幻の南座 新版オグリ 配信
この夜はきっとあけないんだと泣きくれた3月が終わり4月になっていよいよコロナ禍は激しく夏の『ヤマトタケル』まで中止になった。
そんな時に一筋の光が射した。
幻の南座公演が13日16時からYouTube松竹チャンネルで無料配信された。
19日までと期間は短いが望外の喜びだ。
猿之助フルバージョンと隼人オグリのhighlighteditionと合わせて20万回以上視聴された。
SNSではこの視聴が初スーパー歌舞伎セカンドと言う人も多かった様だ。今回の『新版オグリ』は特に映像とも相性が良かったのかも知れない。
舞台自体がデジタル映像を多く使い、タイトル映像は大河ドラマの様。
新橋演舞場版は5月に衛星劇場で放送される。博多座で大幅なカットと整理を施しストーリーに納得性を持たせた猿之助さん。南座はまさかの角丸との二人宙乗りで天馬の足が動く。南座ver.の餓鬼病は目が見えにくい体が動かしにくい病魔に冒されたツラさを細やかに表現してるのが、映像のお陰でしっかりと観ることが出来た。
何度も好きな所だけをリピして見てしまう。
荒馬の鬼鹿毛を乗りこなし「私は都では暴れ馬と言われたが暴れ馬と暴れ馬は仲良しだぁー」みたいな台詞を喋りながら鬼鹿毛に乗っているオグリ。
餓鬼病となって迷い苦しみながらやがて利他の喜びこそが真の喜びだと気づくオグリ。熊野の湯つぼに飛び込む前に閻魔大王から生かされた意味を知り独白するオグリの台詞の深さがびんびんと伝わる。本当に映像の向こうから直接胸に響いてくるのだ。夢の1週間は瞬く間に過ぎてしまった。
次にオグリを観られるのはいつだろう。映像をDVD化して欲しいと言う声も散見されるが、私は次の南座で装いも新たに、多分新たにされるだろう『新版オグリ』をこの目で観たい。記録としての映像は大切だが、舞台を映像化すると絶対欲しい場面が無かったりしてガッカリする事の方が多い。
ヤマトタケルも新版オグリも必ずや再演されると信じてこのコロナ禍を乗り越えたい。
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