見出し画像

中国で家を買う

日本で生まれ日本で育った自分は、海外旅行に行くと目から鱗のことがいっぱいある。

15年ほど前に2人の子供と父親(じーちゃんね)と4人で7泊8日の中国ツアーに行った時も驚きの連続だった。

水族館などで見かけるイワシの大群かと思うほどの自転車のラッシュアワーや、洗濯物の干し方、土産物屋での嘘くさい値段交渉、1000円族と呼ばれた「しぇんえん!しぇんえん!」と言いながらしつこく付きまとう人達。トイレの水圧が悪いので使用済みの紙がポリバケツに山盛りになってる個室の吐きそうな匂い。歯ブラシのデカさ。

風光明媚な観光地の墨絵のような景色や気の遠くなるような時間をかけたであろう建造物や豪華な美術などには心から感動したが、どうにも笑顔と言うものにほとんど遭遇しない。

バスでに移動中、トイレ休憩ごとに立ちよる土産物屋で高額な商品を売ろうとする時だけ妙な笑顔を見せられる。

父親が寅年だったので、虎の置物を買おうかと眺めていたら
「あなたはここで食事をした。だから友達。なのでこれを安くしてあげる。3万円でいい。」
「いや、そんなに高いものは買えないからいらない」
「あなたは友達、これを気に入ったのなら特別に1万円にしてあげる。他の人には内緒」
「ありがたいけど、今財布にお金が入っていないから買えない(3分の1になるなんて嘘くさいな〜)」
「いくら持ってる?」
「これしかない(財布には3000円しか入れてなかった)」
「あなたは友達。この虎はあなたのもの。3000円にしてあげる」

最初の3万円は一体なんだったのか?

まあ、3000円ならいいかと買ってしまったが、パッと見は象牙っぽかったがきっとプラスチックかなにかなんだろう。
見た目はかっこいい虎だったのでよしとするが、本気で人が信じられなくなる会話だった。

そういう体験の後に、かの有名なチャン・イーモウ監督の「あの子を探して」という映画を見た。
ありがとうとごめんなさいを言わないストーリーにずっとモヤモヤして、そうそう、中国の人ってこういうとこある。だからやっぱり私には合わない。と個人的に考えていた。

ところが最近、そうあのお花見の時に、「中国で家を買った」という石田さんという方がいらっしゃり、初めましてでお酒をご馳走になったりした。「あの」中国で家を買ったなんて!!って驚きながら、帰ってからフォローさせていただき、その顛末の記事を読まさせていただいた。
https://note.mu/zhou/m/m4fe67f5a43f2

午後から仕事に行く日の午前中に引き込まれるように読みふけり、あまりのめちゃくちゃぶりに久しぶりに「そうそうそう!!中国ってこんなとこ!!」って妙に納得して一緒になってハラハラドキドキしてしまった。

この石田さんは9か月という長い期間の出来事を日本人の目線で中国の当たり前のことを記録したドキュメンタリー映画にしあげた。

石田さんは元々映像のプロの方だそうだが、その映画の中の素敵な音楽はnoteの「えいとまんさん」が担当され、パッと目を引く題字はやはりnoteの「uniさん」の作品。そして優しく穏やかな声のナレーションもnoteの「浜田さん」という方。
これはまさしくnote発のスペシャルドキュメンタリー映画だ。

作品の最後の方でご自身がチャン・イーモウ監督のような統率力があれば、中国でも水平な、きちんとした内装ができただろうが。。。と言うような事をおっしゃっていたが、日本人の石田さんだったからこその目線で、この顛末を世に知らしめれたのだと思う。

最初の驚きから、あまりの理不尽さが怒りに変わり、それが爆発し、反発心がやがて諦めに変わり、中国の常識を受け入れていく様子がなんとも切ない。

この完成された素晴らしい作品に一つだけおねだりするとしたら、石田さんの生の声がもっと聞きたかったw

たった一箇所、壁を手のひらで叩きながらの一言がメチャクチャ「リアルな哀愁」が滲み出ていたので、もっと「ふざけんな!」っていう時や、「これはありがたかった〜」なんていう時のご本人の声が聞きたかった。

まあ、役者でない以上、後からとってつけたようなセリフは入れられなかっただろうけど、本文を読んでいる時の「怒りのパワー」がちょっとだけオブラートに包まれてしまった気がした。

でも、とにかく素晴らしい作品なので、1人でも多くの方にじかに触れて見ていただきたい。

そしてこういう「違う価値観」の人達が確かに日本のお隣(飛行機で数時間の場所)にいらっしゃるのだという事実をしっかりと感じて欲しい。

埼玉まで行くよ〜って方でご覧になりたい方が複数いらっしゃったら、我が家で上映会してもいいな〜♪


#中国で家を買う

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?