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藪原検校 春秋座

藪原検校 春秋座公演
藪原検校の演出家杉原邦生さんは京都芸術大学(元京都造形美芸術大学)の卒業生でこの大学は構内に春秋座と言う劇場を持っている。その来歴はご存じの方も多いと思うのでここでは省くが杉原邦生さんが初めて演出をしたのも春秋座だというのは初めて知った。猿之助さんから「卒業生だからカーテンコールは毎日出なさい」と言う厳命を受けて毎日カーテンコールに出てる邦生さん。
私は19日昼の部が初見。
噂の早物語はさらさらと流れる様に語るので設ける手の内に入ったのかと思ったが、アドリブもありそれなりに笑えたり、ポップな音楽に乗って歌われる残酷な歌詞に驚く。帰って原作を見直すとそのままなんだけどト書きは陰鬱なイメージだ。若き演出家は落書きだらけの渋谷の街を背景に黄と黒の工事現場のロープでセットを作る。
物語を語るのは川平慈英の盲太夫。
SNSでは公演によってカミカミってあったが全くそんなこども無くストーリーテラーとしての役割を果たしていた。
翌20日の昼の部は早物語が別物。リズムに乗って語りは熱を帯び義太夫、能とテンポを変えて熱く語る。そういえば、19日は朝早くから比叡山に参拝して、公演後は南座見物をしてたね。
毎日観るから分かる変化は贅沢の極みだ。
大千穐楽は、猿之助イタズラの限りを尽くすの巻。
早物語は客席の手拍子を促すし、取り立ての場面はバナナまで用意する周到さだ。
ホームグラウンドの春秋座だから許される遊びの数々。それでもきっちりと泣かせる凄腕の俳優だと分かっていても改めて舌を巻く怪優だ。
彼の歌舞伎を観られなくなって1年以上経つが、私の住んでいる地方はいわゆる「まん防」の適用が始まる。
楽しい感想を書ける日々がますます遠くなる。
#藪原検校
#市川猿之助
#春秋座

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