写真のことなど徒然に

私の趣味は写真である。デジタルでも撮るし、フィルムでも撮る。最終アウトプットまで自分自身でやることに決めていて、今年得た収入の大半はフィルム写真のアナログプロセスのための引き伸ばし機や印画紙代、各種消耗品やアクセサリー、フィルムプロセッサ(※)のために消えていった。デジタルも楽しくやっていきたいので、こっそりとレンズも増やしていたりする。正直なところ、破産しかねないレベルでお金を消費し、この趣味に心血を注いでいる。 ※フィルムを現像できるすごい機械。すごい。

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陪審員の皆様、カメラ陪審員の皆様。今此処にはっきりと申し上げます。私こそ日本国における消費者の鏡であります。皆様におかれましては、私を見習ってフィルムをもっと消費するように。暗室の灯を絶やさぬよう、印画紙を購入し、レンタル暗室を借り、ウェットプロセスでプリントしてみよう。そして、額装やパネル貼りをして、写真展に自主的に参加するよう、お願い申し上げたい。もちろん、この過程はデジタル出力でも楽しいから、どのような形であれ、アウトプットするところまでやってみていただきたい。写真は楽しい。だからこそ、狭いSNSで写真を投稿するだけではなく、もっと広い世界に出てもらいたい。

かくいう私も、昔はインスタグラムの外の世界に出たことがなく、直接人に会うということは、思いもつかなかったし、やらなかった。東京に異動し、モノクロフィルムを始め、SNSを通じて直接人に会い、最近は写真展に参加している。こんな未来は数年前の私では想像し得なかったことだ。それを早く始めなかった過去の私を叱責したいくらいである。

写真は楽しい。

私は、素晴らしい風景に出会い、夢中でシャッターを押している時間が一番好きだ。次点はその結果を現像し、結果を眺めた瞬間だ。狙い通りの表現ができていれば最高だし、それができていなくても、次はこうしよう、こうやってみようという気持ちになることができる。逆に、落ち込んでしまうのは、いい写真が撮れているのに、自分のミスで現像失敗した時だ。これはフィルムの話であるので、フィルムをやっていない人にはピンとこないかもしれないけれども。

写真は楽しい。

最近は古典的なプリント手法にも手を出している。サイアノタイプと呼ばれるもので、所謂「青写真」と呼ばれるものだ。これは鉄塩の化学反応を利用したもので、赤外線で露光する必要がある。そのため、特殊な機材を持っていない場合は、基本的に太陽光で露光する。現像は水と過酸化水素水でできるから、簡単だ。得られる写真は美しい青色で、それはもう大変に美しい。語彙力は圧倒的青の前に消滅する。この写真の利点は、デジタル写真からもデジタルネガフィルムを作成して、露光することでデジタルデータでもアナログプロセスでアウトプットできることだ。それに、デジタルネガはプリンタから出力するので、比較的大きめな写真を作成できる。やろうと思えば、家庭ではA3の写真まで、作成できるだろう。また、鉄塩の利点として、非常に安定性の高い像が得られることも挙げられる。簡単に色あせてしまうことはない。

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写真は楽しい。

本当に楽しい。

楽しいから、私はこの10年ほどの間、飽きることない情熱で続けることができていると思う。

皆様にとっても、そうであることを願い、写真への情熱だけで、この文章を書いてみた。素敵なカメラライフを。

令和元年10月9日 eto_silversalt


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