【シンザン記念2022】抜群の適性を見せそうな馬が2頭!走法から見る過去傾向と出走予定馬全頭診断

この記事では22年シンザン記念にあたって、

(1) 中京芝1600mの特徴(コース形態、好走馬の位置取り、ラップ)解説
(2) 中京芝1600mで好走する走法の解説
(3) 22年シンザン記念出走予定馬の全頭診断

を行っております。この記事を読んでいただくことによって、
“出走各馬の特徴(特に走法面)”
が理解していただけるように、心がけて作成致しました。
 また最終予想はYouTubeにて配信しております故、そちらも是非ご覧ください!

(1) 中京芝1600mの特徴
【ポイント】
・先行or 好位差し馬に有利なコース形態
・枠の有利不利は少ない
・スピードだけではなくパワーも必要

以下の図は昨年2021年の第1回中京開催(1~2月)から、2勝クラス以上の芝1600m開催の5レースをピックアップし、それぞれのレース3着以内馬の位置取りと上がり3Fタイムをプロットしたものです。

シンザン記念2022 位置取りと上がりタイム

 これを見ると、ドスローからの瞬発力勝負となった2レース(エルフィンS、トリトンS)を除いても、後方すぎる馬の追い込みで馬券内に届くことは少なく、先行or 好位差し馬での決着が多いのが分かります。

 次に枠順についてですが、スタート位置から最初のコーナーまで200m前後とそこまで距離があるわけではないことから、最初のポジション争いがそこそこ激化することもあり、そうなると内枠が有利です。ただ向正面から直線入口まで下り坂なため、3コーナーくらいから早めに動いていくレースになりやすく、そこで内枠の馬は動けずに位置を下げてしまう不利を受けることがしばしばあります。そして結果として内外で有利不利がない傾向に繋がっているのではと考えます。

シンザン記念2022 中京芝1600m 枠順別成績


(引用元:調教タイム理論、「中京競馬場 芝1600mの傾向や有利不利」、
https://speedkeiba.com/chukyo/ckturf1600/#waku_results>、2022年1月2日閲覧)

 また過去5年の中京芝1600m開催の重賞・OPにおける上がり3Fタイムの平均は35.1秒で、先ほどの「仕掛けが早くなりやすい」傾向と合わせて、パワーも必要なロンスパ勝負になりやすいコースという印象です。
(引用元:成績・回収率の最新傾向がわかる全競馬場コースデータ、「中京芝1600mの最新傾向」、
<https://course-db.com/%E4%B8%AD%E4%BA%AC%E8%8A%9D1600m%E3%81%AE%E6%9C%80%E6%96%B0%E5%82%BE%E5%90%91/#1600m>、
2022年1月2日閲覧)

シンザン記念2022 中京芝1600m 平均タイム

以上のことより私のこのコースに対する見解をまとめると、
・先行or 好位差し馬に有利なコース形態
・枠の有利不利は少ない
・スピードだけではなくパワーも必要

の3点です。


(2) 中京芝1600mで好走する走法の解説
【ポイント】
・跳びの大きさはあまり関係ない
・地面を搔き込む走法や、ピッチの速い走法など、パワーのある馬が台頭している

 この章では中京芝1600mコースで好走しやすい走法の特徴について考察していきます。
 まず以下の図は昨年2021年の第1回中京開催(1~2月)から、2勝クラス以上の芝1600m開催の5レースをピックアップし、それぞれのレース3着以内馬の位置取りとストライドの大きさをプロットしたものです。(赤字は6番人気以下で馬券内に来た馬)

シンザン記念2022 走法マトリックス

これを見ると位置取りは先ほど申し上げた通り先行・好位差し有利ですが、ストライドの大きさ的にはどこからでも来ている(強いて言うなら穴馬が馬券になっているピッチ走法優勢)と言えます。

 次にこちらは、各馬の走法を、ストライド or ピッチ走法で2つに、その後前脚の使い方によって、「伸び伸び型・搔き込み型・叩き付け型」の3つに分類し、最終的に各馬の走法を6つに分類したものです。

シンザン記念2022 好走馬の走法分類

 これを見ると直線が長いコースであるため、綺麗な跳びをする「伸び伸びストライド型」も台頭してきているのですが、特に人気薄には前脚を掻き込むように走る「搔き込み型」か細かいピッチによって一瞬で加速してくる「伸び伸びピッチ型」が台頭しています。そしてこういった走法をする馬はいずれもパワーや馬力がある馬が多いため、この時期の中京芝1600mはパワーや馬力がある馬に有利であると考察します。


(3) 22年シンザン記念出走予定馬の全頭診断
【特注馬(50音順)】
・ウナギノボリ
・ジャスティンヴェル
・ソリダリオ
・マテンロウオリオン
・レッドベルアーム

