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菊之助さん休演

ナウシカ歌舞伎はソールドアウト。原作を忠実にしかも歌舞伎!と初日から絶賛されていました。私は遠征観劇不可能なので2月のディレイビューイングを見ようと楽しみにしていました。

そこへ今日12月8日菊之助さんの怪我というニュースが飛び込んで来て冷たい何かが体を貫く様なゾクッとする痛み。猿之助ファンには悪夢がよみがえります。昼の部は宙乗り無しで、七之助さんが楽屋着のまま機材トラブルで本日は中止と話されて終了。

夜の部は劇場の前で待つお客様にネクタイ姿の松竹さんの人が「休演」のお知らせ。
夜には左ひじの亀裂骨折、骨にヒビが入ったが大した事はないので9日から上演再開とのこと。

菊之助さんの御贔屓はもちろん私もほっと一安心ではあるのですが、本音は無理をしないで欲しい。

古典歌舞伎には昔からあるように三日御定法、例え一日で治っても三日は休むというものです。脈々と続く古典歌舞伎だから可能なシステムです。
そして古典歌舞伎の場合は主役が休む時、自分で代役を決めその俳優を呼びお役を任せるそうです。きおいちょ事尾上松緑さんも吉右衛門さんに代役を任された時の緊張感溢れる心持ちをBlogにかかれていました。

海老蔵さんも新作で過労の為に休演されました。「星合世十三團」は新作歌舞伎とあって代役は立てずしばしの休演。昼の部かんげん君の外郎売りは僅か5才の彼が一人でやりきるという奇跡的な素晴らしさ。海老蔵さんをお目当ての方は突然の休演に戸惑われた事でしょう。
この事実を新作歌舞伎全体の教訓と出来ていなかった事が返す返すも残念でなりません。

新作歌舞伎は主演俳優の魅力やその配役にもわくわくします。座頭で主演の菊之助さんが休みたくないと言う気持ちはよくわかるし、もちろんドクターの許可もあり出演を決められたのだと思います。
しかしいつも危険と隣り合わせだと言うこともご存じだったはず。代役の設定をしておくべきでした。

日々肉体の表現で観客の心を掴む演劇の中でも歌舞伎は25日間休み無しと過酷な態勢です。新作歌舞伎は特にお稽古も時間との闘い。華やかな舞台の裏でスタッフお弟子もフル回転のはずです。
アニメ歌舞伎はそのアニメの世界観を壊してはならない。その点でも高い評価を受けてるというのはそれだけの苦労があったこそでしょう。
どんなに演劇でもアクシデントはあります。その時どう対応するのか、俳優に負担をかけず芝居を続けられる方法を考えてなければならない時期に来ているのではないかと感じます。

私達猿之助ファンはお目当ての主演俳優がアクシデントで出演出来ない深い悲しさを知っています。しかしそれを乗り越えて休演する事なく、代役の若き俳優の頑張りと俳優仲間が一体となり舞台を成功に導いた事も知っています。

アクロバティックなケレンを多く使う新作歌舞伎こそ万全の態勢で臨んで欲しい。心の底から願います。

菊之助さんの歌舞伎人生はまだまだ先が長いのです。幾つになっても高い身体能力を求められる梨園の御曹司。そして大名跡を継がれる方です。せめて体に負担が少なくなるように演出の工夫をして頂きたいと願わずにおられません。

どうぞ無理をされませんように。

#ナウシカ歌舞伎 #菊之助さん

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