この半年で起きた心の変化。

ジュネーブに来て半年経ちました。
自分でも実感できるような心の変化があったので、記録します。

経験者しか知らない留学の辛さ

「留学」っていうだけで、結構キラキラした事ばかり想像しがちですが、本当に辛いです…
皆そういうことはあまり発信しないですしね。
世の中の留学経験者全員に、私は「人生頑張った大賞」をあげたい位です。

「なぜ私はここにいるのか?」
「本当にここにいるべきなのか?」
「すぐに諦めて日本に帰ったほうがいいんじゃないか?」

自分で決めたことなのに、今まで感じたことのない不安に押しつぶされそうになっていました。
いや、押しつぶされていたような気がします。
日本ではありえなかった、失くし物を沢山したり、転んでけがをしたり、毎日のように泣いたり、自分が自分ではないような感覚で、毎日を過ごしていました。

ここに来れるだけ恵まれていて、幸せな事なのはわかっているし、自分で決めたことだから、頑張るのが当たり前なのだけれど、今は、そういう正論は、どこかに置かせてもらって…

「留学」は、人によって向き不向きがあると感じるし、その場所や周りの人との相性もあると感じるし、例えば、最終地点に行くことなく帰国した人がいても「良く頑張ったね」って抱きしめてあげたい位だし、とにかく、異国の地で生きる、しかも、勉強するっていうことが凄く大変な事だと、実感しています。

今の私は、辛い日々が少しづつ日常になって、自分らしさも少しづつ取り戻してきて、今まで、泥の沼で足踏みすらも大変だった状態が、少しずつ足を前に出すことが出来るようになってきた、そんな感じです。
しんじゃいたい、って思う事もなくなりました。
バカげたことだけど、それだけ、精神状態はギリギリでした。

でも、そんな中、友達との時間や、美味しいもの食べたり、気持ちの落としどころを見つけて、自分を諦めさせて、納得させて、やるべきことに没頭して…少しずつ、ちゃんと自分として生きている、そんな感覚です。

諦めがついた?

私は年末年始に一時帰国しました。
隔離で終わった一時帰国でしたが、安心できる自宅で過ごし、課題をこなし、家族と過ごし、張りつめていた心が少しだけほぐれた時間でした。

たった2週間でしたが、私にはとても大きな変化をもたらす2週間だったように感じます。
「次の帰国は夏。試験が終わってから。」
そう思うと、「頑張るしかない!」という気持ちと、試験を終わらせて「気持ちよく帰ってこよう」という気持ち、なんだか、色々な気持ちが前向きになれる一時帰国でした。

友達との時間と距離

でもね、それは、周りにいる友達のお陰なんです。

年明けから、友達との時間が増えました。
私は2月にCovidになったのですが、それは友人2人の大事な作品発表の直前でした。
なんとか回復が間に合い、無事参加できた私。
その作品が優秀作品に選ばれ、後のヨーロッパのリトミシャンが集まる舞台で再演することになりました。
私には大変な事があった後の、そして、言葉が不自由にもかかわらずメンバーに選んでくれた友人に迷惑をかけたくなくて、命を注いで参加した作品だったので、とても印象深い作品でしたし、仲間と再び一緒に出演できる喜びもありました。

ヨーロッパの学生が集まった講習会では、私が通っている学校が主催のイベントだったので、運営のアルバイトをしました。
言葉が十分ではない私ですが、積極的に何かに参加したいと思い、思い切ってアルバイトを登録。
そして、日本人以外の友達と毎日ランチをし、恋愛話でバカ騒ぎをしました。
実は、こういう話、私はまだ言葉が不自由だから、この時が初めてだったんです。
このランチの時間は、「友達と過ごす時間」の不安を取り払ってくれるきっかけの1つでした。

その後も、友達とスペクタクルを見に行き、ビールを飲んで、人生を話すこともありました。
細かな説明はできないけれど、超シンプルに(笑)、フランス語で説明。
日本人の友人が訳してくれたりもしました。
イベントに行って、友人のLiveを観たり、お酒を飲みながら友達を過ごす時間が増えました。
そういった時間が、友達との距離が近くなったきっかけの1つでもありました。

私は言葉がまだ不自由なのに、みんなとてもやさしくしてくれます。
これは、本当に恵まれている環境なのですが、それに甘えて、言葉が不自由でも、友達と一緒に過ごすイベントには積極的に参加し、上手く喋れなくてもどかしくても、恥ずかしくても、申し訳なくても、一緒に過ごさせてもらうようにしています。

少しづつ、自分らしくいられるようになった。

言葉は不自由でも、顔や身体で、片言のフランス語で、自分の気持ちや考えを伝えようとするようになりました。
通じなくて、もちろん恥ずかしくて、もっと勉強しなくちゃって思うんだけど、でも、恐れずに挑めるようになった気がします。

音楽の技術も、自分らしく考えて取り組めるようになりました。
なんていうか…それすらも、初めはできなかったんです。
環境の変化、不安な気持ち、一生懸命奮い立たせていたのですが、でも、すごく難しかった。
でも最近、少しづつ自分の持っているものを出せる瞬間も増えたし、取り組めるようにもなりました。

「学び」の欲が再び。

ジュネーブに慣れてきたんだと思います。
いい意味で、諦めもついた。
不安な気持ちは、きっとずっと消えることはない。
でも、受入れて、上手に付き合えるようになったんだと思います。
嫌だなぁって思う事は、我慢せずに「いやだ」って思うようにもなりました。
それすらも「私が違うのかな?」とか、「自分が**だから…」なんて思っていたので。

そうすると、色々欲が出てきました。
どんな欲かと言うと、また「学び」の欲が出てきたのです。
これもやってみたい、
これを出来るようになりたい、
いい点がとりたい、
自分の持っている技術は100%出したい、
出来るって認められたい、
本当に色々な欲が。
特に、やってみたいことが増えました。

私は何者かになれるのか。

まだ始まったばかりですが、私は「何者」かになって帰国が出来るのか、いつも考えます。
何も技術をモノにできず帰国はしたくない。
でも、それって、完全帰国するときにきっとわかる事なんですよね。
ジュネーブを後にする日に、ちゃんと実感できるように、今は、とにかく頑張るのみです。

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