いいことをしたと思った話
note、登録したままで書いていなかったので、書いてみます。
家族にウケたものの本人はもやった実話です。
「笑うとこじゃない。いいことしたじゃん」と思って下さる方がいたら嬉しいです。
さて、話のほう。
高校生のとき、通学路に細い一本道がありました。
バスからバスに乗り換える途中の道で、人通りは少なく、帰り道はよく、ひとりきりになりました。
ある日、その道を歩いていると、前方に突っ立っている人がいました。
長いスカートをはいた、50歳くらいの優しそうな女性でした。
女性は私が目の前にくると、にっこり笑って、
「あなたの幸せを祈ってあげましょう」というようなことを言いました。
私は自分のことを考えました。
学校はいつもと変わらなかったし、テストは少し良かった気がする。
友だちとも話したし、お弁当もおいしかった。
……なんだ幸せじゃん、と思いました。
とはいえ、私は毎日自分が幸せかどうか考えることもなく、「いいことないかな~」なんて思っていたのであり。
恥ずかしい。
目の前の人は、他の人の幸せを祈る余裕があるのに?
きっとご自身が幸せだと理解しているから、できることなのだろう。なんと尊いことか。
私も、自分の幸せに気づいたからには、それなりの行動を、せめてこの一瞬でもとりたいものだなあ、と考え、言ったのです。
「私はもう幸せです。また別の人の幸せを祈ってあげてください」
道の端によけてくれた女性の脇を、私は満ち足りた気分で通り過ぎたのでした。
という、お話。
私としては、徳を積んだような気持ちでいたのですが、何十年も経ってちょっとしたきっかけがあり、家族に話したところ、大笑いされてしまいました。
家族によれば、それは宗教勧誘の人であったろう、と。
うまくやったねえ、と言うのですが、ううん、もやります。
私は徳を積んだのです。たぶん。そう思いたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?