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まほろば

蓬莱竜太の戯曲「まほろば」は2008年に新国立劇場で栗山民也演出で初上演されたそうだ。
今回は日澤雄介新演出での「まほろば」
出演は藤木家の嫁高橋恵子さん、長女早霧せいなさん、次女中村ゆりさん、次女の娘生越千晴さん、近所の小学生(Wキャスト八代田悠花さん&安生悠璃菜さん)姑三田和代さんと言う顔ぶれで女だけの生な会話が進む。
祭りの日に東京から長女と次女の娘がいきなり帰ってきた。それぞれに悩みを抱えながら。
名家の本家を守る嫁の立場の押しつけから娘を思う母の気持ちまで変化する過程。近所の小学生がズバズバと確信をついて行く。孫は不倫の子を身ごもる。長女は閉経したと勘違いするのだが実は妊娠中。しかも中絶出来ない時期。

姑にはひ孫にあたる次女の娘にも優しい。
嫁にも優しい。長女にも優しい。彼女が藤木家の女達の会話に希望を与える。子供を産む、妊娠する、様々なシチュエーションが提示され女達の生々しいしかも赤裸々にツッコミあう会話。
初演の頃とは時代が変わった。が、妊娠というのは女だけの権利であり女にしか起きないアクシデントでもある。me tooを叫ばれる現代だが、妊娠、出産が男の問題になる時代は来るのだろうか?
考えさせられるテーマを若い男性が10年以上前に書いた事に驚歎する。

栗山民也さんはどんな演出だったのだろう。

スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」にこんな言葉がある。『大和は国のまほろば』
まほろばとは素晴らしい場所、住みやすい所、美しい日本の国土とそこに住む人々の心をたたえた古語とパンフを開けた所に演出の日澤さんが調べた言葉として書かれている。
産む性の女と産ませる性の男。互いに自由で美しいまほろばはいつ生まれるのだろう。

#芝居感想 #高橋恵子 #早霧せいな #中村ゆり #生越千晴
#日澤雄介 #蓬莱竜太 #まほろば

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