ここからはシンザン記念出走予定馬の全頭診断を行っていきます。
走法分析をメインとして、各馬を「S・A・B・C」の4段階で評価していきます。

出走予定馬


アールチャレンジ(牡3 56.0kg 騎手未定)
評価:C

アールチャレンジ

 アールチャレンジはどちらかと言うと首が高めでかつ、後ろに重心があるような走りをします。そのため重心を前に持っていかなければいけないスタートで良く出遅れるのかなと思いますし、追われてからストライドが伸びないため、後ろから切れる末脚も使えない現状です。
ただ脚の裁き自体は力強さがありますし、回転力もそこそこあるため、馬場が渋ってくれば浮上のチャンスがあると見ます。


ウナギノボリ(牡3 56.0kg 吉田隼人騎手)
評価:S

ウナギノボリ

 瞬発力ならメンバー屈指だと思います。この馬はインディチャンプに似た、首が高め&あまり振らないという走法で、こういった走法をする馬は素晴らしい一瞬の切れ味を秘めていることが多いですし、ウナギノボリ自身サウジアラビアRCでも上がり2位の末脚を使えています。
ただこの馬も先程のアールチャレンジ同様(むしろこっちの方が酷い…笑)スタートでの出遅れが目立つ馬です。しかし走りのバランス的には前傾姿勢(スタートはどちらかと言うと出やすい)で、スタートを出ないのは新馬戦後に和田騎手が「真面目に走らない」と仰っていたように気性面が影響しているのかなと考えています。
その分折り合い面には問題がない馬ですから、ここは少し馬のテンションを上げて、前向きな気持ちでレースに参戦してきてほしいです。好位のインを楽に取れれば、1着の最有力候補であると考えています。


カワキタレブリー(牡3 56.0kg 松山弘平騎手)
評価:C

カワキタレブリー

 この馬はまだこれからの馬だと思います。前走デイリー杯2歳Sの走りを見る感じ、まだ後肢の踏み込みが浅く、前肢との連動性もあまり感じられない、如何にもこれからの馬といった印象を受けました。またこの馬は超がつくくらいのピッチ走法でありますが、どちらかと言うと大地をしっかり捉えるというよりは、軽やかに払っていくスピードタイプに見え、今回のパワーが求められる条件自体合わない気がしています。
 しかしそういった幼さの残る走りで2歳戦とはいえGⅡで3着に来るわけですから、秘めたるポテンシャルは相当なものかもしれないです。


シーズザデイ(牡3 56.0kg 騎手未定)
評価:B

シーズザデイ

 この馬は新馬戦を勝って中1週での参戦です。であるため状態面は鍵でありますが、新馬戦自体の走りはいいものがあるなと感じました。というのもこの馬は好スタートからほぼ馬なりでハナを奪い、直線ではかなり大きくストライドを伸ばしながら、脚の裁きも非常に素軽かったです。これらから私は、スピードの絶対値とその持続力が高い馬であると感じました。
 ただ初の左回りに加え、距離延長は不安であると考えています。というのもこの馬は安田調教師が「前向きなところがある」と仰っていましたし、あと前走の4コーナーで首を回しながらコーナリングしており、こういうコーナリングをする馬は体力面でのロスが他馬より大きく、距離延長やきついコーナーを苦にすることが多いからです。(ホープフルS&皐月賞のコントレイルもそんなコーナリングしてました。)
 また首の位置が高く、使い方も硬さがあるため、緩急のついたペース(一気の加速が求められる展開)になるとしんどそうです。
 とは言え想定人気(20番人気、1/2現在)ほど舐められるような馬ではないと思うため、印は回す予定です。


ショウナンアメリア(牝3 54.0kg 池添謙一騎手)
評価:B

ショウナンアメリア

 かなりきれいな跳び&いいバランスで走る馬です。スタートも早く、かつ直線では二の脚を使って上がり上位の末脚を使える馬ですから、適正条件なら崩れにくそうな馬かなと思います。
 ただ前走の未勝利戦(東京芝1400m)で若干かかり気味だったことと、最後の方で何回も手前を替えていたことから、距離は1400mがギリギリな気がしています。また奥村武調教師は「仕上がり早」と言っていたのに対し、前走騎乗した横山武史騎手は「まだまだこれからの馬」と発言しており、この馬の完成時期は掴みかねています。個人的には折り合い面が改善したら、今年のフローラS辺りで狙ってみたい馬です。


