝に生徒たちに見せているという、前の週のハイライトやお知らせなどで構成された動画が流れました。ちょうどエキシビション・ナイトが終わったところだったので、先生たちや生徒からの感謝や激励の言葉がたくさん映っていました。次に、5分程度の間に「うまくいっていること」「改善の余地があること」「質問」という3つのカテゴリについて、それぞれポストイットに書いて、ミーティングルームの3方向の壁に貼るという時間がありました。質問のポストイットを手早く見て、答えられる質問については答えた後、うまくいっていること・改善点のポストイットは持ち帰っていました。

最後に、校長先生から「基本的にオープンなキャンパスであることについて多くの保護者から懸念の声がある」ということで、High Techスクールでの取り組みについて説明がありました。まず「そもそも"active shooter drill"(銃を持った人がキャンパスにいるという想定での訓練)を行わなければならないアメリカの現状をまず憂慮しています」という言葉で始まり、統計的には銃乱射事件があったキャンパスは警備員がいたり、ゲートがあって簡単には入れないような作りになっている場合がほとんどであること、警察と密に連絡をとってキャンパスの安全面についてアドバイスをもらったり、教職員が定期的な訓練を受けていることなどの説明がありました。以前は銃を持った人がキャンパスを襲ってきた場合には、ロックダウン(建物の中に入り中から鍵をかけて隠れる)という対処法が一般的でしたが、最新のストラテジーは"Run, Hide, Fight"というものに変わってきているそうです。

Run if you can, hide if you can't, fight only if you have to

その意味では、教室や学校の中に留まって隠れるのではなく、危険のある場所が特定できる場合には、教室やキャンパスから外に逃げられるような複数の出入り口があるほうが好ましいのだそうです。また、この事態に対応できるようにするための訓練についても言及がありました。教職員は不測の事態に対応できるように常に訓練を受けていますが、このシナリオをそのまま訓練にするのは、子どもたちの心理面を考えると、いたずらに不安を与えることになりかねないという懸念があります。6年生は日本でいったらまだ小学生。子どもによってはそういう可能性があると考えるだけで学校に来ることがとても心配になってしまうし、訓練事態がトラウマを与えかねないというリサーチもあるため、訓練時にはあくまで「緊急事態には、先生やスタッフの指示に従う」というに留めているとのことでした。そして学校での銃乱射事件の可能性は残念ながらゼロではないが、必要以上に恐れるほど高くもないので、その点も考慮してほしい、という言葉で締めくくられました。数日前には早速小学校と中学校の両方で、火災を想定した避難訓練が行われていたようです。「何が起こるかわからないから、何かがあったときには先生の指示に従って行動する」。シンプルなようですが、これが機能するためには、先生と生徒のあいだの心理的なつながりがきちんとしていることが大事だなと感じました。特にミドルのほうでは、子どもたちが難しい年齢にさしかかっていることもあり、その点にとても力を入れているようです。何より、校長先生とこのような形で月に一度、学校についての話を聞いたり、心配ごとを相談できる機会があるのはとてもありがたいなと感じています。

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