ジャカランダ(牡3 56.0㎏ 騎手未定)
評価:C

ジャカランダ

 この馬の最大の課題は折り合いでしょう。2走前のこうやまき賞ではかなり折り合いを欠いており、その後の前走万両賞は1400mへの距離短縮でしたが、なんとか手綱を引っ張らないようにそっと騎乗するスタイルになっていました。走法としてはストライドがそこそこ伸びる搔き込み型で、また前走は直線半ばで右手前に戻していたことから、中京の左回りは合うと考えています。とにかくこの馬は折り合いでしょう。


ジャスティンヴェル(牡3 56.0kg 騎手未定)
評価:A

ジャスティンヴェル

 この馬は前々走ききょうSがかなりいい走りでした。スタートはそこそこでしたが、そこから折り合いを欠くこともなく、直線入口で綺麗に手前を替えてから、瞬発力を見せで2着という競馬で、負けてはしまいましたが非の打ち所がない競馬でした。
 そして前走万両賞は人気を背負って凡走してしまいましたが、これは直線もほぼ右手前で走っていたからだと思います。そしてこれら2レースから、ジャスティンヴェルは「左回り巧者」の可能性があると考えています。また馬体を見ても足が長く、首もしっかり使えるため、距離延長は問題なくこなすはずです。よって「左回り巧者」の仮説が正しければ今回は巻き返すと思うため、A評価としました。


セルバーグ(牡3 56.0kg 和田竜二騎手)
評価:C

セルバーグ

 セルバーグの最大の鍵は距離延長だと考えています。前走京王杯2歳S前に鈴木孝志調教師は「前走(新馬戦、阪神芝1600m) はある程度ペースが流れていたが、それでも行きたがっていた。距離が短くなった方が競馬はしやすそう。」とコメントされていましたし、実際京王杯2歳S前のテンションは高く、折り合いもギリギリという印象でした。
 走法的には首が少し高く、振り幅も小さいため、ワンペースでスピードの持続力を活かす競馬がよさそうなタイプです。京王杯2歳Sという1400mのGⅡで促さずとも好位を取ることができていましたから、テンのスピードはここでも速い部類に入ると思います。よって前走と同様に、前目で運んでスピードの持続力を活かす競馬をしてどうかというところでしょうか。
 ただ冒頭に述べたように距離延長に不安があることと、先行勢に展開が向いた前走で7着という競馬を見る感じ、前走からは上積みを見せたい局面であると考えます。


ソリタリオ(牡3 56.0kg C・デムーロ騎手)
評価:A

ソリタリオ

 この馬は走法的に穴が少ない馬だと感じました。前走(こうやまき賞)のゲートでは暴れていたため、スタートの上手い福永騎手からの手替わりでスタートを出せるかはポイントですが、道中は馬なりで好位が取れますし、折り合いも問題なくつきます。
 ただ前走の直線での手前に少し引っかかる部分がありました。というのも、直線残り200mでソリタリオが右手前で走っている際に、福永騎手が何度か手前替えの指示(左→右)を出していました。つまり“何故元々右手前で走っているのに右手前への変換指示を出しているのか”という点がかなり気になりました。そしてこれは推測ですが、
① ソリタリオ自身が余裕がなくなって左手前に変えようとしたのを福永騎手が矯正した
② ソリタリオは左手前が好き(最終的にはゴール前残り1完歩くらいで自主的に左手前に替えていました。)
のどちらかかなと思い、どちらにせよ同じ左回りを走るにあたっては不安材料かなと考えます。
 ただ走法自体はしっかりストライドが伸びて首の位置・使い方も良いため(脚を叩き付けるように走る若干脚の裁きに硬さがある走法で、究極の切れ味勝負には不安ありな気もしますが)、大崩れはしないタイプかなと思いA評価としました。


デルマグレムリン(牡3 56.0kg 武豊騎手)
評価:B

デルマグレムリン

 この馬はスタート、そして二の脚もそこまで早くなく、まず重賞マイルのペースに対応できるかがポイントになると思います。
 ただ走法としてはストライドがそこそこ大きく、また前脚を叩き付けるように走るため、パワーが求められそうな今回の条件は合いそうです。そして前走の直線では何度も手前替えをしており、もちろん余裕がなかったという見方もありますが、(左手前で走るべき右回りで左手前を出したがったという見方により)右手前の方が好きという可能性もあり、初の左回りで上積みを見せる可能性があると見ています。
 ただこの馬は前傾姿勢で走る馬で、まだ後肢の踏み込みが浅く、トモやらが緩い完成途上の馬なのかなと思います。また冒頭で述べたようにこの馬はマイルよりも長い距離に適性がありそうなため、ここはB評価としました。


ビーアストニッシド(牡3 56.0kg 岩田康誠騎手)
評価:B

ビーアストニッシド

 走法的には強調材料が少ない反面、バランスのよい馬だと思います。スタートが速いためいつも好位で競馬ができる強みがありますが、直線に入ってからの走りはストライドも伸びず、かといって切れる末脚も発揮できていない印象です。ただそういった走りで京都2歳Sを2着していますから、心肺機能や競馬センスに秀でた馬なのかなと考えています。 
今回は持ち前の競馬の上手さでどこまで、といった感じだと思います。


マテンロウオリオン(牡3 56.0kg 横山典弘騎手)
評価:S

マテンロウオリオン

 前走万両賞は衝撃のパフォーマンスでした。未勝利勝ちすらない立場での格上挑戦でしたが、阪神芝1400mで届きにくい後方一気の競馬での圧勝でした。
 走法的にはかなりピッチの細かい馬で、細かさで言うとインディチャンプといった一級品のピッチ走法馬にも匹敵するくらいだと感じました。故にこの馬の武器は瞬発力であるのは間違いないですが、首もかなり触れており、瞬発力一辺倒の馬ではないと思います。
 ただこの馬は元々口向きが難しい(得手不得手の回りがあることが多い)馬で、デビューから右回りを使われていることから初の左回りに不安があります。またこの馬も4コーナーで若干首を回しながらコーナリングしており(こういうコーナリングをする馬は体力面でのロスが他馬より大きく、距離延長やきついコーナーを苦にすることが多い)、距離延長にも不安があります。
 ただ末脚の質ならメンバー屈指だと思うため、ここは期待を込めたS評価としました。


ラスール(牝3 54.0kg C・ルメール騎手)
評価:B

ラスール

 新馬戦はスタートこそ微妙でしたが、枠の利も活かしながら好位のインを取り、しっかり折り合っているのはセンスの良さを感じました。またルメール騎手の「新しいグランアレグリアです」とのコメントで、将来の飛躍を期待せずにはいられなくなりました。
 走法的には非常に柔軟性のある軽い跳びをする馬で、いかにも藤沢厩舎の馬といった印象です。余談ではありますが私はレイデオロがとても好きな馬なのですが、地面に脚をつけたときの足元の柔らかさはレイデオロに似たものを感じ、故に今回も応援したいです。
 ただ今回求められそうな“パワー”という要素はあまり感じませんでした。牝馬ですし、中京の急坂をこなせる筋力(力強さ)が備わってきたかが今回のポイントかなと考えています。
 また新馬戦では直線で何度も手前を替えており、まだ心肺機能や馬体は完成途上であったというのが私の新馬戦の見方です。
 いずれにしても、新馬戦からの成長があるかに注目しています。


レッドベルアーム(牡3 56.0kg 川田将雅騎手)
評価:A

レッドベルアーム

 この馬は良血レッドファンタジア一族の馬で、上にはデイリー杯2歳S勝ちのレッドベルジュール&レッドベルオーブがいます。しかし新馬戦後、騎乗された福永騎手がそんな兄弟を差し置いて、「兄弟の中で一番いい馬です」と発言したことは非常に印象的でした。
 走法的に、また総合的にそういった兄弟とベルアームの違いを調べてみると、大きく2つの違いがありました。1つ目は新馬戦での折り合いのつき方で、ベルアームの方がスムーズに折り合っていました。2つ目はトビの大きさで、父がディープ→ハーツクライに変わったこともあるのか、ベルアームの方がストライドは大きく、より距離が持ちそうな印象を受けました。
 しかし前走東スポ杯で「折り合いがつく」という部分に疑問符が付きました。同レースに出走したアルナシーム(メイケイエールかなと思いました笑)の影に隠れながら、この馬も新馬戦は何だったのかというほどの暴れっぷりでした。
 ただ東スポ杯の直線の走りにはポテンシャルを感じました。道中かかったロスがあり、また直線で内にもたれたり、外を物見しながら走っており、粗削りな部分を沢山見せながらの5着だったわけです。しかし鞍上がGOサインをかけたときには瞬時に加速できており、またトップスピードに乗った時のストライドも大きく、走りの質自体は高かったと考えています。ということで精神面が成長してくれば非常に面白い存在になってくると思います。
(ちなみに今回とは全く関係ありませんが東スポ杯を見ていて、勝ち馬のイクイノックスは怪物だと思いました。またどこかでお話し出来たらと思います!)
 肝心の今回ですが、私は鞍上の川田騎手に期待してA評価としました。というのも川田騎手はどちらかと言うと馬を抑え込むのに長けており、また馬格のある馬の方が好成績な印象があるからです。距離短縮は現状の気性面を考慮するとプラスに働きそうですし、ここは期待しています。


いかがでしたでしょうか?
シンザン記念2022の、走法分析をメインとした過去傾向分析&全頭診断
は以上です。

今後はもっとより良い、読者様にとって有益な情報を発信していきたい
ため、是非疑問点や感想をコメントいただきたく存じます。

それでは!!

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